燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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…さてさて。


第65話

…新世界『ワノ国』

新聞の一面を見て、カイドウが酒を飲んでいた。その新聞にはバンドラの七武海入りが書かれていたからだ。

 

「…あの政府嫌いのアイツがな。」

 

「嘘だ…。あの人がこんな…。」

 

特にページワンはショックだった。ページワンにとって、バンドラは自由の代名詞のような男。戦いも、性格も…カッコよかった。カイドウは瓢箪を下に振り下ろす。ページワンの隣にいるうるティもその様子を厳しい目で見ていた。

 

「…どうせ、アイツを引き込むために向こうが何かしたんだろう。じゃなきゃ、自由をこよなく愛するアイツがこんなんに飲まれるわけがない。」

 

カイドウはこの上なく、不機嫌そうな顔でその一面を見ていた。ページワンもそうだよなっ!!と目をキラキラと輝かせてその一面を見ていた。うるティはそんなページワンから新聞の紙面を取り上げる。

 

「何すんだよッ!!姉貴ッ!!」

 

「むぅ…!!そんな奴より私の方を見やがれ〜ッ!!」

 

ページワンの上からうるティがのしかかる。ページワンはそんなうるティをおぶるような形で少し嫌そうな表情を浮かべていた。

 

「でも、あの人はすげえんだぜッ!!すげえ…カッコよかったなぁ…。」

 

「…バンドラめぇ…。私から…ペーたんを取る気かぁ?」

 

ワナワナと震えて新聞の紙面を見るうるティ。カイドウはその様子を横目で静かに見ていた。

 

「俺ァ別にアイツと喧嘩できたらどうでも良いんだがよ。…。」

 

「ヤマト坊ちゃんのことですか。カイドウさん。」

 

後ろに控えていたキングがそう言った。カイドウは酒をかっ喰らうように飲む。口元から酒が流れ出ていた。

 

「馬鹿言え。誰があのじゃじゃ馬…。」

 

「箱入りにしてたのはアンタでしょうが。」

 

キングは酒を飲み、大笑いするカイドウをいつものように仮面の隙間からギロリと見ていた。

 

「…俺ァよ。アイツになら、ヤマトをやっても良いと思ってる。」

 

「唐突だな。…まぁ、貰ってくれるなら俺たちも助かるっちゃ助かるか。」

 

「ウォロロロロッ!!義兄弟の次は、義親子か。…まぁ、悪くねえ。」

 

カイドウはただ笑っていた。

キングも…そうだな…と静かに言うと、珍しく酒を煽っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…政府管理島。

 

「シーザーッ!!奇跡じゃ、奇跡が起きたッ!!」

 

世界一の科学者が奇跡という言葉を使うのは如何様か。シーザーは耳を押さえながら、凛とは澄んでいるものの、キンキンと響く声を拒絶する。ベガパンクは少しキツめの白い全身タイツのような服を着ながら、目を新聞を手に握っていた。

 

「あぁ?…バンドラの野郎、地獄に来やがったのか…。」

 

バンドラ七武海入りの記事。

ベガパンクは満面の笑みでその記事を握りしめていた。七武海は世界政府に略奪を認知されている。そして、ベガパンクは七武海御用達の天才科学者…。そういうことである。

 

「しっかし、あのバンドラがなぁ。」

 

「……どうせ、政府のクソジジイ共が脅したんじゃろ?」

 

その瞬間、ベガパンクの顔に影が差す。

いつも笑っていたベガパンクが…表情を無くした。

 

「バンドラは自由な男じゃ。金を積まれようが、命を狙われようが…あの男は嫌なものは嫌という。政府の老害共と馬が合うはずもない。つまりは、バンドラが絶対に断れない条件を突きつけたはずじゃ。」

 

「ほうほう。それで?」

 

「…それでもなにも、この通り。バンドラはあえなく政府行きじゃ。名前を貸すだけと言ったじゃろうが、ずる賢いジジイ共は何度も何度もその条件で脅すぞ。」

 

眉間に皺を寄せてそう言うベガパンク。シーザーは空中を寝っ転がって飛びながら…そうかー…と興味なさそうに話す。

 

「お前、ちゃんと聞いとるのかッ!?」

 

「聞いてる聞いてる。つーか、俺はお前みたいにバンドラの野郎が好きじゃねえんだよ。お前の面倒見させられて。めんどくせえなぁ…。」

 

キッと睨むベガパンクにシーザーは頭をかいてため息を吐いた。…というのも、シーザーがベガパンクの世話を請け負ったのは別に無理矢理やらされたからだけではない。…ビッグマムから貰った金の大半は使いたくないからとシーザーに舞い込んでくる。なので、シーザーにとってベガパンクの相手は金儲けなのだ。シーザーが今心配しているのは…七武海になったことで金が滞らないかである。

 

「…屑め。」

 

「うるせえよ。シュロロロロ!!」

 

「…バンドラよ。何があろうとワシはお主の味方じゃ。」

 

ベガパンクが何故、此処までバンドラに懐いているか。一人でずっと研究する毎日。研究結果も政府に利用されるものの、ベガパンクは研究大好きの為、別に気にしていなかった。

 

しかし、それは間違いだった。

海軍に追われ、傷だらけの彼を見たときに研究欲と共に湧いたものがある。庇護欲である。

 

当時は15歳。まだ未熟な少年にベガパンクは思った。…なんだこの、可愛い生き物はと。死にかけの少年を無性に助けたいと思った。要は好奇心とほぼほぼ一目惚れである。それでここまで病的に愛しているのだ。

 

「…アイツに何かしようとする奴はワシが蹴散らしてやる。」

 

「顔がこええよ。」

 

影を指した笑みでピンク色の液体を回すベガパンク。シーザーはただただ戦慄していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルエノルーヴ号…船内。

 

「バンドラ…ごめん。」

 

心なしか、暗い船内。眠るウタを心配そうに見るバンドラとヤマト。ロビンとレイジュはウタが起きた時用にご飯の支度をしていた。消え入るようにヤマトが謝る。

 

「…何がだ?」

 

「…ボクはウタちゃんを…守れなかった。」

 

…ウタの心はボロボロだった。

ヤマトはウタに寄り添うも、小動物のように震えるウタを慰めることしかできなかった。

 

「…光月おでんなら…助けられたのに…。」

 

ヤマトの目から涙が垂れる。

ヤマトは手で子どものようにその涙を拭っていた。憧れの侍なら小さな少女をなんと言って慰めたろう。その少女をなんと言って助けたろう。

 

「…ボクは…ひっぐ…光月おでんに…なれないよぉ…ッ!!」

 

…現実を知り、少女は成長したのかもしれない。ただ一人救えなかっただけと周りは慰めるだろうが、ヤマトからすれば自分の大事なたった一人の存在を救えなかったのだ。

 

バンドラはそんなヤマトを見て、静かに微笑んだ。

 

「…こら。」

 

ヤマトの手を掴み、自分の方へと引き寄せる。ヤマトの後頭部を持って、ギュッと抱きしめた。

 

「…お前はあの時、震えるウタの身体を優しく抱きしめてた。俺が出来ないと踏んでだ。…立派だったよ。そんなお前が…自分のことを責めてどうする。俺はお前が自分を責めることを責めてやる。…そんな奴はおでんじゃねえぞってな。」

 

「うぅ…なにそれぇ…ぐすっ…。」

 

優しい声色でそう言うバンドラ。

ヤマトは…泣きながら笑っていた。バンドラの服をぎゅっと握って…大粒の涙をポロポロと流しながら。

 

「大丈夫。お前は絶対、ウタの心の支えになってる。…ありがとう。ヤマト。お前は立派に光月おでんしてたさ。」

 

そう言ってバンドラは優しくヤマトの頭を撫でた。ヤマトはただ静かに静かに…泣いていた。ロビンとレイジュはその様子を微笑んで、扉の小窓から覗いていた。




あんまりこういうのは書きたくないんだけどね。てか、次の話。想定では大変なことしかならん。燃えるなよ…燃えるなよ…。

バンドラが七武海になったんじゃなくて、ウタが虐められた?…レベルじゃねえなって言うのが問題になってる。そして、しっかりとバンドラのことをわかってくれてるカイドウの兄貴と病みパンク。七武海になったから幅は広がったよ。

……では。
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