や り す ぎ た
………かもしれん。
ホールケーキ城…病床。
着物をはだけさせ、傷口をぐるぐる巻き。上半身は包帯で巻かれていた。ヤマトが深刻そうな顔でバンドラを見ている。
泣き腫らした顔で着物の裾をギュッと握っていた。
ヤマトを責めるものは誰もいなかった。ヤマトがバンドラのことをどれだけ好きで…どれだけ信頼しているのかは全員が知っている。
「…ごめん…なさい…。」
消え入りそうな声でそう言うヤマト。
…気分は、あの日、光月おでんを名乗り始めて父親に歯向かい、岩屋に入れられた時に似ていた。孤独…自分を助けてくれた人を失う気分。
「…ごめんなさい…!!」
「…何謝ってんだよ。」
涙で前が見えない。
聞き慣れた声が幻聴か、はたまた本当かわからない。ヤマトは顔を上げる。月明かりに照らされて、包帯に巻かれた男の姿があった。ヤマトはバタンっという椅子が倒れる音すら気にせずに飛びついた。
ヤマトに抱きつかれたバンドラが苦悶の表情を浮かべる。
「…ッ!!…お前なぁ…。」
「…ぐすっ…ひっぐ…良かったァ…良かったよぉ…!!」
ヤマトからすれば恩人を殺してしまったのでは…と同じだった。それを思いながら、ずっと自分を責めながらこの狭い部屋にいた。…だが今は…生きてて良かったという気持ちだけが支配する。
子どものように泣きじゃくるヤマトをバンドラは痛みすら忘れてただ抱きしめ、撫でた。
「…ごめんなさい。ボクがもっとちゃんとしてたら、バンドラは傷つかなくて良かったのに。」
あらかた泣きじゃくった後、バンドラの横に座ってヤマトがそう言った。いつものヤマトらしくないしょぼんとした顔。バンドラは包帯の巻かれた方の手が動くか確認しながらキョトンとした顔で聞いた。
「…何がだ。俺ぁピンピンしてるぜ?」
そう言って腕をぶんぶんと回すバンドラ。血は引いたもののいつ傷が開くかわからないのだが、その痛みすら関係なく、にっと笑っていた。
「だ、ダメだよっ!?…また、血出ちゃうって…。」
おろおろとするヤマトにハッハッハッと口を開けて大笑いをするバンドラ。穏やかな笑みを浮かべ、ヤマトの頭に手をポンっと置いた。
「安心しな。…お前らになにされようが俺は死なねえから。…俺はな。親父より先に死ぬわけにゃいかねえのよ。そんな親不孝、やりたかねえのよ。…それに。」
「…それに?」
「俺は今、すっげえ楽しいんだ。お前らと旅できるから、それに楽しみも出来てるしな。」
ニカッと笑うバンドラ。ヤマトは言葉も無くして、顔をほのかに赤く染めていた。
「…しかし、まぁ、傷は残るなぁ。」
「あ…うん…。困るよね…。せっかく立派な刺青だったのに…。」
「いや、偉く大きな
「……へ?」
バンドラが包帯を触りながら、そう言った。
…マーキング。その言葉を聞いてヤマトの顔が茹蛸のように徐々に真っ赤にされていく。
「な…なな…ななな…なに言ってんのッ!?」
「ん?なんかおかしなこと言ったか?」
「い、いや…マーキング…って…。ボク…そんな気持ちでやったわけじゃ…。」
指をくにくにとつっつき合いながらぶつぶつと言うヤマト。バンドラはそんなヤマトの頬にチュッとキスをする。
「ひゃっ!?」
「なぁに、ぶつくさ言ってんだよ。お前らしくない。いつもみたいに来たら良いじゃねえか?ほら。」
頬を押さえて顔を真っ赤に染めているヤマトにバンドラが手を広げて笑う。…ヤマトはふっと笑うといつものようにバンドラにギュッと抱きついた。
「あははっ。バンドラ〜。」
「…そうだ。お前はそうやっていろ。湿っぽいのはお前でも…光月おでんでもねえだろう?」
「…そうだね。」
にっと笑うヤマトにバンドラが笑う。
…そのまま唇を重ねる。手を腰に回して、しっとりと味わうように。
「ぷはっ…。」
唇を離し、また笑い合う。
「バンドラ、君のおかげでボクは外に出れて外を知れて…光月おでんの偉大さを再認識できた。ボクは君のおかげで生きられてるんだ。」
「…そうかい。」
「…ボクは君のことを…愛している。世界一っ!!」
にっと笑うヤマトに…バンドラは笑った。バンドラはヤマトをベッドへと押し倒す。流石にこれにはヤマトもびっくりしたように声を上げた。
「ちょっ!?バンドラ?」
「…そんなことを言う鬼姫様には…お仕置きが必要だな?」
声を低くしてそう言うバンドラ。
耳元で聞くヤマトは肩をピクリと動かした。ヤマトは頬を膨らませて、むすっとした顔になっていた。
「…病み上がりにそんなことしちゃダメだ。」
「釣れないねえ。…まぁ、いいか。」
ふっと笑うと流れるようなヤマトの顎を指でくいっと上げ、キスをするバンドラ。そのまま、首筋へ歯を見せて笑い、優しく噛みついた。
「…んっ…ちょっ…。」
ヤマトが声を漏らす。
バンドラが口を離すと…少し噛み跡がついていた。
「お返し完了。」
バンドラが座るとヤマトもその上にちょこんと座り、バンドラに抱きつく。肩に顎を置いて、背に腕を回していた。
「…バンドラの匂いがする。」
「酒とタバコ…それと、そろそろ香る加齢臭。」
「全然臭くないよ?」
バンドラを見てヤマトがキョトンとした顔でそう言った。
「そりゃあ、お前…もう、俺の匂いとお前の匂い…境目ないくらい混ざり合ってんだろ?」
「うんっ!!バンドラからボクの匂いがするっ!!」
…当たり前だ。抱きついているのだから。
バンドラはそう思いながらも、ヤマトの頭を優しく撫でる。顎に手をやると、ヤマトは満足そうに目を細めて声を上げた。
「…バンドラぁ〜、好きだよ…?」
「知ってる。」
そう言ってバンドラはヤマトのおでこにキスをした。…もはや、光月おでんを自称する豪傑の姿はいない。ヤマトは歯を見せてにぱーと笑う。
「全く、これのどこが光月おでんなんだか。」
バンドラが呆れたように笑うとヤマトがむすっとした顔でバンドラを見た。
「なに言ってるんだ!!…ボクは光月おでんことヤマトだッ。」
「…さいですか。」
そう言うとバンドラが横を向くと、バンドラの頬へヤマトがキスをした。バンドラがそっちを向くとヤマトがふふっと笑っていた。
「光月おでんのボクとしてはやられっぱなしは癪なんだ。」
「…やったな?このっ!!」
「うひゃあっ!!」
バンドラはヤマトをお姫様抱っこする。ヤマトはびっくりしたように顔を赤くするものの、照れ隠しのように歯を見せてにししと笑う。
「全く、ヤマト坊ちゃんは甘えん坊だねえ。」
「にしし。…ねぇ、バンドラ。ボクは君と…ずっと一緒にいたい。」
「…あ?」
満面の笑みで笑うヤマトにバンドラが眉をへの字で巫山戯るなと言ったような顔になる。
「…ダメ?」
「ばーか。俺はお前ら全員、死ぬまでずっと一緒だろ?」
「ふひひ、そだねっ!!」
そう言って二人は子どものように笑った。
…何度目かの口づけを交わして、二人はベッドに入っていくのだ。
※人ん家です。
バレた時のやつ
・ウタ→泣きながら二人に怒る(ガチ心配)
・モネ→腰に手を当ててもう…と言う風に笑いながら怒る
・レイジュ→毒の調合をし出す
・シュガー→泣く(良かったと言って)
・スムージー→ほっとする
・カタクリ→無言で立ち去る
てな感じ。ヤマト坊ちゃん、もうメインヒロインやね。
…スムージーはやるかなぁ、ウタもライブあるしなぁ…。万国終わったら、修業編ですわ。モネシュガーあたり。
チュッチュっしてるだけでイチャイチャシーンが乏しくなってきたワイ。
では。