どんな状況下でも本を読み続けたら   作:強烈ミントのキセル

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(問1)以下の状況下で本を読み続けた場合の結果を答えなさい
Q1.銀行強盗の前で本を読み続けたら


A.問答無用で死んでしまいます。

 

 

 

 

 

「………」

 

この少年、冒頭にあった出来事をそのままやってのけてしまったバカなのか頭が良いのかよくわからない今作の主人公。

 

「……」

 

この人、そんな主人公を担当することになってしまった転生管理センターの天使667号さん…一期一会がモットー。

本人曰く、「一号型番がずれてて良かった」…とかなんとか。

 

「………」

 

そして死んでしまったにも関わらず、気づいていないのかどうなのか…未だ本を読み続けるこの少年。

そんな主人公に流石に痺れを切らしたのか、おっと天使が動き出す。

 

「お~い?」

 

と、一声かけてみる。

が、この程度では主人公…動じない。

 

「………」

 

この程度で動じてしまうようなら、そもそも銀行強盗に殺されてしまうなんて事には絶対にならない。

しかし天使、諦めない…尚も声のボリュームを上げ、少年に声をかける。

 

「もしも~し?」

 

「………何?」

 

と、流石に耳元で大声をあげられれば気づくのか…少年ようやく頭を天使のいる方向へと向けた。

 

「あ、やっと気づきましたね?」

 

少年、そんな天使を見て第一声。

 

「………そんなことより用件を手早に言うべき」

 

暫く間を置き、

 

「………人間時間がいくらあっても足りない」

 

背中の羽根や、頭の上の輪…果ては自分のいる場所をそっちのけで天使にダメ出しをした主人公。

 

「時間も何も…アナタ死んだんですよ?」

 

ダメ出しに気づいていないのか理解していないのか、天使は臆することなく自分の仕事を着々と進めつつある。

さて、死んだと宣告された主人公…どういう反応をしたのかと言うと……

 

「………そう」

 

それだけ。

 

天使は二回目で驚く的なあれかと思ったのか、しばらく主人公の次なるリアクションを待つも……

 

「え、それだけ?」

 

結局それだけだった。

主人公、もう二度と反応することもなく…黙々とオーバーテクノロジー全集なる分厚いハードカバーの本を読破する。

が、しばし時間が経過すると……

 

「………用件はそれだけじゃない筈」

 

と、突然ボソリと呟いた。

 

「………死んだのを告げるだけだったら誰でもできる」

 

それはごもっとも…主人公は初めて自分から本へと向けていた視線を天使へとずらすと、ジロリと睨んだ。

 

「………いった筈、時間は少ない」

 

そして再び本へと視線を戻した。

 

「あ、ああ!そうですね!」

 

唖然としていた天使は正気に戻ると、ささっと自分の仕事を片付けるべく主人公に話し始めた。

 

「転生してもらいます…私が担当ですので貴方は歴史上死ぬはずじゃなかった人です。実は貴方が初めての特殊転生者です…こういう事態は滅多に、有り得ませんので」

 

自信満々にいかに管理が行き届いているだの今回は異例中の異例だのマシンガントークを続ける天使だったが、対する主人公は特に興味はないようで……

 

「………用件を」

 

と、話の途中でピシャリと言った。

 

「あ、そうですね…じゃあ転生していただきます。場所は普通に勉強できる程平和で、貴方に合っているかもしれない世界…その中からルーレットで決定された世界に行ってもらいます。て、聞いてませんね…特殊転生に付く特典は要望無さそうなので私が勝手に決めときます。容姿はそのままで十分でしょう…学力も、その本を理解できている様なので…運動は意外とできるんですね…え?本を読みながら冬季マラソン大会で三位入賞ですか?ソレハスゴイ…コミュ力は無さそうなのに意外と高い!?歯に衣着せぬ物言いができるところで評価がついてるみたいですね…ううん、特典どうしましょう?」

 

悩む天使をさしおいて、主人公は本を読み続ける。

 

「記憶は元々特殊転生では強くてニューゲーム志向なので意味ないし……」

 

すると突然主人公が、本から視線をずらすことなく呟いた。

 

「………静かに本を読ませてくれると助かる」

 

と、そこで天使の脳内に電撃走る!!!

 

「私を散々困らせた恨みをここで晴らしてやるぜっ……」

 

完全なる逆恨み…ただ単に主人公は無口で無表情なだけである。

だがそれは通用しない…しない。

 

「じゃ、二度目を楽しんできなよ」

 

光となって消え失せる主人公。

最初から最後まで同じ姿であった。

 

 

 

 

 

「葉月!一緒にご飯を食べよう!」

 

この幼女、篠ノ之 箒 5歳……

ちなみに葉月というのは彼女の双子の兄の事である。

言わずもがな…あの無口無表情無器用の三拍子揃った彼である。

その証拠に彼の手には、食事用の道具ではなく本が握られており…箒の熱心な御誘いに一向に乗ろうとしない。

 

「葉月、美味しいか?私がお母さんを手伝ったんだぞ?」

 

ちなみに葉月は食べていない。

いつも彼は箒が食事を終えて寝てしまった頃合いにモソモソと食べ始めるので、美味しいも美味しくないもないのである。

 

「私、葉月の為なら何でも頑張るからな!」

 

そんな彼女に葉月から一言……

 

「………そう」

 

以上。

が、等の箒は嬉しそうに何度も頷き何やらボソボソと呟き始めた。

 

「姉さんになんか絶対渡さない…葉月は私の葉月なんだ…葉月葉月葉月葉月葉月葉月葉月葉月葉月葉月葉月葉月……」

 

そのまま彼女は息切れor舌を噛んでしまうまでブツブツと言い続けるのである。

等の葉月本人は未だ食事には手をつけず、本を黙々と読み続けている……

そう、全て…空回り。




続かないかもしれない。
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