燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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第286話

海軍によるエレジアバスターコール事件から数日が経った。9割ほどは何事もなかったかのように戻っていた。そもそも、バンドラ達の活躍によって、住民地は一切の損傷を受けなかった。

 

「じゃじゃーんっ!!」

 

エレジア城内。赤と白のツインテールのウタが城内から持ってきた蒸留酒の瓶を持ってきた。風呂上がりでふかふかの白いタオルを首に巻いたバンドラはニヤリと笑う。

 

「んだぁ?ガキには早えよ。」

 

「もうガキじゃないもんね〜っ!!これでも21歳のレディなんですよっ!!へへんっ。」

 

胸を張りそう言うウタ。そう言うところがガキだと言いたげな目でバンドラは見つめていた。グラスに美しく光る蒸留酒を見て、息を吐く。

 

「…もう、21か。」

 

ボソリと呟いたバンドラにウタは首を傾げた。何故だか、バンドラは悲しげに微笑んでいる。

 

「もうシャンクスと会ったんだ。シャンクスについて行っても良かったんだぞ〜っと。」

 

「…それ、本気で言ってないでしょ。」

 

「……くくっ。正解。」

 

酒を一口飲み、ニヤリと笑うバンドラ。トクトクと自身のグラスに注ぐウタ。ベッドに座るバンドラの横にピッタリとつく。少し大きなグラスを小さな両手で持っていた。

 

「大きくなったなぁ。ウタ。昔はピィピィ喚いてたってのに。」

 

「んぐっ…。何年前の話してるのよ…。もう泣かないし。」

 

「…俺から見たらいつまでもバカ生意気なガキだよ。」

 

…優しく微笑みながらそう言い、ウタの頭を撫でるバンドラ。ゴツゴツとした少し硬めの手が少し乱暴に髪を撫ぜる。ウタは何故かかゆい感触を覚え、グラスに口を当て、ちびちびと飲んでいた。

 

「…ちょっと酔ってるの?」

 

「あん?こんなん水だよ。水。」

 

「えっ…でもこれ…ブランデー…。」

 

少し言いづらそうにそう言うウタ。バンドラは小さく口を開けて驚くとグラスを少し傾ける。

 

「…お前、これ、ビビに出すなよ…?」

 

「わかってるよ。ビビは一口で悪酔いしちゃう。」

 

「ありゃ、からみ酒の部類だな。…つうか、よくこんなもん手に入れてたな。」

 

そう言いながらバンドラはまた一口飲む。

口の中に芳醇に抜けるブドウの香りと酸味が舌を突き刺す。

 

「バンドラと飲みたくてね。スムージーに頼んで持ってきてもらったんだ。」

 

「…なるほど。あそこはリキュールやらなにやら作ってるしな。…食の島ホールケーキアイランドにはあってもおかしくないか…。でも、ウタ。誰かと飲みたいってのは親父に言ってやれよ。」

 

カツンッとグラスとグラスをかち合わせて、鳴らしそう言ってイタズラに笑うバンドラ。ウタは何故か満足げにふふっと笑うとグラスの中のお酒をごっくんっと飲み干した。

 

「シャンクスとも飲むよ?…でも、次いつ会えるかわからないし。もしかしたら、死んでるかもしれない。だから、私の初めてはバンドラなの。」

 

「…語弊が生まれる。」

 

「ゴヘー?…あっ。いや、そう言う意味じゃなくって…。」

 

自身の言葉の意味を自覚したのか、かぁっ…と顔が赤く色づくウタ。酔いのせいにするには、酔っている感覚がない。ぼーっとするのはきっと違うだろう。変なことをバンドラが言うからだと目線を金色とも茶色とも取れる水面に向ける。

 

「…なぁに想像してやがる、クソガキ。」

 

「ひあっ!?」

 

そんなウタの気も知れず、歯を見せてニヤリと笑いながら顔を近づけるバンドラ。ウタの顔は一気に真っ赤に染まる。ドキドキと心臓が痛いほどに鼓動する。

 

「ち、近寄らないでよッ!?」

 

「なんで。」

 

「な、なんでって…そ、それは…。ほ、ほらっ。汗臭いし…。」

 

「お前風呂入ったばっかだろ。」

 

「…いや、お酒臭いし…。」

 

「俺も酒臭いぞ。」

 

バンドラはジトーとした目をウタに向け、ウタはあうあう…と謎の言葉を発していた。バンドラはふぅ…と息を吐くとウタの横に座る。ピタッと触れ合う肩と肩。バンドラは気にしていなかったが、ウタはビクッと体を震わせる。

 

「真っ赤じゃないか。もう酔ってんのか?」

 

「よ、酔うわけないじゃない。まだ一杯だけだよ。」

 

「…それにしては…顔が赤すぎやしねえか。」

 

慌ててプイッと横を向くウタ。…そのとき、バンドラの鼻の前をゆるふわな赤いツインテールがふんわりと揺れる。甘い花のような香りがバンドラの鼻の前で優しく香る。

 

「…へぇ。」

 

静かにニヤリと笑うバンドラ。

バンドラはその髪を指で摘み、口元に持っていくと…そっと唇を落とす。

 

「へあ…?」

 

ウタはその様子を横目で見ながら、少し惚けた声を出した。ウタの顔はまた真っ赤に染まっている。心音が…ドンドンと五月蝿くなっていく。

 

…久々に会ったからか、バンドラに対するウタの免疫は底辺まで下がっていた。シャンクスとは違う…匂いも、温度も、耳から聞こえる音も違う。だからだろうか、酒のせいだろうか…過敏になった聴覚や嗅覚が余計に意識させる。ウタ自身の恋煩い(信頼)を。

 

「やっぱり赤けえな。どうした?風邪でも引いたか?」

 

「は、はぁ?…風邪じゃあないし。馬鹿っ。」

 

「あん?バカってなんだよ。ったく、何にも変わってねえなぁ。ウチの歌姫様はよぉ。」

 

口では苦言を呈しているが、バンドラの顔は穏やかに優しく微笑んでいた。バンドラからすれば、ウタは竹馬の友の娘。小さい頃を知っている分、仲間や親子のような関係になっている。

 

「…バンドラは変わったね。なんか、おっさん臭くなった。」

 

「んあ?まだ若いっつうの。35だぞ。」

 

「そういうとこだよ…。全く。でも…。」

 

ジトーとした目のウタにバンドラはため息をつきながら、酒を一口飲んだ。両手でブランデーの入ったグラスを持ちながら、ウタはまたその水面へと目線をずらす。バンドラはニヤリと八重歯を見せて笑いながら、ウタの言葉を待っていた。

 

「生きてて良かった。なんか、モネから聞いたけど色々あったみたいだし。子ども、目の前で傷つけられて怒ったんでしょ?…そういうとこは…変わってないっていうか…。」

 

「…そういうとこって?」

 

「うえっ?…えっと…まぁ…安心感?…絶対に見捨てないっていう。」

 

…グラスを指で押して回転させながら、そう言うウタにバンドラは目を閉じて笑った。

 

「ありゃ、ナミが居たからな。例え、あれがルフィの仲間だとしても…一度、手をかけたもん、そのまま放置は夢見が悪い。…それに若い命を散らせるわけいかねえからな。…だから助けた。」

 

「…なんかナミのご機嫌稼ぎみたいで嫌だなぁ…。帰ってきたらナミの匂いぷんぷんしてたってヤマトが言ってたしっ!!」

 

「あのなぁ…。」

 

ジトーとした目でバンドラを睨むウタにバンドラはため息を吐きながら、頭の後ろをかく。机の上にグラスを置くとウタの頬を指で押さえ込むように掴み、優しく自身の方へと向けた。

 

「むぎゅっ!?」

 

「俺は生まれてこの方、誰かのご機嫌なんざ取ったことはねえよ。そんなもん気にしてるんだったら、こんな海の皇帝みたいなところまで来てねえよ。…俺ァ誰の目も気にせず、自由に過ごしてぇの。…わかってんだろ?」

 

「…でも、一人には決めた方がいいんじゃない?刺されても知らないわよ。」

 

「んぐっ!?…き、肝に銘じておきます。」

 

ため息を吐くウタにバンドラは手を離し、目を逸らしながら酒をちびちびと飲む。ウタはそんなバンドラへと少し…熱のこもった目を向けていた。酒のもう入っていないグラスで口元を隠す。

 

「…私にしとけばいいのに。

 

小さくつぶやかれたそれはバンドラには聞こえていなかった。




イチャラブ話を何ヶ所かに分けます。と作者談。
あんまり好きじゃない人もいるからね。半分くらいに分けて魚人島などなど挟みます。じゃないとナミロビ書けねえ…。

あと、あたたかいメッセージありがとうございます。返信はしておりませんが、全て読んでいますのでご安心を。また、質問等ありましたら後書きに書くなりして返信していきます。

うるぺー、アインクザンの元海軍ペア…あたりかな?入れるとしたら。+ボニー。アインはボニーと被ってしまう…だが、ロリ描写が増えるぜ…?
では。

スッ…

  • ヤマト
  • ウタ
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