「ボロボロのお前なんて怖くないよッ!!『
皇帝剣の炎が地面へと落ちる。
「『
ヤマトの氷のブレスが炎を飲み込む。
その中をバンドラが突っ切り、ビッグマムの前へと出た。
「切り裂いてやるよッ!!」
ビッグマムがゼウスに乗りながら、皇帝剣を振り回す。
バンドラは皇帝剣を手で掴んで止めた。
「マンマ、マンマ。振り落としてやるか、そのまま燃え尽きなッ!!」
「へっ。アンタの炎なんざ熱くもねえよ。…『
バンドラの左腕が大炎上する。
それがビッグマムの皇帝剣を…燃やし尽くす。
『ぬわぁぁッ!!熱い、熱いよぉッ!!ママァッ!!』
「プロメテウスッ!?それにナポレオンまで…ッ!?」
「…燃えるのは…テメェだッ!!
バンドラが左掌をビッグマムの腹に目がけて押し込む。
するとビッグマムの腹が円形に脈打ち、地面へと大きく落とされた。
「うわぁぁぁッ!?アッチイィィッ!!」
『ママッ!?』
その場にいた全員が声を上げる。地面は半円状に窪み、ビッグマムの体は大きく炎上した。バンドラがシュタッと地面に降りる。
「…この程度でやられるオレだと…思うなよォッ!!ゼウスッ!!」
自身で転がり、炎をかき消したビッグマムはゼウスを呼び、その手に掴む。
「消えなッ!!『
振り下ろされるゼウス。
バンドラとヤマトはそれを後ろに跳んで避ける。極光と轟音…地面はさらに窪地へと変化した。
「ハァ…ハァ…。」
「バンドラ、大丈夫かい。」
「…後、40分程度か。シビアだねぇ…。でも、どうせやらなきゃ死ぬだけだ…ッ!!」
そうだね…とヤマトが頷く。
二人はそのまま前へと飛び出す。流石にさっきの炎が効いたのか、蓄積したダメージ故か、ビッグマムは少し反応が遅れた。
「『雷鳴八卦』ッ!!」
「『
黒雷を纏う金棒と刃。それが同タイミングでビッグマムの横っ腹を弾いた。
「グオエェェェッ!!」
そのままビッグマムが吹き飛ばされる。
それを二人は追いかけるも、ビッグマムはゼウスに止められ、空中で浮かんだ。
「次から次へと…このオレを舐めてるんだねぇ…!!消えなッ!!『
「…なっ!?ぐぅぅぅぅッ!!」
「ガァァァッ!!」
変幻自在の雷。
「「うぉぉぉぉッ!!」」
「はぁ!?タフな奴らだねえッ!!」
「お前の雷、利用させてもらうぜッ!!」
先にバンドラが前へと出る。刀を振るい、狙ったのはビッグマム…ではなく、ゼウスだった。
「『黒式雷鳴』ッ!!」
『グァァァッ!!ママァァァッ!!』
ゼウスが真っ二つに避け、叫ぶ。そのままビッグマムは下へと転落。下には…ヤマトが居た。
「『
「グハァァァッ!!」
上から飛んできた練られた覇気の一撃がビッグマムの背を直撃した。
いつもならこんなものは耐えるビッグマムだが、疲労とダメージにより、それがいつもより高火力に感じた。
「ぐぅぅぅ…ッ!!『マーマ
ビッグマムも四皇。
この程度では止まらないと落下しながら、ナポレオンを身体の回転を使って振り下ろす。
ヤマトはそれを後ろに跳んで避けると口をカパっと開けた。
「『
「今更、そんなものが効くかぁぁぁッ!!」
氷のブレスがビッグマム相手に当たるものの、度重なるダメージで鍛冶場の馬鹿力と言っていいだろう、ナポレオンを待ちながら突き進んでくる。…しかし。
「『
「ガァァァッ!?さ、寒いィィッ!?」
無侍氷牙の温度がさらに下がる。
ビッグマムの体が徐々に固まっていく。…ビッグマムの目にはモネは映っていなかった。
モネのユキユキの実の力が無侍氷牙の威力を上げたのだ。
全身とまでは行かず、ビッグマムの足は完全に凍結した。
「クソがァッ!!こんなもんでオレが止まるわけ…!?」
…ビッグマムはヤマトとモネしか見えていなかった。
上からバンドラが狂骨を構えて、振り下ろす。
「じゃあな、
「ハァッ!?」
「『
覇王色を纏った刀身がビッグマムの脳天から振り下ろされる。
ピンクの髪は大きく広がり、地面と足を繋いでいた氷がパリンと弾けちった。
「ぐおっ…!!」
バンドラが地面へと転げ落ちる。流しすぎた血やら何やらでもう限界だった。胸に手を置き、再び能力をセーブする。
「大丈夫か、バンドラ。」
ヤマトが駆け寄ってくる。バンドラはヤマトの肩を借りて、立ち上がった。
「ぐぅ…クソガキども…この程度でオレが…ぁ…。」
「いくら四皇でもボロボロの状態で頭に喰らえば立たなくなる。流石だよ。ババア。」
度重なるダメージに加え、地面を砕く程の一撃。それが覇気の纏っていない頭にぶち当たったのだ。ビッグマムの身体はそれに耐えきれず、気絶し、背中から倒れた。
『ママァァァッ!!』
プロメテウスとゼウス、それとナポレオンと見ていただけのペロスペローが倒れるビッグマムに駆け寄る。バンドラ達はそれを見ていた。
「…さてと、ルエノルーヴに戻るか。」
「ボロボロの体で?」
「大丈夫だ。狂骨に運んでもらう。モネとお前もいるしな。三人とも海に落ちたら終わる。」
そうだねっと笑うヤマト。人型になったヤマトはバンドラとゆっくり歩いていた。モネもバンドラの方へと歩いていく。その後ろに…スムージーはいた。
「…ビッグマムを倒したのか。」
目の前の状況を再度理解するために聞く。
…『たった一人の友人』と『たった一人の母親』『立場』を天秤に掛けた結果の行動だった。涙も出ない。喜怒哀楽がぐちゃぐちゃになって、残ったのは…黒だった。
「あぁ。…見たらわかるだろ?公にはしねえよ。四皇が落ちるってことはお前らにも非が及ぶってことだ。俺は別に海の皇帝や王になりたいわけじゃない。自由に何のしがらみも無く、過ごしたいだけだからよ。」
そう言ってバンドラはにっと歯を見せて笑った。スムージーは切なげにそうか…と笑う。ここに居たのが、ウタだったらバンドラの意思に関係なく、スムージーを責め立ててただろう。ヤマトもモネもそんなスムージーを睨む。
「すまない。バンドラ。私は結局、ママに従っているだけだった。私は…「おい、スムージーっ!!」…なんだ。」
「俺の船に来いっ。リンリンは負けたんだ。…お前を勝った証拠として貰っていこうっ。」
にっと笑うバンドラ。
ヤマトとモネはずるいと言いながら、笑っていた。刺されたバンドラがそう言ってしまったら、もう責めることができなかったのだ。…スムージーは目に涙を浮かべる。
「…馬鹿者。…仮にも一船の船長が…それでいいのか…?」
「バーカ。俺はお前を捕虜として連れてくんだぜ?別に繋いだり閉じ込めたりしねえけどよ。」
…子どものように笑うバンドラにスムージーはぐしぐしと目を掻いて、ふっと笑った。
「さぁて、帰るか。狂骨、頼んだ。」
4人は獣型へとなった狂骨の背に乗る。
はしゃぎすぎたヤマトが落ちそうになったりするが、何とかルエノルーヴへとたどり着いたのだった。
決着です。
ここに来て、ネタが切れてくるっていうね。スムージーさんは捕虜です。はい。そういう展開はないです。はい。
イチャイチャやっても修行回してもその場凌ぎだなぁ。まぁ、修行回は書きたい(主にシュガー、モネあたり)ウタはやったしね。ヤマトとバンドラはしなくても成長するから。
…では!!