燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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短いねぇ〜…?


第68話

「バンドラ〜ッ!!」

 

とある海の上。ルエノルーヴ号、船内の調理室で飯を作っているバンドラにウタが声をかけた。バンドラが見ると何やらウタが慌てているように見えた。

 

バンドラは最後の炒飯を作ると、ウタの方に駆け寄る。

 

「どうした?ご飯のリクエストならもう少し早く…。」

 

「違うわよッ!!なんか、船の横に変な船をつけてきた人が。」

 

「あ?」

 

バンドラはそのまま頭についた三角巾をつけたまま、甲板に出る。そこにはたった一人の男がいた。顔に傷があり、左腕に鉤爪をつけた男だった。

 

「クハハハっ…。息災か。七武海、天帝・バンドラ。」

 

静かに笑いながら、そう言うオールバックの男。バンドラはニヤリと笑った。

 

「んだよ。鰐公かよ。」

 

「その名前やめろ。俺はクロコダイルだ。」

 

オールバックの男…クロコダイルはバンドラを睨んでそう言った。ウタ達は何が起こっているか、わからない。

 

「なんだよ。親父の次は俺か?」

 

「…俺の野望の邪魔をしねえなら、向かう意味はねえ。白ひげのジジイはいつか、超えねえといけねえ存在だ。ルーキーの頃からずっとなぁ…?」

 

不敵に笑うクロコダイル。バンドラも笑みで返した。ふと、クロコダイルが首を傾け、左手の鉤爪をロビンへと向ける。

 

「……俺の狙いはニコ・ロビン。テメェだ。」

 

「えっ…?」

 

その言葉にその場にいた全員がロビンの方を向く。ロビンもびっくりしたような口を開けた。

 

「俺はプルトンを取りに行く。…俺が海賊王になる為だ。手を貸せ。お前は歴史の本文(ポーネグリフ)を読める希少な存在。」

 

「…なんだ。ウチの船まで来て、スカウトか。」

 

「テメェと一緒にするんじゃねえ…。俺は俺の野望の為に手に入れるだけだ。」

 

「アンタのことは嫌いじゃない。野望を持っている男を俺は嫌わないし、お前には良い夢がある。…だが。」

 

その時、バンドラは狂骨を握る。

そして、目を見開き、笑った。

 

「俺の仲間に唾つける気なら、やる気だなぁ?」

 

「…チッ。テメェみたいな野郎とはやりたくねえんだが…。」

 

…そこは海。クロコダイルにとってはバンドラが天敵のような相手だった。何せ、簡単に()()()()()()()()()()。覇気同士の戦いには関係ないが。

 

「安心しな。喧嘩するだけさ。…最近、無かったから怠けてんだよ。」

 

「…だったら、近くの島へ行くぞ。どっちかが落ちたら終わる喧嘩なんて俺はしたくもない。…ただ、お前、俺が勝ったら俺の言うことを一つ聞け。」

 

「……了解。」

 

そう言って二つの船は近くの島へと降り立った。

民家を巻き込まないように選ばれた場所は切り立った絶壁の崖だった。何かあったらボクが守るとロビン達の前にヤマトが立つ。

 

「…白ひげに負け、俺は現実を知った。海賊には…卑怯という言葉がねえと。」

 

風は吹き、砂が巻き上がる。

クロコダイルがバンドラに勝つには…先手必勝だった。

 

「『砂嵐(サーブルス)』…ッ!!」

 

竜巻のような砂嵐がバンドラへと向かう。

 

「お前と戦うなら…殺す気でいかねえとなぁッ!!」

 

冷静に…淡々と言うが、その心の中では沸々と燃えていた。しかし、それに合わせ、バンドラは…。

 

「『風の刃(ラーマ・バン)』ッ!!」

 

同じく竜巻のような暴風の刃で応戦。

 

砂嵐の竜巻と黒い竜巻が相対し、そのまま上空で崩壊した。

 

「クハハハハ。…行くぞ。」

 

「なにあれッ!?下半身が…砂にッ!?」

 

ウタが叫ぶ。

自然種を見るのが初めてだったんだろう。

 

下半身を砂にし、そのまま飛ぶクロコダイル。バンドラへ武装色で固めた黒い鉤爪を振るう。

 

バンドラはニヤリと笑うとその鉤爪の一撃に黒化した腕をクロスし、ガードする。

 

クロコダイルが後ろへと飛ぶと着地。地面に右手を置く。

 

「スナスナの実の真骨頂は『渇きを与える』こと。…テメェと真正面からやり合って俺に勝ち目は正直ねえなぁ…。『侵食輪廻(グラウンド・デス)』」

 

地面がひび割れ、砂へと還る。

 

バンドラは地面に飛ぶ斬撃を撃ち、上へと跳ぶ。

 

「…『砂嵐(サーブルス)』ッ!!」

 

その直後、クロコダイルが侵食輪廻で出来た瓦礫を上へと吹き飛ばす。

 

空中で逃げ場のないバンドラは格好の獲物だった。だが…。

 

「…面白え。」

 

バンドラは歯を見せて笑った。次の瞬間、バンドラは瓦礫を足場にクロコダイルへと近づく。

 

「…なに?」

 

クロコダイルもこんな無茶苦茶な突破方法は考えてなかった。クロコダイルの顔から笑みが消える。

 

「『黒雷刃(アートルム・トルニトロス)』ッ!!」

 

一度地面に降りたバンドラは狂骨をしまう。

そのまま、黒い閃光を地面に置きながら、即座に急速に前へと滑り込む。そして、クロコダイルの近くに行くに共に狂骨を抜刀した。

 

「『砂漠の闇宝刀(デザート・ブーヨスパーダ)』ッ!!」

 

黒化した砂の刃でバンドラの狂骨の刃を受け止めるクロコダイル。砂であるのに、火花が散った。

 

「グヌォォォッ!!」

 

しかし、バンドラの武装色は一級品だ。

砂の刃は散り散りになり、クロコダイルの身体から血が噴き出した。

 

「…これが…天帝か。」

 

クロコダイルは口から血を流す。

バッチリと決まったオールバックは汗と共に少し前髪が乱れていた。

 

「…芯は外してある。なぁに、殺し合いや略奪じゃねえんだ。」

 

「クハハハハ…。甘えなぁ…。」

 

そう言ってクロコダイルは笑った。

不敵な笑みではない。まるで晴れ晴れとした清々しい笑みだった。

 

「…俺ァまた負けたのか。…まぁ、それも良い。だが…俺は野望を叶える。」

 

右手で髪をかき上げるとクロコダイルは葉巻を咥えて、ニヤリと笑った。バンドラもマッチを擦り、タバコを咥える。

 

「…傷の処置だけはしてやる。あ、そうそう。今、攻撃するのは無しな?」

 

目を細め、笑うバンドラにクロコダイルは舌打ちをした。近づいてきたところをカラカラにするつもりだったからだ。

 

「…そこまで深い傷じゃあねえ。テメェに借りを作るかよ。」

 

「…じゃあ、ロビンも諦めるんだなぁ?」

 

「クハハハハ。それは断る。アイツは俺の野望の為にいる。」

 

その顔を見て、バンドラは不敵に笑う。クロコダイルと同様に。

 

「…お前のせいでアイツらの飯が冷めちまった。責任持って、一緒に食ってけ。」

 

「…アァ?…ケチャップはかけてねえだろうな。やるんだったら、生のトマトを出しやがれ。」

 

「めんどくせ。」

 

後ろ髪を掻きながら、バンドラはボソリと呟いた。クロコダイルはギロリとバンドラを見て、葉巻を蒸す。

 

「俺は嫌いなんだよ。…テメェにもあるだろ。」

 

ルエノルーヴ号へと二人+四人は歩いていく。バンドラは清々しい顔で笑って言った。

 

「嫌いなもんなんてねえよ。」

 

「…はん。」

 

そう言ってクロコダイルはそっぽを向いたのだった。




鰐の旦那…イケメンすぎる。どっちなんだろうね?

砂漠の闇宝刀。
スパーダがイタリア語だから、闇もイタリア語にしてみた。どうかな?ダサい?カッコいい?

ではでは。

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