燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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皆さん、船の名前候補ありがとうございます。これからもドシドシお寄せくださいませ。

船の名前選手権

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第56話

…偉大なる航路、海上。

バンドラ達の船はゆったりと進んでいない。室内は4人で使っても広く、キッチンも今まで以上に設備が整っていた。シャワールームも男女別のものがあり、アイスバーグからの話だが今までの船をベースに作っているのだとか。

 

甲板でポンポンと狂骨の整備をするバンドラ。その隣でヤマトが正座で座っていた。

 

「ウタは?」

 

「作曲部屋。新しい歌作るんだ〜って張り切ってた。」

 

「そうか。」

 

バンドラの問いにヤマトが返す。

作曲部屋は新しくウタのためにガレーラの船大工達が作ったものである。他にも医療室や測量室などの航海に必要な部屋は取り付けてたらしい。

 

「感謝しかないな。」

 

「そうだね〜。」

 

ピタッとバンドラへ引っ付くヤマト。

 

「危ないぞ。」

 

「大丈夫、大丈夫っ!!」

 

刀を扱っているため、バンドラがヤマトに忠告をするも、ヤマトはにししと歯を見せて笑った。なら良いかとバンドラは狂骨の整備を続ける。ヤマトはその様子を見て、プクッと頬を膨らます。そうだとヤマトはバンドラの頬に唇を落とした。

 

「ッ!?バッ…!!」

 

バンドラはびっくりしたように頬を触って、目を見開く。ヤマトは足を崩し、掌を甲板につき、ジトーとした目でバンドラを見た。

 

「なんで、ボクが居るのにそればっかり構ってるのさ。」

 

「…ハハ。刀に嫉妬する女はお前くらいだよ。」

 

そう言ってバンドラはヤマトの頭を優しく撫でる。ヤマトは目を細めて満足そうな声を上げるとバンドラの後ろに周り、背中に前のめりに抱きついてくる。彼女のたわわに実った胸元がバンドラの硬い背中に潰されていた。

 

「…あれ、シャンプー変えた?」

 

バンドラはヤマトの髪から香る匂いに気づいた。

ヤマトは本来、シャンプーまで気の回る子ではない。水でばさっと洗い、適当なシャンプーで髪を洗うのだが…いつもよりもフルーティな匂いがするのだ。

 

「うん。ロビンとウタちゃんが女の子なんだから髪ぐらい気にしなさいって。可笑しいよね、ボクは光月おでんなのに。」

 

「良いじゃねえか。俺はこの匂い、好きだぞ?」

 

「ほんと!?」

 

「あぁ。」

 

そう言ってバンドラは自身にかかるヤマトの髪の毛を指で掬い上げるとその髪の毛にキスをした。ヤマトは少しむず痒そうに顔を赤く染める。バンドラはふっと微笑んだ。

 

「…もう。やるならここだって。」

 

そう言ってヤマトが後ろからバンドラの唇に唇を重ねた。早朝から何をやっているんだと甲板で優雅にコーヒーを飲むロビンが思っていた。…それと同時に少しずつ自身に何かわからない感覚も。信頼とは違うような…そうのような。

 

「ぷはっ…。こら、いきなり何するんだよ。」

 

「だって。髪なんかにしても恥ずかしいだけなんだもん。」

 

軽く口元を膨らませてそう言うヤマト。

バンドラは歯を見せて不敵に笑った。バンドラは狂骨を仕舞うと、ヤマトの方へ手を広げる。

 

「おいで。」

 

ヤマトはぱーっと表情を明るくさせて、バンドラへ前方からギュッと抱きついた。バンドラはヤマトの顎を右手の人差し指でくいくいっと撫でる。そうするとヤマトがバンドラの右手をぎゅっと握ってすりすりと頬擦りをした。

 

「犬か、お前は。」

 

「ボクはヤマト。またの名を光月おでんだ。」

 

「そういう意味じゃござんせん。」

 

そう言ってバンドラは左手でヤマトの頭を撫でる。ふと、横を見ると甲板から腕が生えているのが見えた。バンドラの近くである。

 

「ちょっと待って。」

 

バンドラがヤマトを剥がす。ヤマトはこくりと頷くとまた甲板に座り出した。バンドラは歩いてロビンの方へと足をすすめる。甲板の上、階段を上がると船にある二階にはテラス席のような机と椅子のワンセットがある。そこでロビンはいつも珈琲を飲んでいるのだ。

 

「どうかなさいましたか。お姉様。」

 

「あら。…ブラックコーヒーなのに凄く甘いと思ってね。」

 

「そりゃ大変だ。」

 

ロビンが不敵に笑い、そう言うとバンドラはロビンの横へ立つ。

 

「代えてこようか?」

 

「いいえ。ただ、少し貴方を独り占めしてもよくって?」

 

そう言ってロビンは笑う。

少しの間ならとバンドラはロビンの向かいの席に座った。そうすると机の上からロビンの腕が花のように生えた。

 

「これは?」

 

「あら。バンドラさんはわかるでしょう?」

 

そう言って微笑むロビン。敵わないなと笑いながら、バンドラはロビンの生えた指先を掬い、その甲にチュッとキスをした。

 

「最初は躊躇ってたのに、最近はよくするのね?」

 

「そりゃあ、本人が嫌がるならしないよ。」

 

俺はされるけどと付け加える。確かにと笑うロビン。バンドラは生えたロビンの手を優しく両手で包み込んだ。ロビンは不思議そうな顔をした後、口元を隠し、クスクスと笑った。

 

「いけない人。あの子たちに怒られるわよ?」

 

「なぁに、大丈夫だろう。」

 

そうと素っ気なく笑うロビン。椅子から立ち上がり、バンドラの横へと歩いていく。

 

「貴方が悪いのよ?女の子をその気にさせるいけない人。」

 

そう言ってロビンはバンドラに近くの腕をふっと消し、バンドラの顎を指で上げる。

 

「…たばこ臭いぞ?」

 

「私がさっきのを見てないとでも?…それとも、ヤマトは良くて私は…だめ?」

 

首を小さく傾げてそう言うロビン。バンドラは照れるように鼻を人差し指で書くと「大丈夫」と優しく微笑んだ。良かったと小さくロビンは笑う。ロビンはそのままバンドラの口元に自身の唇をふと重ねた。その時間は他の二人とは違い、少し長かった。

 

「…ふふっ。可愛い顔。」

 

ロビンが優しく唇を剥がし、笑いながらバンドラの頬を右掌で触る。少し生えた髭が彼女の手にチクチクと刺さっていた。バンドラもふっと不敵な笑みを浮かべた。

 

「…どう?私を助けて…後悔した?」

 

「後悔?…するわけないだろ。」

 

そう言って照れ臭そうに笑うバンドラにそうと微笑むロビン。バンドラはロビンの方を向く。するとロビンがバンドラの膝の上に座った。

 

「…重いなんて言わないでね?」

 

「言わねぇよ。」

 

腕をバンドラの首に絡め、長い足は横側へ外れている。ロビンは微笑んでバンドラを見ると、バンドラは好機と言わんばかりにロビンの顎に手をやり、再び唇を重ねる。ロビンもまさかバンドラから来るとはと目を見開き驚いていた。

 

「…あら、意外と乗り気じゃない。」

 

「大人を舐めるんじゃあないよ。」

 

「失礼しちゃう。私、今年で24よ。」

 

むすっとそう言うロビンには多少のあどけなさが残っているように感じる。バンドラはすまないと笑いながら謝罪の言葉を言った。

 

「積極的で…情熱的ね。そう言うの、大好物よ。」

 

「それはどうも。」

 

「私はね、懸賞金首。今まで隠れていた場所では…そう、邪険にされるか、お金に目が眩んだ人が多かったわ。だから、利用するしか考えなかった。」

 

遠いところを見ながらそういうロビン。バンドラも静かにその様子を見ていた。

 

「…だから、嬉しかったの。守ってくれるって一言が。貴方達のその優しさが。」

 

「当たり前だ。」

 

「…ありがとう。」

 

海風がロビンの黒髪を撫ぜる。

その顔はほっとしたような笑みだった。バンドラはあぁ…と答える。ロビンはバンドラの胸に自身の胸を押し付けながら抱きついた。

 

「…もう少しだけ、一緒にいても良いかしら。そこからは私…夢を追うわ。まだまだわからないことばかりですもの。」

 

「わかっているよ。」

 

そう言ってバンドラはロビンの頭を優しく撫でた。ロビンはそれに心が軽くなったように笑う。…コーヒーは既に冷たくなっていた。




精神年齢、最年少と最年長でござる。こういう大人な感じもいいかも。基本は僕の浮かんだ女キャラをバンドラと組ます感じですね。後、RED以外の劇場版をどうするかよね…。(フィルムストロングワールド以降しか見てない)

まぁ、こんな感じで箸休めも入れつつ進めていきます。あ、次回も多分箸休めです。多分です。

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