燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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第296話

「“ギョジントウ”?」

 

「あぁ。今から行くのはこの大海の下の下。かのゴール・D・ロジャーも訪れた国、俺は一度そこにある理由のために訪れた。その…答えを今から聞きに行く。」

 

ルエノルーヴ号の甲板の上、バンドラと話すはヤマトだ。その目の前には浮かれ気味のウタと微笑を讃えるモネ、ビビの姿があった。

 

「ジンベエのとこだろ?」

 

バンドラの横で胡座をかいて座るエースがそう言った。バンドラはあぁ…と小さく笑う。

 

海峡のジンベエ。バンドラと同じく元王下七武海の一角にして、魚人空手の名手。その拳の一撃は海すらもかち割るという。

 

「この海で魚人族に勝てる人間は少ねえ。地の利さえ生かされれば、能力者だってあっという間に大破だ。俺はエレジア防衛に魚人族の手を借りようと思う。魚人族にはエレジアを守ってもらい、俺からは太陽の下で暮らせる場所を提供したいと思っている。その橋がけとしてウタのライブだ。」

 

「なるほどな。…あとは空か。」

 

エースのその言葉にバンドラは頷く。

 

「そこはもう考えてある。2度とあそこを戦場にはさせねえ。」

 

そう言うバンドラの顔には確固たる決意が出ていた。

 

「バンドラッ!!大変ッ!!」

 

そんな声が甲板に響く。バンドラは前を静かに睨み、立ち上がるとそこにはルエノルーヴ号を取り囲むようにいくつかの海賊船が立ち塞がっていた。

 

「くくっ。真ん中にいるやつにゃ、見たことがあるぞ。」

 

「あぁ。ユースタス・“キャプテン”・キッド。」

 

船団の中央、ヴィクトリアパンク号には最悪の世代の筆頭格、ユースタス・キッドとキラーの姿が。それだけじゃない。その隣にはスクラッチメン・アプー、逆サイドにはバジル・ホーキンスの乗る船があった。

 

「天帝、バンドラッ!!五皇の座、明け渡してもらうぞッ!!」

 

その低く凶暴な声と共に、前の大船団から砲弾が降り注ぐ。

 

海に着弾し、ルエノルーヴ号の船体が大きく揺れる。バンドラは右手に電撃を纏い、攻撃をしようとするが、それより先にエースが船体から飛び出した。

 

「俺に任せてくれッ!!」

 

その直後、エースの右手はまるで太陽のように燃え上がる。エースが前へと拳を打ち込むと同時。砲弾は空中で炎に巻き込まれた。

 

「ッ!?アイツは…火拳ッ!!天帝と一緒にいるって聞いたが…マジだったのか…!!」

 

「『神火 不知火』ッ!!」

 

空中から炎をぶん投げるエース。その炎が船に突き刺さり、二隻…前後で真っ二つに裂かれたかのように壊れ、大破する。

 

「チッ!!…んっ?」

 

「相手はエースだけじゃない。」

 

甲板を蹴り、キッドの目の前へと出るバンドラ。その右手は雷を纏い、狂骨を握っていた。

 

斜めがけに振るわれる斬撃にキッドは鉄屑を纏った左腕を前に出すことでガードする。狂骨と鉄屑の間に、火花が散る。

 

「チッ!!本気でやりやがれッ!!舐めやがってッ!!」

 

キッドはそのまま左腕を振り抜き、バンドラを後ろへと吹き飛ばす。バンドラはヴィクトリアパンク号の船首に手をつき、後ろに回転しながら飛び、受け身を取った。

 

その隙をパニッシャーを振り回すキラーが狩ろうと前へ出る。

 

バンドラはニヤリと笑い、狂骨をしまう。

 

「ッ!?」

 

「…お前の相手はこいつだ。」

 

直後、キラーのパニッシャーを弾く銀閃が飛ぶ。キラーは一度、後ろへと飛び、体制を整えようとするも相手は…仮面をつけたビビはそれを許さない。

 

刃と刃がかち合った瞬間、曲剣の刃が激しく燃える。

 

両者はキッドを超え、ヴィクトリアパンク号の甲板へと飛び出る。

 

炎を撒き散らしながら、まるで舞踊でも舞うかのように速い斬撃を撃ち込むビビ。

 

回転と同時に炎が巻き上がり、風が吹きつけ、キラーはパニッシャーで防御するしかなかった。

 

「ア〜ップップ!!なんてざまだッ!!キッド。俺が助けてやるよッ!!」

 

「必要ねえッ!!スクラッチメンッ!!」

 

キッドのその言葉を無視して、アプーは胸をドラミングするかのように拳を打ち込もうとする。しかし、その一瞬をビビは許さない。キラーと闘いながら、ビビはもう一本の風の曲剣で旋風を起こし、アプーの方へと飛ばした。

 

「なぁッ!?ぐっ!!」

 

アプーは吹き飛ばされないように甲板を自身の手で握り、身体を固定。その一瞬を狙い、ルエノルーヴ号から猛吹雪が吹きつけた。

 

「さ、さみぃぃぃッ!?」

 

アプーは船ごと凍りつく。と同時に、大量の雪が覆い被さり、例え溶けても動くことを困難にさせた。モネの一撃に一帯の海は凍り、能力者も海を渡れるようになる。

 

「噂以上か。天帝海賊団。…俺たちが戦わずして逃げれる確率…50%。勝てる確率…20%。…ここは逃げるが勝ちか。」

 

ホーキンスはタロットカードを前へと出し、野心よりも安全性を重視し、逃亡を図ろうとした。

 

しかし、そのホーキンスの前にも立ちはだかるものが。

 

…エースだ。飛び上がり、砲弾を爆破させると同時に、ホーキンスの前に着地したのである。

 

「どこ行くんだ?ホーキンス。」

 

「…火拳のエース。お前は何故、天帝に組している。…お前ほどの野心家なら、また船団を率いて海賊王になろうとすると思っていたのだが。」

 

「あ?…あの人は俺の命の恩人だ。俺はあの人に償い切れないほどの恩がある。だから、この命をあの人の為に…弟の為に使うって決めてんだ。御託はいい。かかって来いよ。」

 

「…『藁備手刀(わらびでとう)』」

 

ホーキンスが剣を引き抜くと、その刃は藁のようにふさふさになり、刀身がエースに向かって伸びる。

 

エースはそれを横に少しズレ、回避すると藁備手刀の刀身を武装硬化した手で掴む。あまりの奇行にホーキンスが目を疑った。と同時、ホーキンスの眼前に手を離したエースが飛び出す。その拳は真っ赤に染まり、吹き荒れる炎に包まれていた。

 

「テメェの能力じゃ、俺には勝てねえッ!!『火拳』ッ!!」

 

「くっ!?」

 

エースの腕から出た炎がホーキンスの上半身を吹き飛ばす。ホーキンスの船の甲板は燃え、爆発を起こした。

 

「クソッ!!どいつもこいつもッ…くっ!!『磁気“弦”(パンクギブソン)』ッ!!」

 

キッドは鉄屑の剛腕による打撃をバンドラへと打ち込む。

 

しかし、バンドラはそれを右掌で受け止める。キッドはそのまま拳を振り抜こうとするが…拳が動かない。

 

「…ッ!?」

 

その拳はバンドラの上半身を優位に握り潰してしまえそうな…そんな大きさをしているにもかかわらず、微動だにしない。

 

「…すまないな。急いでるんだ。」

 

「ぐっ!?なんだこの女ッ!!」

 

キラーとビビがバンドラ達の方へと戻ってくる。キラーの胸には縦薙ぎの真新しい斬撃の跡があり、一撃斬りつけられたのは一目瞭然だった。

 

バンドラはビビの方を向く。ビビは小さく頷くと、キラーの胸を横薙ぎに切り付け、ルエノルーヴ号へと戻っていく。

 

「…何する気だ…!!テメェッ!!」

 

「皇の座を取りに来るならいつでも来るがいい。此方も…なる意味があってなってるんだ。生きていれば歓迎しよう。全力で。」

 

バチバチという音と共に、バンドラの右手が青白く光る。海面の氷塊はバンドラから出る雷撃にバリバリと砕け、元の海へと戻っていく。その荒れ模様は完全に元通りとは言えないが。

 

青ざめるキッドとキラーをよそにバンドラはニヤリと笑っていた。

 

「弾けろ。『雷鳴顎(らいめいあぎと)』」

 

直後、バンドラの頭上から巨大な爬虫類の顎が開いたような形の雷が急速に落下。3人の船を噛み砕くように雷はその大口を閉めた。

 

「…安心しろ。船までは取らねえ。」

 

そう言ってバンドラはルエノルーヴ号へと帰る。その背後には体の焦げたキッド達が倒れていた。




ギリギリすぎる…。
まぁ、頑張っていきますわ。

次回魚人島。では。

スッ…

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