燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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第32話

「ん?なにあれ?」

 

ドレスローザ内で一際目立つ場所と言えば王宮を抜いて、ここがある。ヤマトはそこに指を指した。バンドラも…ここか…と言った苦々しい表情を浮かべる。

 

「…コリーダコロシアムだな。男女二人で行くような場所じゃないってのは聞いてる。」

 

コリーダコロシアムは闘士と闘士が戦う場所。血生臭いものと熱気に包まれた場所は男女二人で行くようなところではない。行くぞと足を進めるバンドラ。

 

「わー、賑やか。」

 

足をすすめて二人は港町アカシアへとやってくる。

そこでは料理の匂いと人々の声により、町中が騒いでいた。ヤマトもそれを見て、にこやかになる、

 

「流石はドレスローザ。良い匂いがするな。」

 

くんくんと匂いを嗅ぐヤマト。

湊町ということも相まって、海鮮の香りが辺り一面を占める。とはいえ、まだ昼前。二人とも腹は空いてはいない。

 

「…こういう人通りの多いところなら、ウタのライブも成功するか?」

 

「ボク、こんなに賑やかなの久しぶりだな。」

 

そう言ってヤマトが目を輝かせながら周りを見る。まるで初めての場所に来た子どものように。

 

…ワノ国すら全てを知らないヤマトにとってはまさに海の外の世界は未知。知っている人間には他愛ないことでも彼女にとっては全てが新鮮である。だからこそ、見るもの全てに心を躍らせ、聞く音全て、嗅ぐ匂い全てに新鮮味を覚えるのだ。

 

バンドラは改めて連れてきてよかったと思った。

それは純粋に綺麗な踊り子を見れるからだとか、そんなチャチなものじゃない。ただ、ヤマトが…あの岩屋で死にそうになっていた子が笑っている。それが至福であると実感しているのだ。

 

「ねぇねぇっ!!」

 

「うおっ…!!」

 

バンドラの左腕にギュッと抱きつくヤマト。

温かく柔らかな感触にバンドラは横を見る。首を傾げるヤマトは知ってか知らずか、にっこりと笑う。例え、バンドラではなくとも、男女二人というだけで意識をしてしまうもの。ヤマトにどんな感情があろうとも。

 

「楽しい?」

 

バンドラがそう聞くとヤマトはコックリと頷く。良かったと目を細めて笑うバンドラにヤマトはほのかに顔が暑くなるのを感じる。

 

「どうした?」

 

「ん?んーん。なんでもないっ。ウタちゃんのとこ、そろそろ行こっか。」

 

笑いながらそう言うヤマトにバンドラは首を傾げる。

ヤマトはなおも、自分の感情に確信を持てないまま、いつものように戯れ合うだけだった。

 

「でもまぁ、わかっちゃいるが…。」

 

「ん?」

 

バンドラは周りを見渡す。

…服装が浮いているからか、外の人間だからか、それともこの状況を見てか、周りからの視線をひっきりなしに感じるバンドラ。ヤマトはそんなことを気にしないのか、小首を傾げる。

 

「あっ。見てっ。」

 

「…おっ。」

 

ヤマトが前へと指を指す。

そこには、ウタとモネ、そして、ヴィオラの姿があった。二人はゆっくりと3人に近づく。

 

「あらっ。お楽しみだったみたいね。」

 

「うんっ。楽しかったっ。」

 

口元を押さえて言うヴィオラに目を細めて笑顔で言うヤマト。バンドラはふっと笑うと、ウタの方へと近づく。

 

「場所は決めたのか?」

 

「うん。…さっきの向日葵畑にしようと思って。」

 

ウタがにっと歯を見せて笑う。

その姿は少し東の海に置いてきた幼馴染が重なった。それを知っているバンドラはくすりと笑う。ウタはその様子に小首を傾げた。

 

「私の力が使えないから、せめて綺麗なところにしようと思って。」

 

ウタウタの実は自分の世界に相手の意識を取り込む力。自分の世界の為、羽を生やしたり、まさに変幻自在なのだが、それを使いすぎると逆に疲れて寝てしまう為、折角のライブが数分で終わってしまう。ウタはそれが嫌なのだ。

 

「…良いと思うが…。」

 

「ええ。踏み荒らすわけにも行かないから、場所は用意しなくちゃ。」

 

ヴィオラがそう言い、書類を確認し出す。

バンドラもそう考えていた。向日葵畑はドレスローザを代表する場所。例えイベントとはいえ、そんなものを荒らすことは断じて許されない。ずっと抱きついてるヤマトに離れるように言い、ヴィオラの元へと行く。

 

「馬車か何かにステージを引いてもらって、向日葵がない場所で歌うしかないな。」

 

「そうね。バックに向日葵でもいい?ウタちゃん。」

 

ウタは大きく頷く。

ヴィオラはそれを見て、書類に書いていく。

 

「だいぶと慎重なのね。英雄さん。」

 

ヴィオラの隣にいたモネがバンドラの肩に手を置き、そう言った。

 

「英雄?なんだそりゃ。」

 

「海賊からドレスローザを救った英雄。その話題で持ちきりよ?」

 

「俺は別に。救おうとして救ったわけじゃない。結果的に救っただけさ。」

 

遠いところを見ながらそう言うバンドラ。

モネはゆっくりとバンドラに近づき、背中に手を当てるモネ。

 

「ん?」

 

「久しぶりに会えたのだもの。旅のお話聞かせて欲しいわ?」

 

首を傾げてそう言うモネ。

少なくとも好意的に見ているのは確かではあるが、バンドラとモネにそこまでの関係はない。

 

「…揶揄ってる?」

 

「あら、私を誘ったのは貴方でしょう?一緒に海に行こうって。」

 

「…誤解を招くようなこと言うな〜。」

 

ジトーとモネを見るバンドラにクスクスと笑うモネ。

 

「バンドラとモネさん、知り合いなの?」

 

バンドラの隣にいたウタが聞く。

ウタの疑問にモネは少々不気味に笑う。

 

「ふふ。そうよ。私、このお兄さんに助けてもらったの。」

 

「なぁに。可愛らしいお姉さんが居たらそこに行くのが男だ。」

 

ふっと笑うバンドラ。

言われ慣れていないのか、ただ可愛らしいの一言でモネは口元に手をやり、照れたように横を見る。後ろからヤマトがむすっとした顔で見ているのを除いて、そこは平和だった。

 

「…。」

 

「うおっ…。ちょっ…どうしたんだよ。」

 

「あらっ。」

 

我慢の限界なのか、後ろからヤマトがやってきて、ガシッとバンドラの左腕に抱きつく。バンドラはびっくりしたようにヤマトを見るもヤマトは答えない。ウタはびっくりしていたが、モネとヴィオラは口元に手をやってクスクスと笑っていた。

 

「なるほどね。」

 

そんなヤマトに対抗するようにモネも右腕にゆっくりと腕を絡めた。

 

「こら。モネ。意地悪してあげないの。」

 

「すみません。ヴィオラ様。…ちょっと可愛くって。」

 

モネはクスクスと笑う。良い性格をしてるもんだとバンドラは冷めたように笑った。

 

「ヤマト?大丈夫だから、な?」

 

「ふふ。ごめんなさいね?」

 

そう言ってモネはゆっくりと手を離す。

ヤマトは安心したかのように、バンドラの腕に頬擦りをしていた。バンドラは優しく笑うとヤマトの頭を優しく撫でる。

 

「偉く懐いているのね?」

 

「コイツも色々あったからな。俺といるとどうやら安心するらしい。」

 

ほのかに優しい顔をするバンドラはまるで兄のような、父のような…感覚をモネとヴィオラは感じる。

 

「とはいえ、独り占めはダメよね?」

 

「モネ。客人に失礼でしょ。」

 

ニヤリと笑うモネにヴィオラはジトーとした目で見る。モネはそうですねと怪しげに笑った。

 

「さて、そろそろライブの会場も決まったし、お昼にしましょう?バンドラさん、良いかしら。」

 

「あぁ。」

 

お昼と聞いて、ウタの髪がぴょこっと上がる。

お腹が空いていたのだろう、それを見たバンドラは声を押し殺して笑っていた。

 

「それじゃあ行きましょうか。」

 

そう言って王宮へ帰っていく5人。

ヤマトは安心したのか、バンドラの手から腕を離す。

 

「…ごめんね。」

 

耳打ちするようにヤマトにバンドラはかまわないと笑った。




偶にはこんな話も。
次はライブか、モネさんか。モネさん、10年前だから20歳くらいなんだよね。クールなモネさんがだんだんと絆されていくの良い…。

ドレスローザが終わったらどうしようね。回ってってワポルとか、クロコとか倒してったら原作時空になったとき、困るのは私です。はい。イチャイチャもギャグ?もほのぼのも無限に書けるわけじゃござんせんから。では。
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