……一年後。
「『天つ風』」
「うわぁぁぁッ!!」
バンドラは襲ってきた木端海賊を返り討ちにしていた。5個ほどの船団は風によって破壊される。進行方向へは二度と行けなくなっていた。
「ふんっ!!」
船の中にはヤマトとレイジュが飛び乗り、奇襲する。
ヤマトは金棒で木端海賊どもの腹部を殴撃。
「ふふ。…永遠に眠ってなさい。」
「ぐぉっ!!」
レイジュは一瞬にして木端海賊どもの腹に蹴りを入れる。ただの木端海賊にはそれは瞬きの動きと同じくらいで一瞬。更にジェルマ66の科学力により、その蹴りはまるで上から鋼鉄の塊を落とされたかのよう。
更に…レイジュのやばいところはひとつ。蹴られたところから…ジワジワと毒が侵食して行くのだ。
「『
バンドラの横にいるウタはハウリングのような声を出す。するとウタの周りに無数の五線譜が現れ、それが槍状に変化し、木端海賊の腹部に突き刺さった。
突き刺さった敵は死なない。
そのまま眠ってしまうのだ。ウタはそれを一人ずつ手作業で海へと落としていった。
「バンドラ〜!!」
「あん?」
船長らしき人間の首根っこを掴んで、海へとぶん投げたバンドラ。ヤマトの呼ぶ声に顔を向けると、満面の笑みのヤマトが小さな宝箱を二つ抱えていた。
宝にはバンドラは興味はないが…。
バンドラはヤマトの近くに走って行く。レイジュ、ウタもそれに倣ってついてきた。
「どれどれ。」
バンドラはその宝箱二つを開ける。すると中身は…奇妙な果実が入っていた。そう、悪魔の実である。片方はまるで深深と降り積もる雪のように真っ白な実でもう片方は猫のような髭の生えたこれまた白い実であった。
「悪魔の実かー。」
バンドラは頭の後ろを掻いて言った。
通常、悪魔の実は高額で取引されている。その為、恐らくはどこかの敵船から奪った悪魔の実をここの人間は売ろうと考えていたのだろう。
「これ、なんの能力だろう?レイジュ食べる?」
「やーよ。私まで食べたら、アンタらが海に落ちたとき誰が助けんの?」
ヤマトの提案にレイジュが笑って断った。嘘か真かはわからないが、悪魔の実は二つ以上食すと体内から爆発するらしい。その為、バンドラ、ヤマト、ウタは食べることができないのだ。
「折角だし、持っておくか。」
バンドラは宝箱を持ち、ルエノルーヴ号へと戻って行く。…そのときだった。
「…あ?」
バンドラ達の目の前で先程までバンドラ達のいた船が爆発、炎上したのだ。間一髪と言っていい。バンドラ達はギリギリだったのだ。
ヤマトもウタもその光景にびっくりしていた。レイジュとバンドラは対称的にニヤリと笑っていた。
そこに現れたのはまるで牛のようなものと炎の船首を持つ船であった。そこから一人の男が船首へ飛び乗る。
「王下七武海、天帝バンドラだなッ!!」
オレンジのテンガロンハットを被った上裸の男がニヤリと笑った。その指は赤く燃えている。
「これ、しやがったのはテメェか。」
「誰でも良いさ。俺はアンタを倒したい。」
「…勇気と無謀は違うぜ?小僧。」
そう言ってバンドラは狂骨を握る。
男はそんなバンドラを睨んだ。
「この先の小島で戦おう。なぁに、森は生い茂っちゃいるが、人は住んじゃいない。」
「助かるよ。」
そう言って二人は船を小島へつけた。
バンドラとその男の
「あぁ。先ずは名前からだな。ワノ国で習った礼儀だ。」
「へぇ。ワノ国に。何のようで?」
「決まってんだろ?…海賊百獣のカイドウを討ちに。」
その言葉にヤマトとウタが反応する。
特にヤマトは父の強さを身に染みて知っていた。
「だが、カイドウは居なかった。俺は諦めて帰ったよ。来るまで待つつもりだったが、もう一人…倒さなきゃいけねえ相手が居たんでな。」
「…ソイツは誰だい?」
「四皇白ひげだ。」
その言葉を聞いて、バンドラの眉がくいっと動く。
…このガキは誰を倒すと言った?
不可能に近い妄言にバンドラは笑った。狂骨の先をエースに向けて。
「…誰を倒すって?…テメェには無理だ。ガキ。」
低い声で威圧するようにそう言うバンドラ。刀はきらりと輝き、男自身の顔を映す。男は…笑っていた。
「ハハッ。無理だと思って挑む馬鹿が居るかよ。…俺は海賊の高みで待つんだ。弟を。」
テンガロンハットを指で軽く上げる。
その指は燃えていたのではない。…炎そのものだった。
「威勢の良いガキだねぇ。…名前は。」
「…ポートガス・D・エース。テメェを倒す男の名だッ!!」
そう言うと男…エースは上へと跳び上がる。
その拳はメラメラと燃え出し、飛んだ。
「『火拳』ッ!!」
地面を燃やしながら、突き進む炎の拳。
それをバンドラは横に転がって避けた。
「『雷起こし』ッ!!」
ゴロゴロと音を立てて雷雲がエースの上に現れる。
そこから轟音と共に雷が落ちてくる。
「マジかよ…ッ!!」
エースは後ろへと跳び、その雷を避けた。
「…『神火 不知火』ッ!!」
火の槍を後ろに跳びながらぶん投げるエース。
バンドラはそれを黒化した狂骨で弾き、前へと飛び出る。
「そぉらッ!!もう一発だッ!!」
「…能力は中々。練度もいい。だが…ウォーミングアップ程度だな。」
「あ?何言ってやがるッ!!『火拳』ッ!!」
大地を燃やしながら進む火の拳。
バンドラはそれを手をクロスして受け止めた。
「何ッ!?」
「…武装色ぐらい見たことあるだろ?…『黒式雷鳴』ッ!!」
エースの近くまで行き、黒い雷を纏った刀身で切り裂こうとするバンドラ。
しかし、エースはそれを紙一重で避けた。頬に一閃、傷はついたものの。
エースは頬の血を親指で拭うとペロリと舐めた。
「…面白え…。」
そう言って両手の人差し指をクロスさせるエース。
「『十字火』ッ!!」
十字の炎がバンドラに向かって飛んでいく。
「『疾風怒刀』ッ!!」
狂骨が風を纏い、大太刀へと変化。
バンドラはそれを上から下へ振り下ろすと、十字の炎は散り散りになり、地面は大きく割れた。
「チッ!!」
エースは見聞色の覇気か、それとも自身の戦闘感か。横に跳び、避ける。が…。
「何ッ!?」
「…そろそろ幕引き。」
バンドラがそんなエースと間合いを急激に詰めた。狂骨の剣先がエースの喉元を捉える。しかし…。
「チッ!!」
「…ほぉ?」
エースは即座にそれを蹴り上げた。若干ではあるものの、エースの足は黒く染まっている気がした。
「…練度は低い。使いたてか。」
「何をぶつぶつ言ってやがるッ!!『
距離を取ったエースの指から小さな火の弾丸が連射される。
バンドラはそれを切り裂こうとするが、狂骨と触れた瞬間、それが小爆発を起こした。
「やった、エースッ!!」
「いや…まだだッ!!」
仲間の声にエースが再び構える。
その爆風は風に吹き飛ばされ、中からバンドラが飛び出してきた。
「『火拳』ッ!!」
「…ふんッ!!」
ブゥンと音を立てて振るわれる狂骨と火の拳がぶつかった。両者一歩も引かず。ギリギリと音を立てて、二人はぶつかり合う。
「…何故、海の猛者達と戦うんだ?若き凡勇。」
「…俺は…待ってなきゃいけねえんだ…!!俺の
その拳は信念そのもの。燃ゆる炎は赤く赤く色づく。…しかし。
「勝てない勝負も…ある。」
「グハッ…!!」
バンドラはそんなエースの身体を切り裂くとその後ろで狂骨を鞘に収めた。
というわけで。エース登場です。
エースはバンドラ達と結構関わってくるんじゃねえかな?
ヤマトとウタは言わずもがなだし。白ヒゲ関係でもそうですし。
後、悪魔の実ね。
そろそろお姉さん方も入れたいですよね。ではでは。