燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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応龍がヘビヘビ、ウオウオ、リュウリュウで熾烈を極めてます。応龍って四聖獣のリーダー的存在なんだとさ。


第55話

「…。」

 

ホテルで心配そうに待つロビン。

その身体は震えていた。バスターコールの恐ろしさは彼女がよく知っている。そして、何故か戦艦もバンドラも見えなくなったのを…恐怖に感じていた。

 

「おや、どうしたんだ?」

 

「ッ!?」

 

ロビンは自分の身体をくるんでいた毛布を投げ捨て、バンドラの胸へと飛び込んだ。ぼすんと頭をバンドラの胸に軽く当てる。バンドラはびっくりしたように口を開けていた。

 

「ど、どうしたんだ?…珍しい。」

 

「…いえ、なんだか…寒くって。」

 

「そ、そうか?」

 

バンドラは胸に寄り添うロビンの腰に手を回す。ヤマトやウタを相手にするのとは違うので、少し戸惑うバンドラ。ロビンは何故か、バンドラの胸で啜り泣いていた。

 

「…どうしたんだ。」

 

「…ごめんなさい。貴方が…死んじゃうかと思って…。」

 

…ウタやヤマトよりも少し年上。大人びたロビンが見せた子どものようなその姿にバンドラはただ優しく抱きしめていた。

 

「…死ぬもんか。…もしかして、バスターコール…か?」

 

こくりと頷くロビン。

…そうかと優しげに言うバンドラ。ロビンの後頭部に手を置き、胸に寄せる。

 

「…んっ…。痛いわ。」

 

「あっ。すまん。」

 

「ふふ。大丈夫よ。…こうして、貴方と一緒にいると…なんだか落ち着くわ。」

 

バンドラの胸に耳を当てて、瞳を閉じるロビン。何故、数日数ヶ月しか居ないバンドラを信用しているのだろうか。ロビンにも定かではなかった。…他人を信用していなかったロビンにとって初めての感覚だった。

 

「どうしてだ?」

 

「…なんでかしら。あんまり人と触れ合って来なかったからかしらね。」

 

「…そうか。俺でよかったらいつでも良いぞ。」

 

そう言って笑うバンドラに釣られてロビンもクスリと笑った。

 

「でも、そんなこと言ってるとあの子達に怒られるわよ?」

 

「ハッハッハッ。…アイツらは大事な仲間さ。勿論、お前も。」

 

「あら、論点を逸らさないでくれる?」

 

「おーいっ!!バンドラっ!!」

 

元気なヤマトの声がロビーに響き渡る。ロビンはその声を聞き、離れると隣の椅子に座って、本を開き始めた。ほのかにロビンの顔が赤くなっているのをバンドラは見逃さなかった。

 

「ハハッ。バンドラ〜っ!!」

 

「ぐぉぉぉッ…!!」

 

バンドラを見つけたヤマトがバンドラへと飛びついてくる。バンドラはヤマトに怪我させないようにこけないよう足をしっかりと踏み締める。ヤマトの頭がバンドラの鳩尾付近へと入る。そんなことを知らない鬼姫はにぱーっとした笑顔でバンドラを見ていた。

 

「あははっ!!」

 

「…廊下を走らないの。…全く。」

 

笑顔でバンドラに抱きつくヤマト。

その頭を呆れたように笑い、バンドラは撫でていた。その後ろをまだ寝ぼけ眼のウタがやってくる。

 

「おはよう、ウタ(ウタちゃん)」

 

「……おはよう。」

 

朝からバンドラの腕に抱きつくヤマトを見てか、ウタが少し不機嫌そうにそう言った。バンドラとヤマトは横に小首を傾げた。

 

…一番ドッグ。

頼んでから2日ほど経った港に黒い大きな船が佇んでいた。

 

「こりゃあ、やべぇな。」

 

「あぁ。立派だろう?これを作っても金が余った。」

 

船体は黒と赤のツートンカラー。船首には狼の顔がついており、帆には目に稲妻の傷が入った髑髏のマークが掲げられていた。

 

「おい。俺は海賊じゃあねえぞ?」

 

「ハッハッハッ!!マー、気にすんな。髑髏つーのは信念の象徴だ。俺の船にドンと胸を張って乗れっ。」

 

冷や汗をかいて笑うバンドラにアイスバーグは口を開けて笑っていた。『作った船にはドンと胸を張れ』…それはアイスバーグの師匠がよく言っていた言葉だった。アイスバーグは自分の船を見て笑う。

 

「で、名前はどうする。」

 

「コウヅキオデン号。」

 

「プリンセス・ウタ号。」

 

「…あのなぁ…。」

 

ウタとヤマトの案は却下だった。

流石に安直すぎて、バンドラは肩を落としていた。バンドラのそれに不満があるのか、二人はプクッと頬を膨らまして、バンドラを見ていた。

 

「じゃあ、バンドラならなんてつけるの?」

 

「そうさなぁ…。ノワール・ハウンド号。とかどうだ?」

 

「……なんかダサい。」

 

「カッコいいッ!!」

 

バンドラが自信満々に船に名前をつける。

ウタが肩を落として落胆したようにジトーと見る中、ヤマトはキラキラと目を輝かせてバンドラを見ていた。

 

「黒い猟犬…ね。マー、いいんじゃねえか。」

 

「あらら…あんまり良くないか。」

 

バンドラは肩を落としながら、とほほと言った。ヤマトは笑いながら、そんなバンドラの頬をつっつく。

 

「マー、名前なんて後でいくらでも出来る。あと、仲良さそうだからベッドは大きいのを一つ置いといた。」

 

「まぁ…そりゃ。用意がいいんだか悪いんだか。」

 

バンドラは後ろ髪をかきながら、笑った。

アイスバーグもそれに対して口を開けて笑っていた。

 

「余った金はどうする。何か追加で注文しとくか?」

 

「ん?あぁ…。義手って作れるか?左腕なんだが。」

 

バンドラは顎を押さえて、考える。

…あの親子のことだ。魚人に手を折られ、泣いていた…強き母。自分は遅れてしまい、彼女の腕までを守りきれなかった。

 

「おいおい。俺らは船大工だぞ?そう言うのは科学者にでも頼んだらどうだ?」

 

「ええー?俺の知り合いつったら…。」

 

バンドラは嫌そうな顔で考える。

…かつて海軍の科学チームとして『MADS』というグループがあった。バンドラは狂骨の件やその他でMADSの面々には親しみを持たれているものの…なんとも頼みづらい。…いや、頼みたくない。

 

「……変な改造しかしなそうな奴らばっかりだ。せめて、頼み込めばジャッジならなんとかしてくれるか…。」

 

「マー。俺がやるとするならば、数年かかっちまう。一億近くあるからこれを持ってその知り合いの元へと行くといい。」

 

バンドラはまたも嫌そうな顔をした。

ジャッジとはジェルマ王国の現国王にして、5人の姉弟戦士を持つ男。かつて大喧嘩をしたのだが、バンドラの必死の説得(物理)もあり、ジャッジはバンドラと仲良くなった。現在は5人(一人逃げた為4人だが)にはしっかり感情があるものの、強い戦士として育て上げてるとか。

 

「またあそこに行くのか。ちょっとめんどくさいんだが…。」

 

ジェルマ王国は巨大な電伝虫で海を移動する移動国家。そこにたどり着くのは至難を極める。

 

「…ベガは…確実に改造するしなぁ…。ま、何とかしてみるわ。ありがとう。船。」

 

「おう。また何かあればよろしくな。」

 

バンドラは手を上げて、アイスバーグに挨拶をする。アイスバーグもそれに対して、旧知の友のように手を挙げた。

 

「ロビン。隠れてろ。」

 

バンドラは震えるロビンの肩を持ち、自分の胸元へと寄せる。バンドラはロビンの身体を自分で周りから隠すようにしたのだ。

 

「…周りから殺気を感じる。大丈夫だ。お前は俺が守ってやる。」

 

「…ありがとう。」

 

「「…むぅ…。」」

 

ロビンばかり構っているのが気に食わないのか、ヤマトとウタが頬を膨らまして、睨んでいた。

 

…大きな黒い船が海を出る。それを見て、鼻の長く四角い船大工が睨んでいた。

 

「長官は失敗したようじゃの。」

 

「まぁ、それ以外に大事になってる。政府からアイツには手を出すなと言われている。」

 

大柄の男がそれを見ていた。

四角い鼻の男は足を組んで、ふうっとため息をつく。

 

「まぁ、あんなのでも長官は長官じゃ。上手くやるじゃろ。ワシらはプルトンの設計図を探すのが仕事じゃ。」

 

そう言って、家の上から飛び降りた。




船の名前なんて思いつくわけないじゃん。あれがやりたかっただけです。皆様、思い思いのをください。それだけだと運営に怒られそうですが。

ベガパンクはこの小説では女ってことにしときます。
…本当に女なのかはわからんが。最新話は知ってます。まぁ、バンドラの身体を調べたい女の子で。

ジャッジおじさんは丸い良い人になってます。
子どもの件でいろいろと。これでレイジュ入れられるぜ、やった。

60、70で原作行こうかなと考えてます。考えてるだけなので、増えるかも。100行くかなぁ…。

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