どんな状況下でも本を読み続けたら   作:強烈ミントのキセル

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メインタイトルに意味を求めるのはもう少し後にしてください。
我慢弱いのは何処かのガンデレ上級大尉だけで充分です。

コメント、お気に入りありがとうございます。
特にお気に入りは100件を超えたこと、感謝いたします。

主人公の異様なまでの本好きに関しては後々解明され、原作束よりも酷いコミュ力も少しはマシになる筈です。
そこら辺は粗筋通りです(粗筋には約60%まやかしも含まれてますがね)。


Q4.教師の前でも歪みなく本を読み続けると

A.本を取り上げられてしまいます。ボッシュート。

 

○/■ ( 快晴 )

 

小学校に入学し、初日が過ぎようとしている。

幼稚園、小学校、中学校…どの学校やその他の施設でも言えることだが、最初の自己紹介がある。

俺はこれが非常に苦手だ。

だがこうして日記を書いている間にも俺の順番に近づいてきている。

真後ろの箒から心配そうな視線が掛かるが、本を読んでいないにも関わらず返事を返すほどには余裕がない。

 

人間、誰にでも義理人情があると…何処かの書籍で読んだ覚えがある。

かく言う俺にも、情はともかく義理くらいならある。

 

こうして挨拶に悩んでいるのも…全ては真後ろにいる箒の為だ。

まがりなりにも彼女は俺の家族…読書の邪魔はともかく世話を焼いてくれている事くらいなら理解しているつもりだ。

 

本来なら氏名を言って着席すればそれで済むのだが、となると印象はどうなるか…恐らく“感じの悪いやつ”だろう。

俺ひとりならそれで良いむしろ誰も寄ってこないからひとり静かに読書ができる。

だがここには箒が居る。

感じの悪いやつの妹…そのレッテルを貼られたら彼女に友人ができるのだろうか?

 

『人間はポリス的動物である』

 

アリストテレスはこう言っている…つまり俺はともかく箒、彼女には友人という名の社会集団が必要だ。

彼女には人間的な生活を営んでもらいたい。

ならばここはひとつ、どうにかして挨拶をしなくてはならない。

本の続きが気になる一方、俺の中にほんの少しだけ残っている義理が彼女の為に動かなければならないと訴えかけてくる。

正直両方共に鬱陶しい。

それに俺には答えが見えている。

簡単な話、本を読みながら自己紹介をすれば良いだけだ。

簡潔簡素に、そしてできるならば箒の今後の生活に支障が出ない程度に完璧な自己紹介をすれば良い。

 

なんだ、悩んでいたが案外簡単な話だったな。

日記はそろそろ順番なので中断することにする。読書を再開させるとしよう。

 

 

 

 

 

「葉月、大丈夫かな……」

 

順番が回って立ち上がった葉月の背中を見つめながら、箒は心配そうに呟いた。

無理もない…彼は喋ることをあまり得意としていない(喋る事よりも読書を優先させる)のだ。

 

「………篠ノ之 葉月」

 

遂に葉月が開口した。

箒は葉月が無事挨拶できたことにほっと一安心…が、葉月はそこで椅子に座らなかった。

 

「………後ろに座っている箒の兄。読書が好き。人は苦手」

 

短く区切る喋り方で独特だが、葉月は自己紹介を続けたのである。

これだけに箒は驚いたが、また葉月は続けて驚くべき発言をした。

 

「………妹と仲良くしてくれると感謝する。かもしれない」

 

本を読みながらだったが、確かに最後の言葉は箒の事を思った一言である。

葉月はそのまま着席し、そのまま読書を続行させ…喋ることはなかった。

 

「葉月、私の事大切にしてくれてるんだ……」

 

そう言いながら箒は席を立ち上がると、自己紹介を始めた。

 

「篠ノ之 箒です…葉月は私の兄で、いつも難しい本を読んでいます。本を読んでいるときは話しかけても返事は貰えませんが、それでも私は葉月が大好きです…よろしくお願いします」

 

恥ずかし気もなく堂々とlove宣言…当の本人、葉月は気にする様子もなく付箋を片手に本を読んでいる。

これはいつも通り…しかし今は状況と場所がいつもとは違っていた。

 

「篠ノ之君?今は本を読むのやめようか?」

 

そう、ここは学校…先生という強制力がいる。

それでも歪みなく本を読み続ける葉月だったが、相手もまた…最後の手段を持っていた。

 

「はい、本はお終いね……」

 

教師ができる秘技、没収である。

没収された葉月は暫く呆然とすると、何か思い出した様にパタパタと急いでランドセルから持ってきていた予備の一冊を取り出した。が……

 

「はい、本はダメ!」

 

取り上げられてしまった。

 

「葉月…大丈夫?」

 

教師を軽くひと睨みすると箒は心底心配そうに声をかけた。

 

「………問題ない」

 

本を読んでいない為普通に返事をする葉月は、どこか力が抜けていた。

 

「………しかしこれは由々しき事態」

 

その日、葉月は何か言われたら返事をした。

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