燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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バンドラ君(+ヒロインズ)のイラスト募集中です。絵心のある方で暇やからやったるよーって方、よろしくお願いします。

原作突入です。


第98話

…3年後。

 

「ハァッ!!」

 

シュガーの指銃をバンドラが塞ぐ。

 

木刀との間に火花が散るものの、バンドラはそれすら最も容易く、弾いた。

 

「…ッ!!」

 

さらに、シュガーの速度が上がる。

四つん這いになり、バンドラの背後に回ると武装硬化した長くスレンダーな足を上から振り下ろした。

 

バンドラはそれを避ける。

大地が大きく窪み、ヒビが広がっていく。その直後…。

 

「…ん?」

 

「『雪兎(ユキラビ)』ッ!!」

 

ジャンプをし、バンドラの上を取ったモネが上から雪のウサギのような球を落とす。

 

バンドラはそれを背後に跳んで避ける。

 

しかし、背後にはシュガーが。

とてつもない速度でバンドラの背を立ったシュガーが手を両方握り、何処かの戦闘民族の必殺技のような仕草をとる。

 

「『白貓銃(はくびょうがん)』ッ!!」

 

「くっ…!!」

 

即座に背後を振り向き、バンドラは武装硬化した腕をクロスすることでガードした。

 

「…なるほど。衝撃を相手の身体に直接、打ち込むか。」

 

「えへへ。良いでしょ?オリジナルなんだ。」

 

そう言って笑うシュガー。

バンドラは何処かにありそうだなとも思いつつ、そんなシュガーの頭を撫でる。

 

「…そろそろか。」

 

バンドラは懐中時計のようなものを懐から出し、笑った。そう…今日は義手の届く日である。そのかわりと言ってはなんだが、レイジュをヴィンスモーク家最強の戦士に育て上げるよう、ジャッジからお達しが来た。

 

「…意外と早かったな。イチジ。」

 

海岸沿いで待つバンドラの元へとヴィンスモーク・イチジが現れた。イチジはアタッシュケースを持っていた。それを開けると中には精巧に作られた左の義手が入っていた。

 

「…成人女性の生活に支障のない重さと使用感になっている筈だ。脳からの電気信号によって肘の折りたたみ、指の開閉…それと触覚まで再現してある。」

 

「ほぉ?それがジェルマの技術ってか。すげえもんだな。」

 

「当たり前だ。こと、人体構造に長けている科学者はDr.ベガパンクを抜いて、父上の右に出る者はいない。…姉貴のことは頼んだ。」

 

そう言ってイチジはアタッシュケースを置き、飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけで、東の海へ行きます。」

 

食卓で全員のいるタイミングでバンドラが言う。ウタは懐かしいように笑い、他の女性陣はぽかんとしていた。

 

「義手を届ける為に行くのかい?少し距離はあるが…。」

 

「あぁ。まぁ、母親にとって腕は大事だろう?少し時間は経っちまったが、恨まれやしないと良いがな。」

 

「ナミちゃんとノジコちゃんのとこか…。」

 

ゴードンは少し心配そうに、ヤマトは嬉しそうに言った。…しかし、ゴードンもバンドラも考えていることは一緒である。

 

エレジアの復興は現在、小さな瓦礫を壊し、更地に近い状態へとなっている。そこから、人の住む住居地、畑、そして、ライブ会場等の設備を考えないとならない。

 

「…そうなると、力持ちのヤマトは残った方がいいかもな。」

 

「ええー!?やだよっ!?ボクも行く!!」

 

「…と、言えばこうなる。」

 

そう言うバンドラに周りのウタ以外がなるほどと首を振る。そもそも、ヤマトの夢という観点からヤマトが一部に留まり続けることはないのである。

 

「わかった。私が兄さんに言って手配しておこう。」

 

「出来るのか?」

 

「勘当されていなければな。」

 

そう言ってスムージーが微笑む。

ホールケーキアイランドからもそこまで近くはないが、鏡を通れば話は別だ。人員確保という面ではかなり良い。

 

「後はウタは俺のところにいた方がいいな。そっちの方が守れるし、エレジアに狙いで来る海賊からも余計なことを考えないで済む。」

 

「余計なことって何よ。私だって赤髪海賊団の音楽家、強いんだからね?」

 

「確かに、木端海賊には負けないだろう。だけど、名のある海賊が攻めてきたらどうする?世間には口外されてないが、お前は赤髪のシャンクスの娘で、七武海バンドラの仲間だ。…せめて、俺のそばにいなさい。そっちの方が安全だ。」

 

優しく諭すように言うバンドラ。

ウタは少し納得のいかないようにぶうたれているものの、折れたようでコックリと頷いた。

 

「まぁ、後の三人はどうするかだな。」

 

モネ、シュガーは最近ますます成長している。強さもそうだが、個々の強さは海軍将校以上にもなっているはずだ。レイジュは言わずもがなである。

 

「あら、私は行くわよ?」

 

モネが不敵に笑う。

 

「そうか。じゃあ、シュガーとレイジュはここにいてくれるか?スムージーだけじゃ守りきれないかもしれないから。」

 

一度の遠征。そう遠くへ行くつもりもないが、戦争時に戻ってこれる保証もない。スムージー一人では人員が足りない可能性も考慮しないといけないのだ。二人は元気よく頷いた。

 

 

…ルエノルーヴ号はエレジアのある霧の海域から出港する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…東の海フーシャ村。

村長ウープスラップは苦々しく、酒場の女主人マキノは笑顔で見送る。小船に乗るその少年は偉大なる大海賊の託した麦わら帽子を被り、みんなの声援に押されながら飛び出した。…彼の名はモンキー・D・ルフィ。

 

「先ずは仲間だなっ。十人は欲しい。音楽家と…コックと…。」

 

先に音楽家が来るのは幼き日の少女と出会ったからだった。ルフィは指を降りながらそんなことを言っていた。

 

まだ始まったばかりの冒険に胸を躍らせつつもゆったりと船は出る。

 

「シャンクスもそうだけど、バンドラにも会いてえなぁ!!元気にしてっかなぁ!!」

 

ニシシと笑うルフィ。

バンドラもシャンクスもルフィにとっては憧れの海賊。ルフィの夢見た海賊としての自由やかっこよさというものを二人とも持っていたのだ。

 

「よーしっ!!海賊王にッ!!俺はなるッ!!」

 

自らに約束をするように天は高らかと叫ぶルフィ。…バンドラに会う、その願いが思ったより早く叶うことを…彼は知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東の海ココヤシ村。

かつて天帝とその仲間が一つの騒ぎに決着をつけた場所。そこにかつてのオレンジ髪の少女は居なく、青髪の少女が母親の代わりにみかんを摘んでいた。

 

「ごめんね。ノジコ。」

 

ベルメールはそう言う。

袖からも左腕が見えず、痛々しくその傷は残っていた。ノジコは歯を見せてにっと笑う。

 

「大丈夫だよ。ベルメールさん。私ら、家族でしょ?家族なら支え合わないと。」

 

「…そうね。」

 

あの日からノジコも…そして、その妹も立派に成長していた。ノジコの妹…ナミは大事なものだと言って、あの日買ってもらった地図帳だけを常に持ち歩いていた。読み漁りすぎてページは掠れ、表紙はボロボロに。もっと新しく、もっと大きな絵でわかりやすいものもあったが、意固地としてそれを無くしたり、離したりはしなかった。

 

匿名で送られてくる金もベルメール達は手をつけず、溜めていた。いつか、あの人が来たら恩を返せるように。

 

「ナミのやつ、元気かな。」

 

ナミは優しい。

バンドラに会いたいからと海賊専門の泥棒へとなった。いつしか、盗みに行った船がバンドラの船だったらいいなと一縷の望みを欠けて。

 

ノジコはそうだね…と晴れ晴れしく笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…しかし、彼女らは知らなかった。

この平和なココヤシ村がいや…この東の海がこの後…2度目の惨事に遭いまみえるとは。




…この時のルフィ達には到底敵わない奴が現れます。
と言いつつ、今、舵輪か、サメか迷っちゃいるんだけどね。では。

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