たきなの為に全力でお兄ちゃんを遂行するお兄ちゃん(ガチ) 作:ゴマだれ
なお呪術廻戦要素はセリフと主人公の能力以外ほぼないです。それ以外は大体あらすじ通り
「…」
男は明かりもつけずに暗い部屋の中である1枚の写真を見ていた。その写真にはまだ幼さを残す少女が映っていた
「お前またそれ見てんのかよ」
「あぁ」
そんな男の背後にはいつから居たのかスーツ姿の男が立っていた
「名前も知らない赤の他人をか?」
「だが…何でだろうな、妙に落ち着くんだ」
「何だそりゃ、それより仕事だ」
そう言うと男は2人の女子高生の写真が机の上に置かれる。その内の1人である赤が似合いそうな白髪の少女に目を向けた
「『リコリス』か?」
「ああ、だがリコリスの中でもかなり出来る奴らだ。ま、そいつらに恨みや怒りを持つ人間は沢山いるってことだな」
「それでコイツらをどうするんだ?片方は俺でも分かる有名人だ。中々手こずるぞ」
『錦木千束』
日本の治安を秘密裏に守る秘密組織『DA』が誇る実働部隊『リコリス』において史上最強と揶揄される程の実力者であり、幾つもの逸話を持っている。裏の組織からすれば目の上のタンコブでは済まされないほどの厄介さを持つ
「いや、殺す。コイツらはコンビで動いてる、だからそこを狙うらしいぞ」
「なるほど、情に訴えかけて罠に嵌める訳か」
リコリスが幾ら洗練されたエージェントとはいえ仲間の命を天秤にかけられれば動かざるを得ない、2人はそこに勝算を見出していた
「勿論、お前の実力は分かっているが成功率を上げる分には文句はねぇだろ?」
「お前がそこまで言うのか」
「まぁ、油断して足元掬われるよりはいいだろ。…報酬は弾むそうだぞ?」
「わかった、その話受けよう」
そう言い席を立つ男、彼の名は『伊織神一』
かつて『リリベル』において怪物と呼ばれた男である。しかし、伊織はふと机に置かれたもう1人の写真に目が移った
「…こいつは?」
「そいつが錦木千束のコンビのリコリスだ、噂によればDAの本部から左遷されたらしい」
「そうか…」
言葉では説明の出来ない謎の違和感、それを抱いたまま神一は部屋を後にした。
しかし、この依頼は後に彼の人生を大きく変えることとなる
某日、とある廃墟のビル
表向きには平穏な夜には似つかない硝煙と血の香り、そして
「思いの外…あっけなかったな」
「っ…」
制服を着た黒髪の少女に銃口を向ける男、その周りには戦闘の跡があり、弾痕や蹲りながら痛みを堪える男達の姿があった
「戦闘中に携帯鳴ってたよな?お友達か?」
「貴方に言うことはありません」
「強気だな、だからこそのリコリスか」
壁に背を預けて神一と向き合う少女『井ノ上たきな』はこの状況を打破する策を必死に模索していた
(この男の足から逃げ切るのはほぼ不可能…そもそもまったく隙がない…!)
銃を持ったチンピラ相手にこの廃墟に追い込まれるように入るまでは良かったが神一が現れてからは早かった。コンクリートの壁をぶち抜いて現れた神一はその人間離れした身体能力でチンピラを一瞬にして鏖殺し、最後にたきなの銃を素手で破壊し無力化した
「悪いがお前の相方も殺らなきゃならないんでな、長話はここまでにしよう」
(いくら千束でもこんな化け物が相手じゃ…)
目の前の男に思わず化物を連想させる、身近に居るもう一人の化物を遥かに超えるスピード、フィジカルに最早打つ手はなかった
「それでお前、名前は?」
「…依頼主から聞いてないんですか?」
「聞きそびれたんだ、俺は殺した人間の名前は忘れないと決めている」
神一という怪物の意外な一面に鳩が豆鉄砲を食らったような表情になる、なにより神一の優しそうで悲しそうな表情にどこか説明出来ない
「…井ノ上たきな」
「そうか、たきな。来世じゃ真っ当な家庭に産まれるんだな」
銃口を押し付けられかけがえのない相棒との思い出が走馬灯のように頭を駆け巡る、放たれるであろう凶弾に目をつぶる
「…?」
しかし何時になっても引き金が引かれることは無く、咄嗟に目を開ける
「どういう事…だ…!?」
「あ、あの?」
頭を抱えながら唸る神一に思わず声をかける
「あ…ああ!」
「…へ?」
まるで何かに取り憑かれたかの如く、そのままたきなを放置してどこかへ向かう神一に唖然としながら立ち尽くしていた
「たきな!大丈夫!?」
「千束…」
「急いで逃げるよ!立てる?」
「う、うん」
相棒に手をひかれるがままにたきな達はその場をあとにしたがたきなの頭の中は神一のことでいっぱいだった
「はぁ…はぁ…!」
一方神一は未だに困惑していた、自身にとって井上たきなという少女に対する違和感は引き金を引こうとしたその刹那に現れた
神一の脳内に突如として溢れ出す
存在しない記憶
『
『し、知らんな』
マンションの一室、仁王立ちしているたきなの前に正座する神一は萎縮仕切っている
『いえ、間違いありません。ここに保管していたかりんとうはどうしましたか?』
『…』
『…口の周りに付いてますよ』
『え!?…あ』
『…もう知りません』
神一のあからさまな行動にたきなはへそを曲げて頬をふくらませながら怒りを露わにする
『待ってくれたきな!悪かった、
『そうですか、ならこのシュークリームはいただきます』
そう言うとたきな冷蔵庫にあった高級店の物と箱を取り出す
『ちょっ!?それ俺が買った都内の名店の奴!バイトで金稼いで3時間並んでようやく買えたやつ!』
『そうですか、いただきます』
『ああああ!!』
なんとか止めようする神一の言葉に耳も傾けずに無情にもシュークリームを食べ続けるたきな
『うぅ…』
『…』
あまりの落ち込みように流石に可哀想と思ったのか箱の中にあったもう1つのシュークリームを持ち
『兄さん』
『なnんぐ!?』
口の中に押し込む、突然の事にフリーズする神一にたきなは言葉を続ける
『…今度、荷物持ちとして買い物につきあってください。それで許します』
『ぜひともやらせて頂きます!たきな様!』
とお許しの言葉を貰い、神一はたきなの怒りを沈めることに成功した。
『そう言えばシュークリームは二つありましたが…誰かに渡す予定だったんですか?』
『いや、元々はたきなと一緒に食べる予定だったんだ。
いやぁ、一人一つ限りだったから2日並んだよ!たきなはああいうの好きだろ?』
『…黙秘権を行使します』
『ちょ、せめて感想くらいは━━━━』
たきなはそのまま神一から自身の顔を隠すようにして自分の部屋に戻って行った
「…」
『にいに!』
神一は自分の生涯には考えられないほど暖かい記憶から再び現実に引き戻れる、立ち上がりそしてその足でたきなの下へ向かう
「行かなければ…」
『お兄ちゃん!』
今まで考えたことのなかった肉親の存在、そして朧気だった自身の記憶が点と点で結ばれようとしていた
『兄さん』
「井ノ上たきな…お前は何者だ?」
そして━━━━
「知らなければ…」
俺は何だ?
「彼もいい仕事をしてくれた」
「はーなーせー!この変態!」
「く…」
神一の下から離れた2人は更に来た増援によって捕まってしまった、いつもなら取るに足らない相手だったがたきなの銃の破損、そして神一によって思考が巡らないことが重なりあえなく捕まり人質となった。それにより千束も白旗をあげるしかなかった
「君ら二人をここまで誘い込んでくれたことには感謝しなければならないな…だが2人とも生きてるとは、特に君はね」
「持病でもあったんじゃないですか…!」
「よく回る口だな、悪いがそこのドローンに助けてもらおうなんて思わない方がいい。足止めはちゃんとしてあるからね」
(本当にマズイ…!助けはもう期待できない、周りの部下も容赦がないから下手に動けば…!)
先程より状況は悪化し、打つ手をかんがえるまでもなく王手をかけられていた
「錦木千束…私は君に人生を狂わされた、あの取引さえ成功していれば私は今頃…」
「それとたきなに何の関係が…」
「だから私は君が一番苦しむ復讐を思いついたんだ!」
そう言うと銃を持ち、たきなに向けて引き金を引こうとする
「自分のお仲間が目の前で死ぬ光景をよく見ておけ!」
「たきな!!」
引き金に指がかかり、撃鉄が動こうとしたその時
「待て!」
神一が息を荒らげながら現れ、ボスと思しき男に向かって行く
「…何だ?今いい所だったんだ、報酬はちゃんと払うから今はひっこんでな」
「よくも…したな」
「あ?何だって?」
「よくも俺にたきなを…妹を殺させようとしたな!!」 ドゴォ!
「ヘブッ!?」
神一の渾身の怒りの一撃が男の顔に突き刺さる
桁違いの力によってその顔には拳の跡がくっきりと残っており、一目で死んだことが分かる
「…妹?」
「え!?たきなお兄ちゃんいたの!?」
「まったく身に覚えがありません!!」
まさかの妹発言にその場の全員が困惑する、勿論たきな自身には身に覚えがない。しかし、信じられないことに彼は自身のイカレっぷりと僅かな記憶から自分が正真正銘のたきなの兄であることを信じて疑わず、空っぽの心に本来収まるはずの己の
「てめぇ、よくもボスを…!」
「知ったことか!!
そこをどけ!俺はおにいちゃんだぞ!!」
ズガン!
拳から放たれる一撃とは思えないほどのパワーで蹂躙していてく、気のせいかたきなは自身と相対していたときより早く感じた
「たきな!今のうちに…」
「…」ダッ
「え、ちょ、たきな!?どうするの!?」
たきな自身、何故神一の下に向かっていったのか分からなかった。気づけば体が勝手に動いていた
ズドン!ズドン!
「!」
そして神一の援護をすべく、落ちていた銃を拾い相手に狙いを定めて引き金を引いていく
「…とりあえず味方ってことでいいんですよね」
「違う!俺はお兄ちゃんだ!」
「真面目にやってくんない!?」
千束も奪われた銃を回収し、形勢は完全にこちらに傾いていた
「クソ!あんの化け物め!」
「俺は化け物じゃない!お兄ちゃんだ!」
「ま、待て!やめ…ぎゃあああああああ!!」
ズガァン!
自称お兄ちゃんの不審者にかなり引いている2人は神一の異次元の強さに援護も出来ず静観に回っていた
「…アレ、どうしよっか?」
「少なくとも放置でいいのでは?」
その後、2人の出番はほとんどなく戦いにすらならない神一の蹂躙する様に彼が敵でない事は理解出来た
「…で、連れてきたってわけ?」
「違うわアホ!車のスピードに付いてくるとかホントに何なの…」
「ドローンのカメラで見てたが正直アレは同情するわ…追跡者ってああいうのを言うんだろうな」
「それで…アレはどうするんだ?」
「頼むたきな、お兄ちゃんと呼んでくれないか?」
「言いませんし録音しようとしないでください」
「馬鹿な…小さい頃はあんなにお兄ちゃんと言ってくれたのに…!」
「勝手に記憶を捏造しないでください!」
キャラ紹介
『伊織神一』
年齢:18歳
元リリベルで文字通り最強の存在として語られていた、強さ的には単騎でDA本部を落とせるクラス
異常な身体能力と五感というどこぞの天与ゴリラみたいな能力を持っているが転生者とかではない。
戦闘スタイルは基本的に自身の力に任せて素手で戦う
家族愛に飢えておりたきなのお兄ちゃんを遂行するため今後はDAの協力者としての立ち位置になる。なお、喫茶『リコリコ』の厨房役になる
ちなみにたきなとはガチで血が繋がった兄妹である
たきなは曇らせない(決意)
『井ノ上たきな』
年齢:16歳
突如命を狙ってきた相手がお兄ちゃんを名乗りだして内心宇宙猫みたいになってた。
その後、自身と千束の危機に曇らずに立ち向かってくれる事やガチの実兄であることが判明して徐々に絆されていく