燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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第314話

「嘘をつくなッ!!バンドラさんがお前なんかを信用するわけねえッ!!」

 

「…俺とアイツは昔馴染みだ。自分で言うのもなんだが…結構仲良くしてたんだぜ?そりゃ、海軍やめたら仲間ぐらい勧誘されるだろうよ。」

 

クザンは何気無い顔でそう言った。

悲しいかな、クザンに比べるとエースもヤマトもまだ修羅場が足りていない。経験値が少ない中、判断するのはバンドラの人柄のみ…だが、それをやりそうなのがバンドラなのだ。

 

「あの男は、気に入った奴なら仲間になるハードルは高いだろう。それに、黒ひげ海賊団とドンパチやる気なら…戦力は欲しいはずだ。アンタらだけで十分なのか?天帝海賊団は…アイツ一強じゃねえのか。」

 

「…だったら、試してみるか?…言っとくが強えぞ。俺もヤマトも。」

 

その言葉にヤマトも金棒の先をクザンに向けて答えた。…2人の覚悟をクザンは一瞥。

 

「…安っぽい挑発だな。海賊はそれで良い。…だが、まだお前らとやり合うのは嫌なのよ。」

 

そう言うとクザンは胸元から新聞を取り出し、エース達の足元へと投げた。エースは拾い上げるとそれを深刻な様子で睨む。

 

「どこから漏れた…。」

 

そこの一面には天帝海賊団と九蛇海賊団の同盟が記されていた。元来、七武海と五皇の同盟など御法度中の御法度。海軍、七武海、五皇の三代均衡が大きく崩れてしまうからである。

 

「リークしたのは風の噂ではたった1人の男らしい。黒ひげともマリオネット海賊団とも違う。ほら、後ろを見てみろ。」

 

「…“グスタフ・ドーラ”…。」

 

そこに映っていたのは金の目、銀髪の男だった。グスタフ・ドーラと書かれた男は凶悪な笑みを浮かべて、新聞紙の一面に切り取られていた。

 

「聞いた話では、この男は世経に自分の名前と顔を出すように言ったらしい。しつこくな。そんなことをすれば、海賊に狙われちまうだろう。ただの馬鹿だ。」

 

「確かに…バンドラだったから良かったけど、これが他の海賊だったら…。」

 

「いや、それもどうだろう。」

 

ヤマトの言葉に考え込むエース。

 

「あの人にとってはハンコックも守るべき仲間だ。…もし、それが危険に遭うのであれば…あの人は修羅になる。」

 

「そう。だったら、あらゆる組織と全面戦争になる。…だったら、戦力は多い方がいいだろう?」

 

そう言うクザンにエースとヤマトは目を向ける。

 

「…ボクはいい。…みんなが危険に晒されないようになるなら戦力拡大は。…でも。」

 

ヤマトは思わず、困惑の表情でエースを見る。エースにとっては親父の仇の1人にして、自分を殺されかけた相手。簡単に信用しろとは虫が良すぎる。

 

「…俺はお前を認めない。」

 

「どうすりゃ認めてくれる。天帝のやつも言ってやがった。…俺がいくら言ってもお前が認めねえってな。」

 

「…男なら一つだろう。」

 

そう言うとエースの身体からメラメラと炎が上がる。クザンはそれを見て、大きくため息をついた。

 

「…馬鹿だねぇ。そんなことして、何がわかるの。」

 

「俺の気が晴れる。…だったら、それからお前の仲間入りをみんなで考えよう。」

 

…その言葉を聞いて、クザンの足元がカチカチと凍っていく。サングラスを外し、甲板へと投げ捨てると、クザンはギロリとエースを睨んだ。

 

「ポートガス・D・エース。…あの日ぶりだな。こうして拳を交えんのは。」

 

「…俺は認めねえぞ…青キジッ!!」

 

「…かかってきなさいや。青二才ッ!!」

 

そう言って2人は地面を蹴る。

エースもクザンも目の前の男へ拳を撃つ。ぶつかり合う拳に周りの海が大きく揺れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある港町…民家。

一般的な庶民の民家であり、海賊、海軍なんて関係ないような綺麗な家…だった場所。

 

「んぐんぐんぐ…ぷはぁッ…。ウメェなぁ。…この酒。結構美酒だ。」

 

…酒瓶を持ち、直でがぶ飲みする男。同じ酒瓶が地面にも机にもゴロゴロと転がっていた。男の近くには10代の若い女の子。その男の目の前には血走った目の老父とガクガクと震える老婆の姿があった。

 

「記事、出たんだよな。」

 

「は…ははは…はい…。」

 

「だったら、俺の元に雪崩れ込んでくるなぁ。…カッハッハッ!!…いいねェ…拳が唸るぅ…!!」

 

男はそう言うと自身の右手に力を込める。先ほど話をふられ恐怖に震える少女に見せつけるかのように筋肉を隆起させる。血管が隆起し、剛腕がさらに太くなる。上裸の背中には白い虎の刺青が入れられていた。

 

「女ァ…俺と海を旅しねえか。海はいい…ッ!!自由で何をして罪に囚われない。生きているだけで罪の俺たち、海賊(クズ)どもにゃな。」

 

「…っ!?」

 

男は女の尻を触る。

端正な顔に両目の下を横断する一文字の傷、そして右目を縦に切る傷が十字になっていた。目は金髪、髪は腰まで長い銀の髪。怯える女を見る目は野獣だった。

 

「…クソッ!!うちの娘をッ!!」

 

老父…娘の父親は海軍上がりだった。乗っ取られた家の朝は後ろのリビングの棚からショットガンを取り出すと、その銃口を男の頭に向ける。男は老父の方を向かず、ニヤリと笑う。

 

「…おい。それをこっちに向けたら、死ぬのは…テメェだぜ。」

 

「ッ!?」

 

老父はその低い声を聞いてもなお、銃口を男へと向け続けた。男はそれを見て、ふっと笑うと手に足元の瓶を持つ。

 

「…忠告はしたぜ。」

 

「う、うわぁぁぁぁッ!!」

 

老父が放った銃弾を男は娘を盾に交わす。娘の眉間から血が滴り落ち、娘の身体が床へと倒れた。男は大机を蹴り飛ばすと、一足飛びに老父へと駆け寄る。

 

「俺が海賊になったのはよくォ…人、殺したくて海賊になったんだ。…こんなふうにな。」

 

男が老父の頭へ酒瓶を振り下ろす。すると老父の頭は豆腐のように砕け、その場に体のみが倒れ伏した。

 

老婆の悲鳴だけが部屋に響き渡る。男はポケットから葉巻を取り出すと火をつけてふぅっと上へと煙を吐いた。

 

「…忠告はしたんだけどな。」

 

男はボソリとそう呟くと立ち上がる。恐怖から立てなくなっている老婆の元へと近づくと、その頭をガシッと掴み、顔を見た。その顔は恐怖から涙を流してはいるものの、愛した家族を無茶苦茶にされた男への怒りから男を睨んでいた。

 

「…家族だの愛だのどうでもいい。所詮は自分可愛さの人間しかいないんだ。世の中そうだろ。」

 

男は側においてあった老父のショットガンを拾うと、その銃口を老婆の口の中へと突っ込む。

 

「…じゃあな。」

 

氷のような目で男はその引き金を引いた。

 

程なくして海軍が家へと攻め込む。そこには老夫婦と娘の死骸と…その家で酒を飲む銀髪の男の姿があった。

 

「お前がしたのか。」

 

ガチャリと銃口を向ける海兵達。男はそれをチラリと見るとまた酒瓶を取り出し、浴びるように飲んだ。

 

「…一家心中だって言ったら信じるか?」

 

「無理だな。これはお前がした殺しだ。」

 

その中の1人、重役だろうか。冷静に状況を判断する海兵の言葉に男は立ち上がる。

 

「…そうか。」

 

「…お前だな。グスタフ・ドーラってのは。」

 

「俺も有名人になったもんだなぁ…!!…これで海軍も海賊も世界政府ですら俺を放ってはおけない。」

 

そう言うと男…グスタフ・ドーラはニヤリと笑いながら、立ち上がる。口元から流れる酒すらも気にせず、海兵達を見た。

 

「残念だが、俺に銃口を向けた奴は死ぬんだ。」

 

「…それがどうした。ここにいるのは我々だけではない。外にも何人もいる。一支部が全員お前のために来ているんだ。」

 

それを聞いてグスタフは手に持った酒瓶を放り投げて、ニヤリと笑った。

 

「おいおい…ワクワクさせてくれるねえッ!!この俺をよォッ!!」

 

そう叫ぶとグスタフは即座に海兵へと距離を積める。

 

全員が無造作に引き金を引き、銃弾を放つが、グスタフには当たらない。

 

まずは前の2人。

グスタフは両手の親指を黒化させると2人の腹部を貫く。

 

「「ゴハァッ!!」」

 

「まずは2人ィッ!!」

 

そのまま2人の身体を持ち上げると1人ずつ、他の海兵へと投げた。その顔はまさに悪魔。狡猾とした笑みは人間のものではなかった。

 

「さぁ!!まだまだいくぞォッ!!」

 

…この日、海軍一支部の人間…総勢300人あまりが…1人の人間によって抹殺された。




グスタフ・ドーラ…最狂の男。彼はある男の仲間になります。目指すは…ワンピース。マグロディズマとは関係ありません。が、その内、天帝海賊団の障壁になります。

おそらく、オリキャラ最後の男かな。では。次回はクザンvsエース。

スッ…

  • ヤマト
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