A.色々と考えることになります
◎/◎ ( 晴 )
あれ以来学校には行っていない。
そう言えば前も学校には行ってなかった気がする。
高校を中退したんだったかな…?
俺がここまで本に固執しているのは、本を読んでいれば……ん、何だっけ?
何が起こるのかは忘れてしまったが、読んでいれば何かが起こるんだ。
両親は何も言わない。
姉さんで慣れているからなのかもしれない。
姉も殆ど俺と同じことをしている。
ただ、姉さんは俺と違ってちゃんと両親や箒、親友とコミュニケーションを執っているらしい。
たとえ何か大切なことをしている最中でも、返事をしていた。
俺には真似できそうにない。
本を読み始めたら何か耳に入ってきても返事をすることに意識が向かないからだ。
これが両立できないってやつなのかもしれない。
元々会話するのが得意じゃないだけに、口数の少なさが加速しているような気がする。
せめて読書と返事を両立できれば良いのだが…箒と姉さん…両親達には世話になっているので、返事くらいはしておきたい。
本を読みながらそこら辺、考えよう。
「はーくん、今日も学校休み?」
束がヒョコリと葉月の部屋を覗いた。
そこには遮光カーテンで窓が覆われた部屋の中で、黙々と積み上げられた本を豆電灯の弱い光で読み続ける葉月の姿があった。
傍らのサイドテーブルには小さな日記帳とペンが置かれている。
「はーくん、こんなとこで本を読んでたら目が悪くなるよ?」
束が心配そうにそう言い、葉月の片手を引こうとした…するとどうだ、
「………引きこもりはこうするもの」
絶賛読書中の葉月が喋ったのである。
「………本に書いてあった」
読みながら続ける葉月に、束は……
「はーくんが一杯喋ってる~っ!!!!」
と、目を丸くした。
「………考えていた。今日から努力する」
そんな束を気にする風でもなく、自分の考えを短く区切りながら話し切った葉月は、本を読み終えた。
と、思ったら別の本を読み始めた。
「考えてたって…努力するって…これからははーくんともっとお話しできるの?」
目を輝かせ、顔に満面の笑みを浮かべ、束は葉月に詰め寄った。
「………そう」
どうやら本気で努力しているらしい。
葉月の本を読む手はプルプル震え、妙な汗をかいている。
「あ、嬉しいけど…でも、無理しなくて良いからね?」
早くもそれに気づいた束は、葉月に声をかけた。
しかし一度決めたからには頑固な葉月…いや、もしかしたら努力のしすぎで内容を理解できていないのかもしれない。
「………今、何かアクションを起こさないと。危ない」
これにもまた返答した…にしても何が危ないのか。
心なしか本のページを捲る間隔が速くなっている気もする。
「………そう、危ない」
口数は少ないですが、成長はしているようです。
が、ここで成長期はストップします
次回は別の意味で成長しております。