遍く総べては『ちさたき』のために   作:ae.

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ちさたき多め。


4『全てのことを、愛をもって行え』

 ───年─月──日

 わたしは いま

 

 ちさとのへやで

 

 ちさとにべっどにおしたおされています

 

 

 は??????????

 なんで??????????

 

 どうやら千束は具合が悪かったらしい。

 いきなり馬鹿みたいな力で部屋に連れていかれたあげく

 ベッドに押さえつけられたのはさすがに驚いたが…おかげですぐ気が付くことができた。

 

 だってどう見ても様子がおかしかったし。顔は真っ赤だわ、目も充血しているわ、

 そもそも朝からずっと連絡がつかないわ…体温計がなかったから

 額を合わせて測ったので正確かは分からないが、案の定、平熱よりかなり高く感じた。

 

 おそらく具合が悪くて朝起きられず、ようやく起きれて虚ろな意識のまま

 私の部屋へ助けを求めに来たといったところか。

 そしてちょうど部屋へ来た私を見て不安感が押し寄せてきた…と。

 

 とりあえず千束は部屋で寝かしつけてきた。「どこにも行かないで」と、うわ言のように

 言うので、昔のように布団をかけて頭を撫でていたらいつの間にか眠っていた。

 

 なんにせよ心臓の問題でなくて一安心だ。

 

 風邪なんかのとき、一人だと不安になるのはよく分かる。

 今日のところはこのままこちらのセーフハウスに留まることにしよう。

 

 

 ───年─月──日

 朝食を作っていたら、朝早く起きてきた千束にいきなり抱き着かれてしまった。

 は??? いい匂いすぎるだろ…。しかしそういうのは私ではなく

 たきなにやってもらいたいところだ。とはいえ彼女たちがそういうのを平然とやるように

 なるのはまだもう少し先のことだろう。待ち遠しい限りである。

 

 それはそれとして、まだ体調が良くないからもう少しだけいてほしいと

 千束が言うので、今日もこっちで過ごすことになりそうだ。

 

 しかし千束が一話から二話の間に風邪を引いていたとは…。

 話と話の間が概ね一ヶ月空くのでそんなこともあるだろうが、私がいなかった場合は

 どうなっていたのだろうか。

 先生やミズキあたりがお見舞いに行ったのか? それともたきなが…?

 

 …もしや、ちさたきチャンスを逃したのでは…?

 

 

 ───年─月──日

 千束が動けないので、たきなと二人でリコリスの仕事をこなしつつ

 リコリコの方の仕事を回している。

 

 ミズキが「仮病じゃないの?」と言っていたが、千束に限って

 仮病なんて真似はしないだろう。むしろ動けないことを歯がゆく思っているはずだ。

 

 たきなはリコリコの仕事に疑問を感じているようではあるが、しっかりこちらの指示は

 聞いてくれている。この疑問もまた、ちさたきを成すのに必要な要素の一つ。

 

 万事順調だ。

 

 昨日はチャンスを逃したなどと言ったが、問題はなさそうである。

 

 

 ───年─月──日

 ようやく千束の風邪が治った。

 今日から再び千束とたきなのペアで任務をこなしてもらうことになる。

 

 たきなが私とのペアの方が学べることが多いと言ってきて少し困ったが、

 私が何か言う前に、千束の方からたきなの手を握って任務に連れ出してくれたので

 助かった。やっぱりちさたきじゃないか! 

 

 この千束の積極性こそがちさたきを支えているのだとちさたき学会の権威は語る。

 たぶん名誉教授あたりも言っているだろうと思う。私も言った。

 

 しかし生で見るちさたきはちょっと破壊力が高すぎるな…ラピ○タのポ○じいさんの

 気持ちが理解できたかもしれない。

 

 まぁ私はしまってもらうつもりも目を逸らすつもりもさらさらないが。

 

 

 ───年─月──日

 千束が頻繁に私のセーフハウスを訪れるようになってしまった…。

 

 リコリコでの仕事が終わったあとなど、千束は時間が合うタイミングでは大抵私についてきて

 そのまま私のセーフハウスで一緒に夕食を済ませている。そのうえ徐々に着替えや果ては映画の

 ディスクなんかも持ち込むようになり、居間が千束色を帯びつつあると来たものだ。

 

 ルームシェア自体は解消できて一つ屋根の下ではなくなったものの、

 これではあまり今までと変わりないので意味がない。

 

 どうにか策を講じなければ…。

 

 

 ───年─月──日

 リコリコでの仕事終わり、いつものように千束が私についてこようとしていたところを見た

 たきなが、「お二人はいつもどこに行っているんですか?」と聞いてきた。

 

 千束が気になるのだろう。とても良い傾向だ。なぜか千束が答えるのを渋ったので

 私が正直に、私のセーフハウスへ行っていると答えたところ、

 千束がいきなりたきなを「私の家に行こう! 映画見よう!」と連れて行ってしまった。

 

 えっっっお家デートですか????????

 ちさたきお家デート???????

 

 同棲回はまだ先だからなぁ、なんて考えていた自分の既成概念を打ち砕く至高の一撃である。

 これもう同棲前倒しすらあるんじゃなかろうか? いやあるな?? あるわ(確信)

 なんならこのまま今日は千束の家にたきなが泊まる可能性もある。つまり…お泊まりデートか。

 

 えっっっっっお泊りデートですか????????

 ちさたきお泊りデート!?!?!?!?!?!??

 

 アニメだけでは知りえなかったちさたきがここにもあった。

 

 ありがとう…それしか言う言葉が見付からない…。

 

 お祝いを兼ねて今日は夕食を少しだけ豪華にしたが、ちょっと作り過ぎてしまったかもしれない。

 何せ一人分の食事を作るなんてここ数年あまりやっていなかった。

 まぁ、少しずつ慣れていけばいいだろう。

 

 

 ───年─月──日

 千束が前ほどは私のセーフハウスを訪れなくなった。おそらく…いや、まず間違いなく

 たきなと過ごすようになったからだろう。

 

 まぁそれでも週に2、3回は来ているのだが。

 

 いずれにせよ、時間とともに私のところを訪れる回数はさらに減っていくだろう。

 対策を講じるまでもなかったようだ。

 

 …これを少し寂しく思ってしまうあたり、

 私は千束と長く時間を過ごし過ぎてしまったのかもしれない。

 

 それはそれとして、千束とたきなが二人で映画見てる部屋の壁になりたい。床でも可。

 

 

 

 

 

 ───年─月──日

 今日、ウォールナットからミズキが管理するリコリコのメールアドレス宛に

 緊急の依頼が送られてきた。

 

 始めは依頼に懐疑的かつまったく乗り気でなかったミズキも相場の3倍という

 破格の報酬を一括前払いで提示され一瞬で心変わりしたようだ。

 

 いくらかは私も仕事をするつもりだが、基本的には千束とたきなに任せて

 私は遠方から本編を堪能させてもらうつもりでいる。

 

 既に先生から、千束やたきなに伝えるカバーストーリーとは別の、本来の作戦に

 ついて説明は受けた。あとは任務当日を待つばかりだ。

 

 これが終わればウォールナットこと、クルミが喫茶リコリコの仲間に加わる。

 ついに喫茶リコリコフルメンバーだ。

 若干一名、異物が混入してしまっているが許してほしい。

 

 …しかし何か忘れている気がするのだが…。

 

 

 ───年─月──日

 ウォールナットの死を偽装するという作戦は無事成功を収めた。

 作戦に必要なことだったとはいえ、千束が大泣きする姿を見るのはさすがに堪えるものがある。

 

 その後は店に戻ったあと、たきなが千束へ今回の方針は

 無理があったと噛みつくところまで本編と同様だ。少し違う部分があったとすれば、たきなが

 私にもいろいろ言ってきたところだろうか。これは私という本来いない人間がいる以上

 仕方のないことなのだが。それと一つ分かったこともある。

 

 たきなが随分と私を過大評価している、ということだ。

 

 単純な戦闘能力では私は当然千束には及ぶべくもないし、

 射撃の腕だけとってもたきなの方が優れているのは間違いない。

 まぁ、独り言だと思うが、たきながDA本部に、と言っているのが聞こえたので、

 彼女が戻りたがっているという点で見れば、大筋は変わらないので一安心ではある。

 

 …それと私が何か忘れているな、と思っていた内容が早くも分かった。

 

 吉さんだ。

 

 すっかり忘れていたが、吉さんは一ヶ月前からリコリコを訪れるようになっている。

 前回、前々回とニアミスで遭遇していなかったのだが、

 とうとう今回バッタリ会うことになってしまった。

 顔覚えてないよ、を装おうとしたのだが、なんか妙なフレンドリーさで接してきて

 無事無駄に終わった。

 

 そのうえ先生だけでなく、私に対しても

 「千束とここでどんな仕事をしてるんだい?」と釘を刺してくる始末だ。

 吉さんだって私にどうこうしてほしいわけではあるまいし、ミカのついでに言っておくか

 くらいのノリだとは思うが。

 

 なんにしてもこれでリコリコ、待望のフルメンバーである。

 

 余談だが、クルミもそれとなく香ってみたところやはりいい匂いがした。

 千束やたきなとはまた違う、甘さと落ち着きを感じさせるフレーバーだった。

 





ちさたきのために頼んだ。

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