燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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第46話

「言っただろ?良い男ってのはすぐ女を取っ替え引っ替えするんだよ。」

 

「むぅっ。応援するって言ったじゃんっ!!」

 

「おやぁ?…そういうの、なのかい?」

 

バンドラを挟んで睨み合いをする2人。ヤマトは右腕に抱きつき、ブラックマリアを睨み、ブラックマリアはバンドラの左にピタッと寄り添い、笑いながらヤマトを見ていた。

 

「光月おでんは男の人に恋をするのかしら?」

 

「し、したかもしれないじゃんっ!!」

 

「それでもおでんが結婚したのは女の人よ?坊ちゃんはおでんになりたいんじゃないの?」

 

ヤマトがぎゅーっとバンドラに抱きつき、ぐぬぬと歯を食いしばった。勝ち誇ったように余裕綽々に笑うブラックマリア。バンドラの胸元に手を入れ、胸を撫でる。

 

ロビンとウタに助けを求めるように目を向けるバンドラ。しかし、ロビンもウタもその様子を見て、動けずにいた。優しい目で3人を見ていた。

 

「…はぁ。」

 

ため息を吐くのはバンドラ自身だった。

 

「マリア。ヤマト。そろそろ離してくれ。」

 

「おや、バンちゃんはどっちが好きか、言ってくれないのかい?」

 

「アホか。」

 

バンドラはヤマトとブラックマリアに話してもらい、ブラックマリアの膝からポンっと飛び降りる。ブラックマリアとヤマトがキョトンとした顔でバンドラを見る。バンドラはニヤリと笑う。

 

「…嫌だったらとうに消えてら。良い女に言い寄られて、嫌な男は居ねえだろ?」

 

ニヤリと笑いながらそう言うバンドラ。

ブラックマリアもヤマトもにっと微笑んでいた。

 

「ウォロロロロッ。やっぱここに居たか、バンドラ。」

 

カイドウが遊郭へとやってくる。

ニィッと笑うその顔はバンドラには見覚えがある。そろそろか…とバンドラが狂骨を握る。

 

「アハハ。バンドラも中々狂ってるよねっ。」

 

「やだよぉ。男ってのは…馬鹿ばっかだ。」

 

バンドラとカイドウのその姿にヤマトとブラックマリアは笑っていった。

 

…鬼ヶ島から場所を変える。

そこは本当に何もない場所だった。近くの大海には船が一隻。そこにはウタ、ロビン、ヤマトのバンドラと旅をする面々とキング、ブラックマリア、うるティとページワンの百獣海賊団の面々だった。

 

「…何が始まろうとしてるの…?」

 

「カイドウさんとあのバンドラは、一年に一度、本気の勝負をするらしい。文字通り、死ぬか生きるかの戦いをな。」

 

ウタの言葉にキングが答える。

ヤマトとウタの頬に汗玉がツーっと流れる。死ぬか生きるか…。特にカイドウの強さやバンドラの危険度を知るヤマトは不安そうな顔で見ていた。

 

「ふぅ。久々だねえ。」

 

首をコキコキと傾けて、笑うバンドラ。カイドウも酒を流し込むと地面に向かって大きく八斎戒を振り下ろした。

 

お互い笑っているも威圧感は遠くの船をも飲み込むほど。何せ、この2人が本気で暴れたら…島一つが簡単に消し去るからだ。

 

「「いくぞッ!!」」

 

バンドラが狂骨を握り、カイドウの懐へと入る。

 

その様子を見たカイドウが咆哮を上げ、上から八斎戒を振り下ろした。

 

「おっとッ!!」

 

バンドラは横へと避ける。

 

轟音と共に遠くにある軍艦をも揺らすほど。キングとブラックマリア以外は全員、驚きの声や悲鳴をあげていた。

 

「すげぇ…!!」

 

ページワンだけ、目を輝かせて見ていたが。

 

「『雷鳴八卦』ッ!!」

 

黒雷を纏う巨大な金棒がフルスイングでバンドラへと迫り来る。

 

「『黒式雷鳴』ッ!!」

 

バンドラはそれを黒刀化し、紫の雷を浴びた刃で受け止めた。ブゥンという鈍い音と共に強烈な突風が海に波を作る。

 

「カイドウさんのアレ、受け止めるなんてッ!!」

 

「…ボクもあそこまでは見たことがない。」

 

ワクワクとして見るページワンにうるティが上から飛びつく。ヤマトも口を開けて唖然として見ていた。

 

「ウォルァァッ!!」

 

「ハッ!!」

 

大きく吹き飛ばすカイドウ。

それを予期してか、バンドラは後ろへと飛び、八斎戒の先を避ける。髪が勢いの風により…大きく揺れる。

 

「おいッ!!バンドラッ!!本気出しやがれェッ!!」

 

大気が揺れるほどの声。

バンドラもその声に笑みを消す。一度、船を見るや否や、ふっと笑った。

 

「おい、カイドウッ!!テメェ…止められるんだろうな…ッ?」

 

ニヤリと笑うバンドラにカイドウも同じ笑みで返した。

 

「誰に言ってやがる…?」

 

「…了解。」

 

バンドラはふっと息を吐く。

その瞬間、バンドラの空気が変わった。胸に狂骨を持っていない左手をかざす。

 

「ワザワザの実は災害そのもの。その実は災いそのもの。…アンタ相手なら手加減なしでやれる。『天神災害(ウェザストル)』」

 

バンドラの周りを突風が覆い、弾ける。姿は変わっていないものの雰囲気や何やらが変わった。カイドウも心底嬉しそうにニィッと笑う。

 

「…全員、気合い入れろよ。」

 

船内ではキングが全員に聞こえるようにそう言った。

 

「…此処からの勝負は一味違う。」

 

「『金剛鏑(こんごうかぶら)』ァァァッ!!」

 

カイドウは思いっきり八斎戒を振るとそこから飛ぶ打撃が放たれる。

 

バンドラはそれを走って避ける。バンドラの足元には電撃が満ちていた。

 

「『晴天・獄門龍』ッ!!」

 

閃光の如く、速度を上げてバンドラはカイドウの背後に行く。

 

刀を振るうと炎の斬撃が竜の姿を模してそのまま大顎をあけて、噛み付いた。

 

「ウォロロロロッ!!やっぱやるじゃあねえかァァッ!!」

 

空中に血が舞う。しかし、カイドウはそれでも笑って動いた。

 

「『鬼殺天風乱(おにごろしてんぷうらん)』ッ!!」

 

バチバチと黒雷を纏う風がカイドウを包み込む。風はカイドウの肉を削ぎ、血を上へと飛ばす。

 

…しかし、ただでやられるカイドウではない。

 

カイドウは空へと龍の姿で飛び、咆哮を上げる。

 

「ぐっ…!!」

 

咆哮は稲妻を呼び、空中に飛んでいるバンドラを叩き落とした。地面に砂煙が立ち込む。

 

「ウォロロロロッ!!恨むんじゃねえぞォォッ!!『熱息(ボロブレス)』ッ!!」

 

カイドウは口から火の玉を吐く。

それは島の半分以上を抉り取り、風と勢いで大波が海に立ち、船が大きく揺れる。

 

「バンドラ…!!」

 

ヤマトは船の柵に心配そうな声を上げた。

 

「…アァン?」

 

砂煙が晴れるとそこには海が見えていた。

海に落ちたのか…とカイドウは思っていたが…。その海が大きく割れた。

 

「『天つ風・一紅葉(ひともみじ)』」

 

五つの風の槍のようなものが上からカイドウに突き刺さる。

 

カイドウは口から血を吐くと地面へと突き落とされた。

 

「…すげぇ…マジですげぇッ!!」

 

「…確かにあれは…カイドウさんにしか止められない。」

 

バンドラが海へと降り立つとその足からカチカチと凍っていく。バンドラはカイドウに向かって狂骨の先を向けるとニヤッと笑った。

 

砂煙が消え、現れたのはカイドウ。しかし、その姿は竜でも人でも無かった。

 

「ウォロロロロォォッ!!まだまだやれるよなぁッ!?バンドラァァァッ!!」

 

「…おうよッ!!行こうぜ…。『疾風刃雷(しっぷうじんらい)』ッ!!」

 

バンドラが雷を纏った刀を上から下ろす。

 

するとカイドウの上から雷が落ち、風の刃がカイドウを斜めがけに切り裂く。

 

カイドウはタフだった。

黒雷を纏った金棒がバンドラの上から降ってくる。

 

「『雷鳴八卦』ッ!!」

 

バンドラは両手に武装色を武装し、それをガードするも地面が割れた。

 

「…ふっ。」

 

バンドラの額からツーっと血が垂れる。バンドラはニヤッと笑って、狂骨を思いっきり振った。

 

カイドウは後ろに大きく跳び、それを避ける。

 

「…バンドラは…アレをボクを助ける為だけに…やってくれたんだ…。」

 

ヤマトの目にキラキラとした涙が浮かぶ。

…その瞬間、バンドラの身体がドクンッと動いた。

 

「…始まったか。」

 

カイドウが八斎戒を振り下ろす。バンドラは苦しそうに笑う。シューシューと音を立てながら、バンドラの身体からは煙が出ていた。

 

「なにあれッ!?」

 

ウタが指を指して見る。その顔は驚きに満ちていた。

 

バンドラを中心に大竜巻が上へと立ち上る。

 

「ぐぁぁぁぁぁッ!!」

 

大竜巻の周りにバリバリと雷が発生する。晴天だった空は厚く厚く雲が覆い、そこから大海原に周りが白くなるほどの大雨が降り注ぐ。

 

「キャッ…!?なにこれっ!?」

 

「……バンドラっ…!!」

 

「それだ…。あの日…3日目のあの日…。テメェは嵐を作り出しやがった。来るんだろ…。無差別に来るんだろッ!!」

 

カイドウはその様子を見てニヤリと笑う。バンドラはふっと笑うと、地面に降り立ち、竜巻を弾丸のようにカイドウへと放った。

 

「俺にももう止められねえッ!!カイドウッ!!体力尽きるまで逃げるか、俺を気絶させろッ!!」

 

「だったら話は一つだけだッ!!」

 

カイドウの胸はこれ以上なく騒いでいた。風の球は一発一発が海を割る一撃。しかし、それはバンドラの体力と引き換えであった。

 

「『雷鳴…ぬぉっ!?」

 

カイドウが雷鳴八卦を打とうとした時、バンドラが地面へと手を置く。すると地面は大きく抉れ、蟻地獄のようになるとその真ん中からマグマが噴き上がった。

 

それはカイドウの胸を掠め、焦がしながら抉る。

 

「ぐっ…。効くじゃねえか…。だが、あの時ほどじゃねえなぁッ!!」

 

そう言ってカイドウは吠えた。

バンドラは…口から血を吐きながら、笑った。




大きな力は代償も大きいのです。
自分の意識関係なく、能力が発動して色々な災害が起こるのですから化け物ですね。

でもまぁ、能力に頼りすぎてる感じもしなくもないです。覇王色は…。
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