「…なるほど。愉快な招待状だ。」
昼過ぎ。ウミカモメがバンドラの元へ、とある手紙が届いた。バンドラはそれを剥き、読んだ途端、ニヤリと笑った。宛名は『ドンキホーテ・ドフラミンゴ』。
「どこ行くの?」
隣で聞くウタ。
バンドラはコーヒーを飲みながら、ふっと笑った。
「…愛と情熱の国、ドレスローザ。」
「あ、愛?」
滑ったと思ったバンドラは少し顔を赤らめる。ウタは何を言っているのか、わからないだけだった。船は着々と進んでいく。
「ドレスローザにゃ踊る美人たちが居るんだ〜。楽しみだなぁ〜。」
ウキウキのバンドラ。笑顔でニコニコな顔に何故だがは知らないが、ウタは腹が立った。気がついたら、バンドラの足を踏みつけていた。
「イタタ…う、ウタさん…?」
「…別に?何も?」
ジトーと辛辣な目をバンドラに向けるウタ。その眼差しは11歳の女の子の眼差しとは到底思えない冷めたものだった。
「…ごめんなさい。」
「変態。」
バンドラが前を向きながら低い声で謝ると、ウタはプイッと横を向いて目線を逸らした。怒られた為、少し落ち込んでいるバンドラの頬をヤマトがツンツンたと突っつく。バンドラがヤマトの方を向くと歯を見せてにししと笑った。
「ねぇ、バンドラっ!!ドレスローザってどんな国?」
ヤマトが聞く。ウタも気になっているのか、バンドラの方を向く。
「んあ?だから、綺麗な姉ちゃんがいっぱいいる国だって。」
「もーっ。そーいうこと聞いてるんじゃないってば。」
ウタが口を大きく開けてそう言った。
彼女の感情と連動するように彼女の髪がぴょこんと上に上がった。バンドラはため息を吐く。
「ドレスローザは平和の象徴。争いは800年間一度も無く、住む人々はエンターテイナーが多い。国内には料理の匂い、踊り子たちの踊り、そして花畑の花の香りなどが満ちている。」
バンドラは歯を見せてニヤリと笑った。
…エレジア無き今、ウタにとってドレスローザはとてつもない楽園と言っていい。ウタもそれをわかっているのか、目を輝かせて口を開けていた。ゆっくりと髪が上がる。
「歌姫は美術に堪能たれ。天才は努力しねえとな。とはいえ…。」
…バンドラの懸念点はその手紙だった。
ドンキホーテ・ドフラミンゴとは初対面のはずだ。何故、自分達を知っていたのか…。
思案に暮れるその顔にウタもヤマトも不安そうである。その不安とは裏腹に船は真っ直ぐドレスローザへと進んでいた。
愛と情熱の国、ドレスローザ。妖精がいるとも密かには言われている。国王、リクドルド3世により、世間から平和の象徴と呼ばれるその国。しかし、その近海には海賊『天夜叉』ドンキホーテ・ドフラミンゴの船があった。
「フッフッフッ…。よく来たな。バンドラ。」
バンドラ達はその船へと入っていく。
ウタとヤマトは少し緊張していた。何故なら…バンドラの纏う空気がいつもと違い、ピリピリとしたものであったからだ。
ドフラミンゴの近くには肌の黒い大男や顔を派手にしている男、顔にハンバーグをつけた男や鼻水を垂らした男など異色というには異色すぎる奴らがそこに居た。
バンドラはドフラミンゴの対面の席に座った。ウタとヤマトもその近くの席に座る。
「…女二人と船旅か。意外に楽しんでいるようだな。」
ドフラミンゴは不敵な笑みを浮かべるも、バンドラは口角を上げも下げもしない。無表情だった。
「フッフッフッ…。なんだ。少しは話でもしようじゃないか。なぁ?」
「…俺のことはどこで調べた?ドフラミンゴ。」
バンドラが敢えて柔らかい口調で聞く。
ウタを怖がらせない為というのもあるが、正直、バンドラは戦いたくはなかった。ウタとヤマトにも飛び火するからである。
「…ウチの弟は知ってるな。アイツの部屋を漁っていたら手紙が出てきた。お前宛のな?」
バンドラとロシナンテはよく手紙で話をしていた。
ドフラミンゴはそれを見つけたと言うのだ。バンドラは瞼を閉じ、息を吐く。
「なるほど。…それで?」
「フッフッフッ…。なぁ、バンドラ。俺と同盟を組まないか?」
「…あ゛?」
その言葉にバンドラは青筋を立てる。
船内に響く緊迫状態。ドフラミンゴ、ヤマト、バンドラ以外の面々は少し冷や汗をかくほど。ドフラミンゴは余裕のあるように、ニヤリと笑っていた。
「フッフッフッ…。なんだ?覇王色か?」
「…そんなもんは持っちゃいない。化け物と一緒にするな。」
「フッフッフッ…。対面してわかった。海軍はおかしいなぁ。なんでテメェが5億程度で止まってやがる?」
ドフラミンゴはそう言った。
「大海に轟くその名前、誰もが一度は耳にしたことがある。過去に天竜人の女に唾かけ、向かってきた大将及び艦隊を追い払った化け物。天竜人はその背に龍を見た…と言った。テメェのような化け物に海軍は不可侵を言いつけた。何故か…。」
「…。」
「…テメェがたった一人でバスターコールを沈めやがったからだ。」
…その言葉にバンドラとドフラミンゴ…後、外の世界を知らないウタとヤマト以外の全員の顔に驚きの表情を浮かべた。
「海軍はそれを知りつつ、お前に5億という半端な額をつけ続けている。つまり、世間にそれを隠し続けている。俺はなぁ…。お前が好きだぜ?バンドラ。」
ドフラミンゴはなおも不敵な笑みを浮かべる
…その事実は世界を震撼させることになるだろう。しかし、世界政府はそれを隠し通している。それはバンドラを刺激しないという条件付きで。
「…男に好きだと言われても、気色悪いだけだね。俺を動かせるのは…可愛い姉ちゃんと大事な
「…ふん。だったら、ここから逃げ切るってのか?何のために俺たちがお前をここまで連れてきたと思う?」
そう言ってドフラミンゴは目の前に一枚の手紙を差し出した。バンドラはそれはロシナンテが死ぬ前にトラファルガー・ローが書いた手紙だった。
『…コラサンが友人だという男がいるなら俺は会ってみたい。』
その一文以外は淡々と書かれていただけだった。
「テメェが話を断れば、このトラファルガー・ローにも迷惑になる。殺すぜ?俺たちは。」
「…勘違いするな。俺は見ず知らずのガキの為に戦えるほど、優しい人間じゃあねえ。」
キッと睨むバンドラ。ドフラミンゴは初めてそれに狼狽したように、汗が頬を伝う。
「だったら、そこの二人を殺してやろうか?俺がテメェほどの人間をこんなところでみすみす見逃すわけがねえだろうがッ!!」
「…やるか?テメェら全員、沈めるぞ。」
バンドラの冷淡に紡がれた低い声に、ドフラミンゴは言葉を失う。だが…。
「…テメェ、ふざけてんのか。」
取り囲むドフラミンゴのファミリーが全員、殺気を飛ばした。その筆頭が顔に模様が入った男…ディアマンテだった。ディアマンテを含めた全員がバンドラへ銃を向けた。
「…くっ。」
ヤマトも状況を理解し、金棒『健』をギュッと握った。
「…ねぇねぇ、ドフィー。殺していいだろう?」
「…フッフッフッ。構わねえ。その後ゆっくりドレスローザを手中に収めようぜ?」
…向けられた銃口。バンドラとヤマトはウタを射線から隠すように前に出た。バンドラは大きく息を吐く。
「…ゆっくりドレスローザを観光しようと思ったんだけどな…。かかってきな。相手にしてやるよ。」
その声と共に外から激しい稲光と轟音が鳴り響いた。バンドラは即座にウタとヤマトを抱える。
「えっ?」「きゃっ!!」
「撃てッ!!」
銃口の飛び交う室内。
「らぁぁぁッ!!」
二人を抱え、室内の天井をぶち破り、船から逃げるバンドラ。もし、戦って船が落ちたら能力者である3人は死を覚悟せねばならない。それにバンドラの能力は人がいると大分セーブしないといけない。
スタッとドレスローザの敷地に踏み入るバンドラ。ヤマトとウタを優しく地面に下ろす。
「…いいか、絶対にこの国を壊させるなよ。怪我人も出させるな。ウタ、国王に言ってこい。此処は…戦場になる。」
「う、うんっ!!」
そう言ってウタは走り出した。
バンドラとヤマトは、狂骨と建を構えて海を見る。
「…ヤマト。」
「何。」
「…悪いがお前の命、俺に預けてくれ。」
負けてもドフラミンゴに殺され、勝っても国王に殺されてしまうかもしれない。バンドラはそれを気にして言っていた。ヤマトもここで暴れる以上同罪なのだから。
「何を今更。…この海に出た時点で、ボクは君に全てを渡してるッ!!」
「…ありがとな。」
「べへぇ〜っ!!殺せッ!!この町も奪うぞ〜ッ!!」
鼻水を垂らした男…トレーボルの号令にドフラミンゴファミリーの全員が船から飛び出す。バンドラとヤマトはニヤリと笑い、立ち塞がった。
ドレスローザの人たち迷惑以外の何者でもない…w
イチャコラ期待している人、後数話待って。キュロス、スカーレット、レベッカも待って。…ただドフラをココで倒すとアレだからなぁ…。ドフラミンゴ好きな人はごめんよ。(私も好きです)