燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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第278話

「体調が戻ったと思えば…。」

 

ウェザリア、ビビ達の家内。

すっかりビビの体調は戻り、バンドラも安堵の息を漏らしていた。と思うや否や、バンドラと二人きりの状態で、ビビはベタベタと触っていた。

 

「前よりも筋肉増えた?」

 

「着痩せするタイプ…だからな。」

 

半裸のバンドラとそれを嬉々として触るビビ。ビビは恍惚といった様子のキラキラとした目でバンドラの体を見ていた。

 

いつもは和装のバンドラ。羽織もあって、体のラインは目視しにくいが、脱げばまさに逆三角形。浮き出る肩甲骨に背中だけでもビビの両手を横に広げた時の半分以上は掌握するようなもの。岩壁と言って良いだろう。

 

ゴツゴツとした身体を小さな手で触るビビは先の一件もあり、だいぶとバンドラに懐いていると言った様子だった。

 

「鍛錬は一日してならずだ。まぁ、人一人ぶん投げることができるくらいだがな。パワーならカイドウは愚か、ロロノア・ゾロにも負けるかもしれん。知らねえけど。」

 

「ん〜。」

 

「…聞いちゃないな。」

 

バンドラの背中に手のひらを置き、顔を埋めるビビにバンドラは苦笑いをしていた。硬い背中にビビの柔らかな双乳が軽く潰れる。

 

「カッチカチね?んふふ。」

 

頬をバンドラの背中にくっつけて、指でツンツンと触る様はどこか、幼子のようである。仮にも一国の王女なのだが、立場などこの場では関係ない。とはいえ、チャカやペルが見れば青ざめるか、怒り狂うかの二択だが。

 

「あんまりやるとくすぐったいじゃないか。」

 

そう言ってバンドラはビビの方へと振り向き、ビビの手をギュッと握った。いきなりのことだったので、ビビは大層驚いていた。

 

「えっ…きゃっ!?」

 

バンドラはビビを自身の方へと引き寄せるとそのまま彼女の身体を自身の膝へと横たわらせた。ビビはぽかんとしていたが、そのまま何も言わずに頭に置かれた手を見て、どうでも良くなっていた。

 

「…ふむ。」

 

逆にバンドラはその髪の感触を確かめるように彼女の頭を撫でていた。ビビの方がふわりと動くたびにミントのようなスゥ…とした香りが鼻に僅かに残る。熱い砂漠の国アラバスタの王女だ。シャンプーや香水だけでも涼しげなものにしたいのだろう。とバンドラは思っていた。

 

「…えと…バンドラ…さん?」

 

一方、ビビの方は耳まで赤く染まっていた。

撫でられるのは良い。顔が近いのもキスをしたことがあるため許容はできる。だが、無言でずっと投げ続けられるのにも限度がある。くすぐったい感覚に顔から放たれる熱がどんどんと熱くなる。…熱がまだ治っていなかったとも思ったが、なぜだかビビには嫌な感覚はなかった。

 

「…。」

 

「へ?」

 

…次の瞬間、いきなりバンドラの体がガバッとビビに覆い被さった。ビビの顔の熱が徐々に上がっていく。なぜいきなり抱きつかれたのかと…更には、ベッドの上、深夜帯ということも相まってビビは少しの期待と大部分を占める戸惑いに胸がうるさかった。

 

青いチェック柄のパジャマの薄い材質が更にバンドラから伝わる熱もビビの身体に伝わり、ドキドキとしていた。喉から心臓が出そうになるくらいにはビビは驚いていただろう。

 

「ば、ば…バンドラ…さん…?その…まだ…あの…私も疲れてるしぃ〜…そのぉ…ま、まだ早いかなってっ…!!その…あの…ぱ、パパにもまだ…嫌でもぉ〜…ど、どうしてもっていうなら…その…。」

 

まだ踏ん切りがつかないのだろう。アワアワとし、顔を真っ赤に染めて慌てるビビ。しかし…。

 

「…すぅ…。」

 

「うぇ…?」

 

…耳元から聞こえる健康的な寝息にビビは呆気に取られていた。少し引き、真っ白に戻った顔がまたもやかーっと真っ赤に染まる。言いようのない…一人だけ乗っていたことへの恥ずかしさがただビビの顔を赤く染めていた。

 

しかし、バンドラもバンドラである。

半裸で抱きつかれればビビでなくとも勘違いするであろう。…ビビが倒れたという報告を聞き、人知れず自身を責めていたバンドラ。この子に苦行をさせているのは自分だとその心労が祟り、睡魔が襲ってきたのだろう。

 

ビビはため息をつくものの、少しムッと頬を膨らませた。

 

「…二人っきりなのに…。」

 

ボソリと呟いたその言葉は淋しいビビの気持ちが露わになっていた。今の状況的には半裸の筋骨隆々の男がビビに抱きつき、眠っているような状態。チャカやペルが見れば、怒髪天をつくだろう光景。

 

ビビは今のこの状況をせめて、最大限楽しもうとビビはバンドラの首筋に口元を埋めた。…香るのは爽やかな柑橘系の香りだった。普段、バンドラから香る修行後の汗臭い匂いとは全く真逆。ナミのシャンプーを共同で使っているのがビビの頭に浮かんだ。

 

ビビはギュッと自分の2倍はあろう、岩壁の如くゴツゴツとした男の身体を抱きしめる。…いや、もとより動けずじまいなのである。押しつぶされないよう、バンドラも押しつぶさないようにだろう。寝ながらではあるもののあまり重心がビビに偏っていない。ベッドに寝かせてあげようにもビビはヤマトやスムージーのような常人離れした力は持ってはおらず、バンドラを抱き上げることは不可能。

 

どうしようかと考えあぐねていたビビの視線の先に…バンドラの背中が見えた。その背中は広く…そして、傷だらけであった。

 

「…いつもいつも…無茶してるのはどっちですか…。」

 

ビビはボソリとそう呟く。

バンドラは仲間の為ならその命すら差し出す男だ。だからこそ、悲壮に満ちた顔をビビはしていた。ギュッと強くバンドラの身体がビビによって抱きしめられる。

 

「もっと甘えてくれてもいいの。甘えないと人は壊れてしまうわ。だから…その…私が貴方に返してあげられることはこのくらいだから…。」

 

ビビはそう言ってバンドラの頭を撫でた。

何も言わない寝ている彼を相手にしているにも関わらず、顔が燃えるように熱かった。

 

「…こ、これはこれで…恥ずかし…。」

 

「…。」

 

「ふひゃあっ!?」

 

…突然、ビビの身体が強くギュッと抱きしめられた。それはバンドラの覚醒を意味していた。硬く太い剛腕にギュッと優しく抱きしめられたビビはまるで蛇に睨まれた蛙のように動かなくなっていた。

 

「…また熱でもぶり返したか?」

 

熱く真っ赤になったビビの額にバンドラが自身の額をくっつける。悪戯に笑うその顔にビビはさっきまでの会話が聞かれたものだと思っていた。独り言だと思っていたためか、ひどく恥ずかしい。ビビの顔は熟れたリンゴよりも真っ赤になっており、あうあう…と言葉にならない声を出していた。

 

「い、いつ起きて…。」

 

「ん?いや、頭撫でられたあたりから…かな。」

 

「うぅ〜…!!」

 

ボフッという音と共にビビはバンドラの首筋に顔を埋める。バンドラの顔を直視できないほどには羞恥心で表情がぐしゃぐしゃになっていた。バンドラも撫でられ慣れていないため、少し顔が赤くなっていた。

 

「…そ、そろそろ…服、着るか。」

 

…夜も更けてきたしと言葉を付け加えるバンドラ。実際は少しむず痒いような感じがしたからである。バンドラはビビの身体から手を優しく解くと、ベッドの上に置いてある羽織を着る。ビビには先ほどは見えなかった腹の傷が明確に見えていた。

 

「…その傷…。」

 

一番酷いのは腹筋を縦に突き刺す刀傷であった。バンドラはふっと笑いながら、これか?と指を指す。

 

「…まぁ、なんだ。友人との鍔迫り合いの結果だな。信念のぶつかり合いだ。」

 

…あの時、スムージーの剣はバンドラの身体を背から腹へ貫通していた。バンドラの死ねないという信念と運で助かったようなものだった。しかし、バンドラはスムージーを責めることはしなかった。…彼女にとって致し方のないことだったからだ。

 

心配そうな顔のビビにバンドラは優しく笑う。

 

「これを言うと変な奴かもしれねえが、俺は別に刺されても嫌な感じはしなかった。なんつうか、筋一本通っている感じがしてな。だから、俺も…スムージーもそれ以降は言わない。ビビだってコブラ王と俺が敵対したら俺に剣を向けるだろ?…そういうことだ。」

 

こっくりと頷くビビ。

バンドラは再びベッドに座るとふぅ…と息を吐いた。

 

「それじゃあおやすみ。」

 

「おやすみなさい。」

 

そう言って室内は暗闇へと化す。バンドラもビビも横になって寝ていた。…そんなバンドラの腕にギュッと柔らかな感触が伝わる。バンドラは微笑むと隣のビビの手を優しく握り返した。




そろそろ2年後いったほうがいいかな。というのも、嫌に引っ張りすぎるのもという感じがすごいので。280話行ったら考えます。一応原作準拠ですが、Z、スタンピードあたりの話も書きます。ゴールド、レッドは考えます。バンドラの仲間っぽくなってるしなぁ…テゾーロも。クザンの扱いはどうするか。では。
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