なんだか、知らない言葉がたくさん出てきた。
「ちょ。ちょっと待ってくれ! 急に一気に情報を流すな!」
私が困惑しても、クリームヒルトが首を傾げても、緋衣征十郎は、なぜ俺が説明せねばならん、という顔を崩さなかった。
天上天下に唯我独尊。俺は俺で唯一不変と頑なに変わらない。それが逆十字として
「そんな顔をするなよ、セイジュロウ。私はお前を守らねばならんし、お前も死にたいわけではなかろう。
そのためにはまず、情報共有が必要なのだよ。敵を正確に教えてくれなければ、此方も手の打ちようがない」「……ああ、言わずとも分かっている」
仕方なさそうにため息を着くと、彼は本当に仕方なさそうに、面倒くさそうに話し始めた。
「邯鄲の夢には
貴様らの使っている邯鄲法とやらは
夢幻というのは別名、第零盧生とも呼ばれていてな。分かりやすく言えば創世神といったところだ。それを憎む奴が今貴様らを狙っている。分かるか? 今、貴様らが生きるか死ぬかで世界の存亡が決するんだよ。
現状はこんなところだ。理解したか?」
敵はその、夢幻というやつの敵ということか。
想像の斜め上を行く規模の大きさには目眩がする。しかし、言われてみれば確かに盧生を狙うとはそういうものだろう。少なくとも、柊四四八がいないだけで人類史は大きく変わる。
「敵の首魁は
はあ、と征十郎が床に着こうとした瞬間―――
瞬時に私が作り上げた氷の壁に銃弾が突き刺さる。
短機関銃による屋内制圧。銃器を使った奇襲作戦。
「くっ、気付かなかった……!」
「ふむ、我々とて戦闘勘はあるし、レーダーのように人を探す術もあるはずだが」
私たちの困惑は、奇襲作戦そのものではない。邯鄲法、解法の透。見透かし、解析する夢で、レーダーのような使い方も可能なのである。しかし……これは。
「奴らは邯鄲法への
「それって、つまり……」
己の氷壁も、貫通され始めていた、銃弾が袖を貫通し、髪の毛を掠め、飛んでいく。
「ちッ。退路は?」
「一応、背後の壁をぶち抜いてみるかね? 私ならば背後にも部隊を展開するだろうし、我々が飛び出した瞬間にハチの巣にされる、という展開もありえるが」
彼女の言うことは正論で、これでは進退窮まった。
「なぜ初めから退路を確保しておかない?」
「おまえを退路も確保してある私たちのアジトに連れていく予定だったからだよ! 悪かったな、段取り悪くて!」
銃弾の雨にどんどん崩れる氷と、夢を無視して飛来する弾丸。
これで詰みか―――と目をつむった瞬間。
「なんじゃ、最近の暗殺部隊は地相学も知らんのかい」
銃弾が不自然に湾曲し、身体に銃弾が当たらなくなる。それどころか。
「邪魔ァすんなや、カス。俺の道塞ぎよるなら退かしちゃるわ」
うめき声と共に銃弾が止まったのだ。それも、一瞬で。
その代わりに、穴だらけの扉を開いて入ってきたのは、書生のような服装の、白と黒の混じった髪を持つ男だった。
すなわち―――
「おーおー。こりゃあ逆十字とそのツレじゃない。なんじゃ、邪魔なやつ片付けたら面白いモン見つけたわ。
こりゃあ
神祇省の裏部隊、鬼面集を率いる男―――壇狩摩である。
作者も想定外の、カルマさん降臨です。