燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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第30話

ドフラミンゴファミリー、ドレスローザ襲撃事件後。

 

バンドラ達はリクドルド3世からのお礼と言うことで、大きな城の一室に宿泊させてもらうこととなった。大きなテーブルとベッド、窓も大きく、船内の部屋とは天と地ほどの差があった。

 

「い…イテッ…。」

 

「こらこら。動かねえの。」

 

バンドラは室内の椅子にヤマトを座らせて、消毒液の染み込んだガーゼで傷の手当てをしていた。

 

「むぅ…。このくらい治るよ?」

 

「化膿してからじゃ話が変わる。砂埃も入ってるだろうし。…折角の顔が台無しだろ?」

 

「でも、おでんならこのくらいの傷…。」

 

「おでんでも傷は治さないといけないもんなのっ。…全く。」

 

消毒液が染みるのが嫌なのか、バンドラがポンポンとガーゼで軽く叩くとヤマトを目を閉じて嫌がるそぶりをしていた。

 

その様子を見ていたウタがぴょこっと鏡台に顔を置く形でバンドラとヤマトを見ていた。

 

「どうした?お腹でも減ったのか?」

 

「んーん。…ちょっと。」

 

ウタはちょいちょいっと手招きをする。

バンドラはウタが耳打ちをしやすい様にしゃがんだ。

 

「あのね…それでね…。」

 

「…なに?」

 

11歳の少女から出たのは驚きの言葉だった。

…なんと、このドレスローザで歌をみんなの前で歌いたいという話だった。ウタは目を輝かせ、バンドラに言った。

 

「…ステージに立ちたいってことか?」

 

「ううん。それもあるけど…。私は私が元気にしてるよってこと、シャンクス達とルフィに伝えたいんだっ。それとゴードンにもねっ。」

 

そう言って歯を見せて笑うウタ。

バンドラはふっと微笑むとそんな彼女の頭を優しく撫でた。

 

「そのさ、毎回、ウタちゃんの話に出てくるルフィって誰?」

 

椅子の上のヤマトが聞く。

ウタはそれを聞いて頭を抱えた。

 

「んー。ルフィか。難しいなぁ…。」

 

「何言ってやがる。海賊好きな猿坊主じゃねえか。」

 

「ちょっと。ルフィの悪口言わないで。」

 

バンドラが答えると、ウタが両手を軽く握ってむすっとした顔でバンドラを睨む。髪の毛は開いたり上がったりと上下に動いていた。バンドラは笑いながら「ごめんごめん」と謝る。

 

「ルフィはね?…子どもっぽくて、すぐ喧嘩に走って、私との勝負にはすぐ負けるんだけどすごく負けず嫌いなんだ。」

 

「うんうん。それで?」

 

「それで?…え、えっと…。でも、ルフィは私の新時代を応援してくれた。すごいことだって褒めてくれたんだよ。…ちょっとムカつく。」

 

口ではこう言っているが、ウタの顔は優しく微笑んでいた。バンドラはその様子を見て、ニヤリと微笑む。

 

「で、ウタはルフィのことが好きと。」

 

「違うッ!!…そういうのじゃ無くて…。」

 

バンドラが茶化す様に言うとウタの顔がほのかに紅潮する。ぴょんっと髪の毛が立ち、あわあう…と言葉にならない言語を発していた。ヤマトはその様子に頭にハテナマークを浮かべながらも、ルフィという人とウタは仲がいいんだな程度に思っていた。

 

「ウタもルフィも仲良かったしなぁ。つまりは、ルフィに歌を届けたいから歌いたいと。…あの坊主がじっとして聞くとは思わねえが。」

 

「うん。それは私も思わない。」

 

コックリコックリと頷くウタ。

それで良いのかとバンドラは冷や汗を掻いた。

 

「じゃあ、ルフィのことは嫌いなのか?」

 

バンドラがそう聞くとウタはブンブンと頭を横に振った。バンドラはその様子を見てふっと微笑む。

 

「…それも違くて…わかんないけど…。でも、アイツといると安心するっていうか…。」

 

「ま、まだ、わかんねえよなぁ?ウタはお子ちゃまだし。」

 

「誰がお子ちゃまだッ!!」

 

立ちながら聞いているバンドラの腰あたりをポカポカと叩くウタ。ヤマトはその様子を見てくすくすと笑っていた。

 

「そういえば、ルフィの奴、お前がいなくなってシャンクスと喧嘩したんだとさ。」

 

「うぇっ!?ほんとっ!?あの二人がっ!?」

 

バンドラはコックリと頷く。

ウタは口をぽかんと開けて、信じられないと言った表情をしていた。開いた口が塞がらないとはまさにこのことである。

 

「まぁ、アイツも人の親だからな。お前を大事に思ってるんだよ。せめてやるな。」

 

「シャンクス、大人げない。」

 

「だから言ってやるなって。」

 

その日はトットムジカの暴走でエレジアが壊滅し、シャンクス達が船を出した翌日のこと。過去を知り、赤髪海賊団のみんなの事を知ったウタはシャンクスのことをくすくすと笑った。

 

「でも、ウタちゃん、バンドラのこと好きでしょ?」

 

ヤマトがいきなり切り出す。ウタはうんとねーと頭を抱える。

 

「バンドラのことは好きだよ。迎えにもきてくれたし、必要な時に居てくれる…私の…その…お兄ちゃんっ!!だから。」

 

顔を赤くして、ぴょこぴょこと髪を上下にさせるウタ。バンドラはその様子を見て、目頭を押さえて涙ぐんでいた。

 

「んー?どうしたの?バンドラ、お腹痛い?」

 

「いやぁ…あのクソ生意気な歌姫からこんなセリフが聞けるなんてなぁ…。」

 

「いや、私でもそのくらい言うよ…。」

 

ウタはじとーとした目でバンドラを見た。

 

「バンドラとシャンクス、それとルフィじゃ感じてる感じが違うんだ。なんなんだろうね。」

 

胸を押さえてそう言うウタ。

こくりと頷く姿にバンドラははぁ…っとため息を吐いた。

 

「…つーか、なんの話だっけ?」

 

「だーかーらーっ!!私が此処でライブをやるって話っ!!」

 

バンドラとヤマトはそんな話だっけ?と同じ向きに首を傾ける。ウタはぷくーっと頬を膨らまして、二人を見る。バンドラとヤマトは見合うと二人して笑う。

 

「しっかし、ライブか。」

 

バンドラは後頭部を手で掻く。

バンドラの考えも尤もだった。ヤマトは愚か、バンドラもウタもそう言ったイベント的なことをする力がない。…どっちみち、リクドルド3世を筆頭とした王族に話さないといけない。

 

「ふわぁぁ…。」

 

そう考えていると夜も更けてきたからか、ウタが大きく欠伸をする。目を擦り、眠そうにするその姿にバンドラは優しく笑った。

 

「ほら、寝てこい。」

 

そう言って、ウタの背中を押すバンドラ。そう言うとウタはこくりと頷き、ベッドへと入って行った。

 

「ウタちゃん。楽しそうだね。」

 

「…そうだな。」

 

バンドラは机の上に置かれた酒のグラスを傾けて、飲む。その横に水色のパジャマを着たヤマトが座る。

 

「珍しく今日は引っ付いてこないんだな。」

 

「うん。」

 

酒を飲みながらそう言うバンドラにお茶を飲みながら答えるヤマト。

 

「しっかし、そうか…ウタのやつ。アイツも大変だなぁ…。」

 

そう言って微笑むバンドラ。

ヤマトはそうだねと緑茶を啜りながら、ゆっくりとバンドラに肩を寄せる。バンドラは少し酔っているのか、その肩を優しく抱いた。

 

「うぇっ…!?ちょっ…バンドラ?」

 

「…その傷、そこまで大きくねえ。残らねえはずだ。」

 

「だ、大丈夫だよ。ボクはおでんになる。その時の武勲になるからね。」

 

にっと笑うヤマト。バンドラはそうかと酒を啜る。

ヤマトはそんなバンドラの肩に顎を乗せる。

 

「おい、ツノ当たるって。」

 

「良いじゃん。ボクも疲れたしっ。」

 

ヤマトのツノの側面がぐりぐりと頬に当たる。

バンドラは少しムッとしながらも、首を少し傾け、酒を飲む。

 

ヤマトがバンドラの左手に自身の右手を重ねる。

 

「ボクは、光月おでんの様にいろんなものを見てみたい。」

 

「あぁ。」

 

「だからさ、明日…ううん。明後日でも良い。此処を案内してくれないかな。バンドラ。」

 

ヤマトが小さな声でそう言う。

バンドラは既に空になったグラスを傾けると…わかったと小さな声で言った。

 




pixivでゾロナミのを見てたんですね?
そしたら、関連でルウタが出てきて…あとはわかりますね?そうです。沼りました。助けてください。

ヤマトはなんの隠しもせずに好き好き言うタイプやと思うんや。わい。
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