そろそろ原作行きますが、その前にこんなのはいかがかな?
…海軍本部元帥室。
センゴクは書類をまとめていた。その部屋にはガープと…もう一人。腕にゴツい武器をつけたゼファーの姿があった。
「ゼファー。本当に海軍を辞めるのか。」
「あぁ。バンドラを七武海にしてしまった負い目はあるが…。」
…ゼファーはそう言い、顔を曇らせる。
4年前、ゼファーの乗る海軍船は襲撃を受けた。生存者は己を入れて、3名。最も、ゼファーに関しては五体満足というわけにもいかず、腕を切り落とされてしまったのだ。
「表向きは海軍をやめて、海賊遊撃隊を組織しようと思う。やることは同じだ。それの方が元帥様は良いんじゃないか?」
「…シャレが言えたのか。ゼファー。」
「ぶっ飛ばすぞ。センゴク。」
そう言って老兵二人は笑い合っていた。
「バンドラがいれば、引き止めてくれた…だろうか。」
「逆だろう。アイツは一本槍を持っている。…お前が望まぬことをアイツがするとは思えん。」
ゼファーは笑いながら…そうかと言った。
…しかし、誰もが思わぬ出来事が起こる。元海軍大将兼現海賊遊撃隊隊長『黒腕』のゼファーが政府に牙を剥くことなど。
「ふっ!!はっ!!」
「良いねえ、キレが増してきたッ!!」
数ヶ月でシュガーはメキメキと成長をしていった。六式も『剃、月歩、嵐脚』は使え、残すところ『紙絵、指銃、鉄塊』の三つだった。
格闘技術もバンドラの教えられるところは網羅し、その素早さとしなやかさを活かした彼女独特なものがあった。特に長い足を使った蹴りは目を見張るものがある。
「はいっ。休憩。」
「うぅー…!!今日も一発も与えられなかったぁ!!」
変化を解き、地面へヘタれこむシュガー。自分の意思で解けるようにもなってきたので、成長は早い方であった。バンドラはぶうたれる彼女を見て、笑っていた。
「シュガーはよく頑張ってるって。ゼロの状態から此処までやったんだからな。」
「ほんと!?やった!!」
子どものようにはしゃぐシュガーを見て、バンドラは胸に温かいものを覚えた。
…修行は滞りなく順調。
エレジア復興に関してはゴードンとバンドラがよく話し合った末、トットムジカの楽譜をどうにかしないと悲劇を繰り返すという話になり、難航していた。
「バンドラ〜。行こう?」
「ん?そうだな。」
ヤマトがバンドラに向かって声をかける。
…ヤマトにバンドラが声をかける理由。それは単純に服を調達する為であった。バンドラはビッグマム海賊団との戦闘以降、袖の破れた服をずっと着ていた。ヤマトのようにノースリーブにしていたのだが、流石にずっと使うわけにもいかない。
その末に一人じゃあんまりだから誰か連れていこうと思った矢先、謎のじゃんけん大会が始まり、ヤマトが勝ったのだ。
「服やら何やら買うとするならどこだ?」
そう言って船を進めるバンドラ。
…ショッピングをするなら、取り敢えずで思いつくのがシャボンディ諸島か、魚人街。魚人街に行くのは骨が折れる為、どっちみちシャボンディ諸島が近いだろう。
…そんな理由で二人はシャボンディ諸島へと到着した。遊園地もあることも相まって、人々でごった返していた。
「ねぇーねえー!!後で遊園地行ってみようよっ!!」
初めての遊園地というものにはしゃぐヤマト。いつもの如く、ナチュラルにバンドラの腕を抱いているのは言うまでもない。バンドラの呆れたように笑いながら、後でな…と返した。
シャボンディ諸島は観光地ということもあって、様々な店が点在している。飲食店、雑貨屋、果ては
40番から49番は観光街。
区画わけされた中でもバンドラ達の狙いに沿ってあった。
「お金ある?」
「あるある。モネから貰ってきた。」
ルエノルーヴ号の家計簿はモネとバンドラがつけている。レイジュやスムージーがやることもあるが、基本はこの二人である。…という裏はさておき。
バンドラ達は狙いの服屋へと足をすすめていた。
…バンドラは周りの目からヤマトを守るように歩いている。観光街だから良いものの、シャボンディ諸島は元々、そこまで治安のいい場所ではない。
次なる海、新世界へいくには政府関係者やマリージョアを通れる者以外はこのシャボンディ諸島から行ける魚人島を通っていかなければならない。魚人島には一度行ったことがあるものの、その先の海はカイドウ、ビッグマムを筆頭に化け物のような強さの海賊の横行する場所になるのだ。
つまり、此処は前半の海を越え、そんな化け物共に戦いを挑む頭の狂った強者達が集う場所でもあるのだ。
「バンドラ、ここは?」
「あー、良いんじゃねえの。」
などと会話を交わし、服屋へ行く。
なぜこの二人が来たのか、わからないくらい服に無頓着な二人が中へと入っていった。
…数時間後。服装を変えた二人が服屋から出てくる。バンドラはいつもとかわらず、黒い着物に緑の羽織、帯は真っ赤なもの。ヤマトは逆に洋装。黒レザーに白いズボン、ヘソの見える白い服は大きく張り上がっていた。
「珍しいな。おでんのしめ縄までとって。」
「うーん。おススメされたからなぁ。ボク、服とかわからないからオススメされたまま買っちゃった!!」
そうやって笑うヤマトにバンドラがそうかと笑う。それでもヤマトは左の手首に白と紫の糸で編まれたミサンガをつけているのでしめ縄の代わりなのだろうと思っていた。
バンドラも左脚に黒と白のミサンガを巻いていた。
「…後は日用雑貨ともうちょっと服を見て回るかなぁ。」
そうボソリと呟くバンドラ。
ヤマトと手をギュッと握り合っていた。
「あら。可愛らしいカップル。」
少し歩いたところだろうか。
シャボンディ諸島の真ん中付近で女性に声をかけられた。カップルという言葉にヤマトが顔を赤くする。
「アンタ、何もんだ?」
「私?私はシャクヤク。よろしくね。」
柔和な笑みを浮かべる女性…シャクヤクにバンドラは握手を交わした。
「シャボンディは楽しんでる?お若い二人なら沢山行ける場所あるでしょう?」
「若いって…俺はもう30だぜ?」
「ふふ。お若いじゃない。…男の人はね。若い頃は無邪気で可愛くって、歳を取るにつれてどんどんと渋くなっていくの。貴方はまだ若い方よ。お嬢さんも。」
室内に入るとそこはバーのようなところだった。これはサービスと言って、バンドラ達へグラスに入った酒を渡すシャクヤク。まだ朝早いとバンドラは笑うものの、無碍にできない為、グラスを傾ける。
「懐かしいわね。私もウチの人とそういう時期があったわ。…でもウチの人ったらどっかで女の子引っ掛けてはそこで泊まってくるんですもの。」
「意外とやんちゃな人だな。」
「昔は二人とも名の知れた海賊だったのだけれどね。海の男に一人の女にしとけは無理よ。自由だから。」
煙草を吸いながらそう言うシャクヤク。
ヤマトは両手でグラスを持ちながらうんうんと頷いた。
「誰の話をしているんだ。シャクヤク。」
その時だった。
ガチャリとバーの扉が開く。そこに立っていたのは70代くらいだろうか。皺や白髪のわりにその笑顔は若々しく、そして…その存在感は絶対的なものだった。バンドラは目を疑ったのだ。
「…冥王…シルバーズ・レイリー…。海賊王…ゴールド・ロジャーの右腕の…。」
「え!?おでんの日誌に書いてあった…あのっ!?」
「失礼。訂正しよう。私をそう呼ぶなら…海賊王ゴール・D・ロジャーの右腕、シルバーズ・レイリーだ。」
そう言って白髪混じりの男はニヤリと笑った。
ヤマトとレイリーもお互いのこと知らないけど接点はあるんだよねえ。レイリーはカイドウを知ってて、おでんも知ってるし、ヤマトはおでんの日誌に名前が書いてあったしで。
本筋が大きく進むわけじゃないけどバトルばっかだったから書きたくなっちゃった。
では。