万国編2回目。
※捏造、流血表現あります。お気をつけて。何度捏造するんだろうね。
…再び、海はパステルカラーへと変わる。鼻に刺さる甘い香りがウタの脳を刺激していた。バンドラは狂骨の手入れをしている。ルエノルーヴ号がホールケーキ城のあるホールケーキアイランドへ辿り着くと、また、次男であるカタクリが立っていた。
「…七武海バンドラ。」
「その呼び方はやめてくれぇ。…俺は俺だ。」
「ふん。どうでも良い。俺はお前と決着がつけたいだけだ。」
ギロリと周りを見渡す。
「…だいぶと大所帯になったな。まぁ、良い。…ママもだが、スムージーのやつも待っている。」
「わかってる。心配すんな。」
「…妹を悲しませる奴は俺が許さん。」
そう言って土竜の持ち手を下へと下ろすカタクリ。その衝撃で火花が散る。バンドラ達はとりあえずカタクリの案内でホールケーキ城へと踏み入れることとした。
「マンマ、マンマっ!!素直に来たねえ。バンドラァァ…!!」
「アンタがウタの歌を聞きたいだなんてな。どういう風の吹き回しだ?リンリン。」
バンドラは巨体の女王を見上げる。
女王をニヤニヤと笑い、バンドラを見ていた。
「マンママンマハッハッハッ!!なんだぁ?オレが音楽を聞いちゃあいけねえってのか?別にただ皆が絶賛する歌姫の歌をオレも聞きたくなっただけさ。」
「……それなら良いが。」
…バンドラの懸念点は一つ。
ここは敵海賊のテリトリー。ウタを自由にさせるってことは誰でも奪って良いですよと言っているようなもので…それがバンドラの弱みになると思われれば、脅迫材料にすらなり得るのだ。
「…ウタに手ェだそうってもんなら…アンタらが相手でも俺はやるぞ…?」
少し覇王色を出して、バンドラが見る。
「マンママンマ…自分の中の覇王色を自覚したか。」
「…なんの話だ。俺はただ…仲間に手ェ出す奴は許せねえってだけだ。」
「安心しな。」
そう言ってビッグマムがバンドラを睨む。
バンドラはいつでも狂骨が出せるように構えていた。
「いくら海賊の世界でも仁義ってもんはある。オレは歌姫にゃ手ェ出さない。お前相手だとこの国でもやりにくいしなぁ、せっかく統治したこの国を破壊されても困る。」
そう言うビッグマムにバンドラは刀を鞘に収める。
「しかし、お前は七武海入りしたんだってぇ?なんだ、昔のヤサに帰ろうってのかい?」
「…戻るつもりはねえよ。クソジジイどもに煽られた。…俺は守りたい仲間がいるから俺は俺のやりたいようにやる為になったんだよ。」
そう言ってビッグマムには背後を見せるバンドラ。その後ろにはカタクリがいた。カタクリはマムを見るとそのまま去っていく。バンドラ達はその後を追っていった。
「…ママに宣戦布告か。これだけの少人数でビッグマム海賊団を相手にできるとはな?」
開けた大地にカタクリが立つ。ウタ、シュガー、レイジュはホールケーキ城で少し休んでいる。残りのバンドラ、ヤマト、モネがカタクリに着いてくる形となった。カタクリの方にはスムージーを含めたスイート四将星の面々が立っている。
「俺の仲間に手ェ出す奴は誰であろうと許さないだけだ。」
「…なるほど。兵力差だけでは怯えないというのか。
二人の間に風が吹く。
バンドラはニヤリと笑うとヤマトの名前を呼んだ。ヤマトは金棒を持ってやってくる。
「…二対一だとッ!?カタクリ兄さん、非道だッ!!」
「…黙っていろ。スナック。…海賊の世界に非道などあるものか。」
カタクリはそう言い、三叉槍である土竜を振り下ろす。納得はいった。だが、失望していると言ったところだろうか。
「いいや。俺は一人で行くよ。ヤマトを近くに置いたのは念の為だ。」
「……なに?」
「もし、暴れ出したら約束してるんでッ!!」
そう言ってバンドラは前へと出る。
カタクリは少し遅れるも、土竜で薙ぎ払った。
バンドラは後ろに飛び、狂骨を抜く。
「決着つけようぜッ!!カタクリッ!!『烈火の太刀』ッ!!」
燃えた刃、それが風を帯びて更にけたたましく燃える。
「『モチ突』ッ!!」
しかし、そこはスイート四将星最強。負け知らずのカタクリはその太刀を避け、横から槍を飛ばす。
バンドラは手を黒色化させ、それを弾いた。
バンドラはそのまま、地面に左掌を突き、飛んで着地した。
しかし、着地した隙をカタクリが逃さない。
「『ナグリ餅』ッ!!」
黒く角張った餅の拳が無数にバンドラへ襲い来る。
「…ッ!!」
バンドラは狂骨を投げ捨てるとそれを武装硬化した手をクロスしてガードする。
「…ッ!?貴様…何をッ!?」
「『
バンドラは地面に火の拳を打ち込む。
するとそこから小規模の爆発が広がった。
カタクリはすんでで後ろに跳んで躱した。
「『雷鳴月歩』ッ!!」
しかし、その黒煙から飛び出してきたバンドラ。その雷を帯びた脚がカタクリの頭を横から蹴り飛ばした。
「ぐっ…!!見えなかった…!!」
「未来視出来ても反応できない速度でやりゃあ、良いもんな?」
…ヤマトはその様子を見て思った。純粋に凄いと。…しかし、同時に自分も戦いたいと思った。
『肉食動物』の動物系は本人の凶暴性を爆発的に向上させる。ヤマトが食べたのは『イヌイヌの実幻獣種モデル大口真神』。
神の名を冠するこの実であったが、特異で…強大であった。ヤマトには…まだ使いこなせていないのだ。ヤマトの身体がその衝動からか徐々に変化する。
「…ヤマト?」
変化に気づいたのはモネ。
ヤマトが四つん這いになり、その姿はまさに犬のようだった。蹴りと殴りで応戦している二人を見て…咆哮をあげる。
「グルァァァァァ…ッ!!」
「…ッ!?」「ヤマトッ!?」
ヤマトは二人の間に入り、その爪で二人の間を薙ぐ。
「…チッ!!動物系の覚醒者かッ!?」
「違うッ!!ヤマトは…能力を制御しきれてないだけだッ!!」
ヤマトに対してカタクリが土竜を構える。しかし、バンドラがその土竜を蹴り上げた。
「何をするッ!?」
「誰も手ェ出すんじゃねえッ!!コイツは俺が面倒を見るッ!!」
向かってくる
バンドラはその放つ爪の攻撃を避けた。…攻撃は避ける。但し、攻撃をしていないのだ。
「巫山戯るなッ!!バンドラッ!!此処はママの領地だッ!!勝手は許さないッ!!」
「馬鹿野郎ッ!!」
カタクリの再び構えた槍。それを黒色化した腕で弾いた。
「何処の世界に…テメェの
「…攻撃する気も無いくせに…!!」
カタクリがそう言う。
見ているスムージーは震えていた。ヤマトを切りたくてしょうがない身体を心で制御する。…あぁ、私は肝心な時に震えているだけなのだ…と。
「グルァァァァァッ!!!!」
「来いッ!!ヤマトォォォッ!!」
…一足飛びでかける
「ぐっ…!!」
「バンドラッ!!」「バンドラさんッ!!」
モネとスムージーが声を荒げる。あの、大人びていてクールな二人がだ。カタクリもそれを眉間に皺を寄せて睨んでいた。バンドラの肩に…深々と犬歯が刺さる。そこから…滝のように血が流れ出た。
「…何故、武装色を使わなかった。」
「ぐっ…俺の武装色はよ…。変に…強すぎるから…コイツを傷つけちまう…。ハァ…。」
「…バカめ。女だからか。」
「仲間…だからだよ…。ふぅ…ハァ…なぁ…ヤマト…。」
血の滴らない右手での頭を撫でる。噛んで離さない
「…こんなことして…一番辛えのはお前だろうに…。悪かったな…、本当はお前に大口真神の…力を使えるように…なって欲しく…て。何か刺激に…なればと…思って…。」
バンドラの目から涙が流れ出る。
…ヤマトが大口真神を使わないことは知っていた。父との戦いを避けていたヤマトにとってはただ食べただけなのだ。戦い方も知らない子どもに神は納得しない。…そして、バンドラが思っていたのは…ヤマトがそれに悩んでいたからだ。
ヤマトは心の優しい娘。
バンドラやウタのために強くなりたかった…だから、大口真神を鍛えようとしていた。しかし、実践の場がない。使ったことのない力を自分が使えるのか…。その葛藤が暴走を生んだ。
「ゴメンなぁ…。ゴメンなぁ…!!」
その悲痛なる声に…ヤマトも涙を流した。口を離すと傷口をペロペロと舐め始める。…バンドラはもう限界だった。以下に最強と言え、血を流しすぎたら倒れてしまう。バンドラは後ろ向きに倒れた。
最後に聞いたのはスムージーとモネの自分の名前を叫ぶ声と…ヤマトの泣き声だった。
…ということで。ヤマトォォォ…ごめんねぇぇぇ…。by作者
暴走が確認されているのはチョッパーの…しかも、ランブルボールで波長を狂わせてなので…大口真神自身が特異ということにさせていただきました。大口真神が肉食かどうかもわからないのにね。
次回は過去一気合入れます。皆さんを不快にさせたであろう分だけ。期待は…うん。
カタクリと戦っているだけじゃマンネリ化するから…なんて口が裂けても…。あ、はい、カイドウさん。すみませ(ギャァァァッ!!
…では次回。