燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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第39話

…砂の王国アラバスタ。

辺り一面を砂が覆うも、人々の活気は失われず、逞しく生きる人々の姿が垣間見える。そんな場所へとバンドラたちはやってきたものの…。

 

「暑いっ!!」

 

照りつく日光にウタが狼狽する。

テンションが下がっているのはウタのトレードマークの背後髪を見ても一目瞭然だった。

 

「だから言ったろ?服、変えねえとって。」

 

「…ボクも暑い。これ、脱いで良い?」

 

「だめだ。」

 

いつも元気いっぱいのヤマトですら、その暑さが堪えている。というのも、ヤマトもウタも腕全体が露出している服装をしているため、その上から羽織を着ているのだ。焼けないように。

 

ロビンも汗をかきながら、その意図を理解しているのか、文句は言わずに袖の長い服を着ていた。

 

「…バンドラだけずるい。ヒエヒエとか。」

 

「集中切らすと切れるけどな。」

 

汗をかいていないのはバンドラのみ。バンドラは周りに寒波を纏い、暑さを寒さでかき消すことで涼しく過ごしているのだ。能力は使い用というやつである。

 

「むぅ…。えいっ。」

 

「うおっ。ウタ、暑いんだったらひっつくな。」

 

「おおー。ほんとにヒエヒエだぁー。」

 

バンドラに抱きつくウタ。

満足そうな顔で笑うウタにヤマトも同じことをする。

 

「本当だ。冷えてる。」

 

「動きづらい…。」

 

左手にヤマト、右手にウタが抱きついてる状況。満足そうな2人を抱えて動きづらいとバンドラは2人を見て行った。

 

「ん〜っ。」

 

特にヤマトは気に入ったのか、バンドラの腕に頬をすりすりと擦り付けていた。

 

「…貴方達、どこでもやるのね…。」

 

その様子をロビンが冷めた目で見ている。

バンドラはあはは…と苦笑いをして、そのまま砂しかない砂漠を進んでいく。

 

宮殿のあるアルバーナの近く。

バンドラ達が足をすすめると…。

 

「もし。」

 

1人の人物に止められた。

 

「コブラ王から話は聞いております。歌姫とそのご一行様ですね。私、アラバスタ王国護衛隊副長を務めております、ペルと申します。どうぞよろしくお願いします。」

 

「これはご丁寧に。俺は歌姫の保護者のようなものをしている、バンドラというよろしく。」

 

「…失礼かとは申しますが…この状況は一体?」

 

その人物…ペルは冷や汗をかいた笑顔でバンドラの状況を見ていた。確かに初対面の人間からすると手に2人の少女抱きつかれた男が来たという状況である。ペルも飲み込もうとするも飲み込めない。

 

「…あ、あぁ。これはまぁ…こういうもんだと思ってくれ。」

 

「「無理です(でしょ)」」

 

バンドラがそう言うとロビンとペルが同タイミングで声をかぶせてそう言ってくる。バンドラはそうかと笑った。

 

「…コブラ王にはお嬢様がいらっしゃいます。いくら客人とはいえ、あまりそのようなものをお嬢様の目に触れぬよう、お気をつけください。」

 

先程とは打って変わり、バンドラをキッと睨むペル。バンドラはわかったと頷くと2人に離れるように言い、そのまま着いていく。

 

「なんなの、あれ。なんかやな感じ。」

 

「そう言うな。ウタ。彼方さんには彼方さんの流儀がある。しかも、この国は彼方さんのだ。俺たちに文句を言う余地はない。」

 

ぷくーっと頬を膨らませ、ペルを後ろから睨むウタ。バンドラはそんな彼女の肩に手を置き、ニヤリと笑う。

 

4人はペルの案内で、アルバーナ宮殿へと入る。そこには1人の椅子に座る男と汚れた格好の女の子、そして、ペルと同じ服を着た男が立っていた。

 

「王様。歌姫プリンセス・ウタとそのご一行様をお連れしました。」

 

「おおー。これがリク王の絶賛する…。」

 

バンドラは一歩前に出て、片膝をつく。

 

「初めまして。ネフェルタリ・コブラ王。私、プリンセス・ウタの保護者的立場の者、バンドラと申します。宜しくお願いします。」

 

「これはご丁寧に。私はネフェルタリ・コブラ。このアラバスタの王をしている。よろしく。」

 

コブラはゆっくりと腰を上げると、バンドラの元へとスタスタと歩いてくる。目の前まで行くとコブラは手を出してくる。バンドラはそれに右手を出し、2人は握手を交わした。

 

「リクドルド3世様より、お話は通っているかと存じます。」

 

「あぁ。2日後の朝。このアルバーナにて、場所を手配しよう。それまでは客人たちは観光でもしてくればいい。とはいえ、見れるものはあまりないが。」

 

「いえ、お気遣い痛み入ります。」

 

バンドラがふっと微笑むとコブラも柔らかな表情をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「喉乾いた〜。」

 

「水は大切にしろよ?」

 

アルバーナ宮殿を抜けたバンドラ達は下見に出かける。ウタは首からかけた水筒の中の水をゆっくりと飲んでいく。

 

「バンドラぁ〜…暑いよぉ〜…。」

 

「…なら、引っ付くな。」

 

「引っ付いたら涼しいもん。」

 

今もなお、寒波で体を覆っているバンドラ。それに味を占めたのか、はたまた、バンドラに引っ付く理由にしているのか、離れようとしないヤマト。

 

「また怒られるわよ。バンドラさん。」

 

「言っても聞かねえしなぁ…。」

 

「一回気絶させておこうかしら?」

 

手を構えて平然な顔でそう言うロビン。

バンドラはやめろと苦笑いで言った。

 

「…お客人。この時計台の下とかはどうだろうか。」

 

ペルがとある場所で止まる。

そこはアルバーナを代表とする大きな時計台のある場所だった。ウタは先程の苦しそうな顔からは打って変わり、品定めをするような顔に変わる。

 

ウタにとって歌う場所の剪定は時間をかけても良い場所。周りの景色はウタにとっては絶対に妥協のできないところ。

 

「…うん。此処にする。」

 

ウタが満足いったと言うように首を縦に振る。

ペルはそうか…と笑った。

 

「では、コブラ王の命により、皆様、このアルバーナを観光してきてください。夕食は宮殿にてご用意しておきます。」

 

「助かる。ありがとう。」

 

「ライブの成功、祈っております。では。」

 

そう言ってペルは自身のトリトリの実モデル(ファルコン)の能力で空を飛んでいった。

 

ペルがいなくなったことと場所が決まったことで緊張感が無くなったのか、汗が垂れてきたウタがバンドラへペタリとくっついた。

 

「うぅ〜…ベタベタするぅ〜…。」

 

「それについては同意ね。」

 

ウタの声にロビンが髪を掻き上げ、言った。表情は変わってはいないが、彼女の肌にもポツポツと汗玉が現れる。

 

「バンドラ〜…脱いで良い…?」

 

ヤマトは流石の暑さに滅入っているのか、バンドラの腕をギュッと掴んで、目をうるうるさせながら、バンドラを見ていた。バンドラははぁ…とため息を吐くと、ヤマトの抱きついていない左手の指をパチンと鳴らす。

 

「おおー。涼しい。」

 

「お前らの周りも涼しくした。…が、水分はこまめに取れよ?別に汗がかかなくなったわけじゃあねえんだから。」

 

「あら…私も?」

 

ロビンも不思議そうに自分の周りを見る。

バンドラはニヤリと笑いながら口を開いた。

 

「別に減るもんじゃねえし。今はお前も仲間だ。少しくらい欲かいてくれや。」

 

「……後悔するわよ?」

 

「綺麗な姉ちゃんといて後悔するもんかよ。…て、イテェっ!!」

 

ロビンと話をするバンドラ。ニヤリと笑うバンドラが気に食わなかったのか、ヤマトがバンドラの腕をきゅっとつねる。バンドラがそっちを見るとヤマトがプクッと頬を膨らませて、バンドラを睨んでいた。

 

「…バカ。」

 

「は?馬鹿ってなんだよ。」

 

ボソリと呟くヤマトにバンドラはジトーとした目で見る。ウタとロビンはその様子を見てクスクスと笑っていた。




リアルが忙しくなってきたから投稿頻度落ちます。
毎日は無理くさいですが週一か、ニ以上は出せるようにします。

鰐はもうすぐ出るかな。
ロビンをどういう感じにするかも少し考え中です。

バロックワークス勢なら私はダブルフィンガーとキロキロの子が好きです。男なら0と1と3、おかまなら2ですね。ボンちゃんとガネガネおじさんは頂上戦争で爆上がりです。

ではでは。

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