燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

294 / 318
祝UA1000000突破っ!!いえーいっ!!
ありがとうございますっ。これからも頑張っていきます。応援よろしくお願いします。


第293話

ムーランとの戦いを終え、カリファとレベッカの傷の具合を見ながらも、エレジアへと帰ってきたバンドラ達。大事を取り、暫くは二人を連れ出して外出することは控えようとバンドラは思っていた。

 

エレジア城内。

 

「ん?」

 

ふと、自室に戻り、本を片手にベッドに座っていると香ばしい匂いがバンドラの鼻を突き刺した。いわゆる焦げの匂いである。異臭にバンドラはすぐさまキッチンへと駆け寄る。

 

「…今日はモネが作ってくれるはず…だが?」

 

モネ、カリファ、スムージー、そしてバンドラ自身でローテーションで飯は作っている。というのも他の面々にやらせると大変なことになりかねない。

 

ウタは甘いものしか作れないし、エースは辛いものしか作れない。ヤマトはキッチンが地獄絵図になるし、レイジュは遊びで異物混入。シュガーならまだ安心はできるが、それでも作りたがらない。

 

まだビビやレベッカの方がキッチンが少なくとも消えては無くならない。不慣れながらも二人も時折作ってくれるが、日に日に上手くなっているとバンドラは思っていた。

 

一回の食堂まで降りて、バンドラは両開きの木の扉を開ける。するともわっと暖かい空気と黒い煙が立ち込めてきた。

 

「…おい、どうした。…ハンコック。」

 

「あ…あぁ…。」

 

少し中へと入ると全貌が見えてきた。

焦げついたフライパンともはや炭の塊となった肉。机の上には黒色の箱の中に、少しべちゃっとしたご飯とぶっきらぼうに切られただけの野菜、黄色…いや、半分くらいぐちゃっとした卵焼きと…恐らく弁当箱が置かれていた。

 

バンドラは少し苦笑いをしながら、ハンコックを見る。

火を止め、真っ赤な顔を手で押さえる彼女。よく、細く白い指を白魚のような…と体現したりするが、まさにそのような美しい指にはいくつかの絆創膏が巻かれていた。

 

普段の高飛車な彼女とは違う、縮こまったその姿にバンドラはため息をつきながら話を聞く。

 

「…どうして、急に?お前、包丁すら触ったことなかったろ。」

 

「う、うぅ…。その…妾とお前は…夜伽もしたことだし…。あとは…そのっ…こういうのしか…思いつかなくて…。」

 

お弁当は見よう見まねで作ったらしい。

完璧主義のハンコックは自身でもできると思ったのだろう。舐められないようにと自身で形成した高飛車な性格だが、本質はただ力を持っただけの女の子。優しいところもありながら、捨てられることを親の仇のように嫌うような…そんな女の子なのだ。

 

バンドラは箸をキッチンから取るとその弁当箱の米に手をつける。

 

「あっ…。」

 

パクッと一口口に運べば…まるでお粥のようなねっとりとした味わいがした。卵焼きは苦味ととんでもない甘味が口に広がる、野菜は水洗いすらされていないからか、ほのかに家庭菜園の土の匂いが口に広がっていた。

 

「ご馳走様。」

 

手を合わせてそう言うバンドラの横で顔を真っ赤にしながら、髪を指に絡めてそっぽを向くハンコック。羞恥心と申し訳なさからか、バンドラの方を見られない。

 

「…ハンコック。」

 

「は、はい…!?」

 

急に名前を呼ばれて、返事をするハンコック。

バンドラは傷だらけのハンコックの手を優しく掴む。ハンコックは心臓がどくんっと大きく跳ねたような感触を覚えた。顔からしゅーっと湯気が出て、脳がショートしたような感触を味合うハンコック。

 

「…おいしかったよ。ありがとう。」

 

「…う、嘘つくな。妾でもわかる…。失敗したのは…。」

 

「ま、まぁ…どんどんと上手くなっていけばいいさ。俺も付き合うからさ。な。」

 

「…。」

 

直後、ハンコックの手がバンドラの手から離れ、バンドラの首へとかかる。そのまま…肉厚なピンク色の唇がバンドラの唇へと重なる。バンドラも誘われるが如く、ハンコックの折れてしまいそうなほどに細い腰を抱き、そのまま舌を受け入れる。

 

「…どうじゃ?口直しの妾は…。」

 

「いつぞやはピーピー泣いてたくせによ。」

 

免疫がついたのか、ニヤリと笑うハンコックにバンドラもふっと笑う。バンドラに言われたことと自分が何をしているのかを理解したのかボフッと顔を赤らめる。

 

「…さ、酒でも飲んでないと…ダメじゃな。これ…。」

 

バンドラの胸に顔を埋め、見るなとうわ言のように言うハンコック。バンドラはふっと笑いながら、ハンコックの身体を少し強めに抱きしめる。

 

「…こ、今度は…ちゃんと…美味しいの…作るっ…からっ。

 

「あぁ。楽しみにしてるよ。」

 

バンドラとしてはまるで娘の成長を見ているかのように、目を閉じて優しげに微笑みながら、ハンコックの頭を撫でていた。シトラス系の香水の匂いが、鼻にふんわりと香る。

 

「今夜、其方の部屋に行っても良いか?」

 

「…いいよ。」

 

甘えるようにそう言うハンコックへバンドラも笑みを絶やさず、そう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…などと言っておったのに。」

 

外は真っ暗。バンドラの部屋にはハンコック一人。

ハンコックはムッと口元を膨らませながら、バンドラの部屋のベッドに腰掛けていた。

 

「大体、何が『会議』じゃ。妾も呼ばんか。…全く。ん?」

 

そういえばとハンコックは思い出す。

バンドラの部屋には脱ぎ捨てられたシャツが置かれていた。会議のたびに着替えるのだが、本日はいつもの和装で行ったようで、着替えた後にそのままにしてあった。

 

ハンコックは周りを見渡すとそのシャツに手をかけ、鼻の方へと持っていく。

 

「…この匂い。」

 

…爽やかなシトラス系統の匂いはハンコックのものと酷似していた。ハンコックはまるで食いつくようにその匂いを嗅いでいた。…ふと、考える。

 

…この服を着ればバンドラに常に包まれているような感覚に陥るのではと。

 

「ちょっ…ちょっと…だけ…。」

 

紅潮する顔と体温をよそに、ハンコックはバンドラのシャツに袖を通す。全て着るとなんとも…ハンコックの大きな胸により、シャツには起伏ができていた。しかし、腕周りはバンドラの服の方が大きく、ブカブカだった。ラフな格好をしていたためか、下から三番目までのボタンしか止まらず、胸の谷間が顕になっていた。

 

そんな無防備な恥ずかしさよりも、高揚感に包まれていた。

 

「…お、おう…これは…。」

 

自身の身体から香る匂いは変わらないが、少し前に着ていただろう残る体温に少し頭がぼーっとする。

 

「……好き…。」

 

ぼーっとしながらもバンドラのシャツを堪能するように、バンドラの一人用ベッドの枕をギュッと抱きしめながら、独りごちる。

 

いろいろしたいが、何もする気が起きない。

幸せとはこういうことなのかとハンコックは思った。

 

「ただいまー。っと。ハンコック〜?」

 

「っ!?」

 

ガチャリと開けられた部屋の扉。その音にハンコックは口から心臓が飛び出しそうなほどびっくりしていた。バンドラは扉の前で静止している。当たり前だ。絶世の美女と謳われたハンコックが自身の枕をギュッと抱きしめながら自身の服を着ているのだ。少し…いや、かなりびっくりしていた。

 

「えっと…これは…そのぉ…し、仕方ないじゃろッ!!ほったらかしにされる方にもなってみろぉッ!!」

 

見られたことへの羞恥のせいか、少しキレ気味にハンコックは叫ぶ。バンドラはそんなハンコックの顔を見て、ふぅっ…と息を吐くと彼女の肩をキュッと掴んだ。

 

「へ?…な、なんじゃ?」

 

天下の海賊女帝の顔も少々青ざめていた。

少し痛いぐらいの力でバンドラは肩を握る。

 

「…そういうことで…良いんだよな?」

 

「……へ?」

 

プルプルと震えるバンドラの下の方に目線を逸らすハンコック。ボッとハンコックの顔が赤く色づき、ことの重大さに気がついた。

 

「…ちょっ、ちょっと待てっ!?確かに、妾は一緒に居たいなどと申したが、別に夜伽をしたいわけじゃっ…んむっ!?」

 

バンドラに比べれば華奢なハンコックの身体は見るも簡単に押し倒され、そのまま唇を奪われる。突然のことに頭の中でハテナマークが飛び回っていた。

 

「ぷはっ…!!いきなり何を…!!」

 

「…仕事帰り、頭使って疲れた色男の部屋で女が自分の服を着てる…こりゃもう…誘ってるってことだろうが…。」

 

「つ、疲れたなら寝れば良いじゃろ?…そ、そそ、添い寝くらいならいつでも…はうっ!?」

 

首筋にキスをされるハンコック。

バンドラはもはや歯止めの効かない犬のようであった。ハンコックの身体には言いようのない羞恥と痒みがあった。

 

「…ダメか?」

 

ごくりと生唾を飲み、そう言うバンドラ。

汗ばんだ体のせいか、乱れた服装から見える首筋がハンコックには色っぽく見えた。

 

「…だ、ダメじゃ。明日はまた会議じゃろ。」

 

ハンコックは心を鬼にしてそう言う。

明日はハンコックも出席するし、腰が傷めば辛いのはハンコックだった。それに明日には魚人島にも出向く。バンドラはその言葉を聞くと…そうか…とポツリと言い、ハンコックから降りた。ハンコックはほっと胸を撫で下ろした後で、寝具に腰をかける。

 

「疲れたんじゃろ?ほれ、妾が其方を甘やかしてやる。」

 

「…ハンコック。」

 

パンパンと自身の太腿を叩き、優しい聖母のような微笑みを浮かべていた。バンドラはそれに甘える形でハンコックの膝に頭を乗せて横たわる。甘い柔軟剤の香りが鼻に残り、気疲れを癒していた。

 

「…その…。」

 

ハンコックは少し顔を赤らめて声をかける。バンドラは彼女の方を向くように上を向く。ハンコックが少し体を動かすとゆさっとハンコックのたわわに実った胸が揺れる。

 

「…迷惑では…なかった…ぞ。でも、強引なのは…やめてほしい。」

 

「…悪かったよ。」

 

「…ん。」

 

そう言ってハンコックは満足げな笑みを浮かべるとバンドラの頭を撫でていた。その二人の様子を扉越しに見る船員達の姿があった。




ちょっと長めに書いたつもり。
ちなみに船員の反応はこんな感じ。

プク顔…ヤマト、ビビ、ウタ、モネ
影のある笑み…レイジュ、シュガー
呆れ顔…カリファ、スムージー
赤面…レベッカ、カリーナ
ポカン…エース

ってな感じ。まぁ、見られているのは別にどうでも良いです。ガチ戦闘を書くとしたら、次はキッド達かなぁ…なんてね。まぁ、あとは魚人島で麦わらの一味とやるかどうか。では。

スッ…

  • ヤマト
  • ウタ
  • ハンコック
  • ビビ
  • レイジュ
  • モネ
  • スムージー
  • ロビン
  • ナミ
  • カリファ
  • シュガー
  • カリーナ
  • レベッカ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。