【予告】

天災、源石、感染症が広がる世界
多くの人々は大地と移動都市に居場所を囲われ
一部の者は居場所を追われる

そんな世界でなおも騎士たらんと輝こうとする者たちに

「信念、富、名声、権力! 大層なもんじゃねぇか!」
「なら俺はあえて栄光を求めよう……!」

地上最強の生物、オーガ現れる!!

Glory of Ogre 開幕ッッ!




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ノリと勢いで書きました。
もし、万が一、億万が一、読者さんからの反応が良さげでしたら頑張って続編書きます_φ( ̄ー ̄ )




アークナイツ×範馬勇次郎 Glory of Ogre

 

年号が令和へと変わった日本。令和は日本最古の詩集『万葉集』に収められている「梅花の歌」から1人ひとりが花を咲かせられ、調和を求める国であることを願ってつけられた。

実際に日本や世界の国々が調和が取れているのかはさておき、少なくとも1組の地上最強の親子の関係は決着を見せた。

 

 

 

都内某所

 

 

 

あまりにも酷い、という言葉では足りないほどその家には。

いや、その家に続く道から"言葉"が書かれいる。それらの"言葉"の全ては家主である高校生の少年へと向けられたものばかり……だが、当の本人に直接その言葉を放った人物は居ない。それもそうだろう、もし直接彼に言葉を放つことができる人間ならば、文字で伝える必要など無いのだから。

 

そんな家で、家主である男子高校生と彼に会いにきた白人の米軍大佐は、畳の上でちゃぶ台を挟んで座っていた。

 

「……いまなんつった?」

 

高校生ながら地下闘技場のチャンピオンであり、地上最強の生物と称される父親をもち、そして1人の息子として認められたこの家の家主はしかし、自分の目の前で座る白人の言葉に対し、目を見開きながら聞き返さずにはいられなかった。

この軍人が父親と友好的な関係にあることは知っている。この男が属する国が父親と友好条約を結んでいることも知っている。だからこそ、一瞬──実際には0.5秒の間に、目の前の男が発した言葉が聴覚神経から脳が錯覚したのかと──自分の耳を疑った。

だが、目の前の男は再び同じ言葉を家主へと……範馬刃牙へと伝えた。

 

「……君の父親、ハンマ・ユージローの消息が掴めていない」

 

「……いやいや、冗談よしてよストライダムさん。範馬勇次郎が消息不明? そんなこと──」

 

あり得ない

 

そう言葉を紡ごうとするも刃牙は『あ』という言葉を発するために必要な口を開くことができない。幼少より闘いにより育まれた直感が、どうして今ここにストライダムがいるのか、という理由を否応なく突きつけたからだ。

 

「──そんなこと言われたって、俺にわかるわけないでしょ。行方不明者の所在を身内に聞くのは当然なんだろうけどさ」

 

「それは……そうなのだが」

 

「そもそも、米軍は親父のことを偵察衛星で監視してるんだろ。わざわざ家族に"事情聴取"なんてしなくても良いんじゃないの?」

 

「……事はそう単純ではないんだ」

 

ストライダムは神妙な面持ちでちゃぶ台を挟んで刃牙に現在の米国の状況を説明する。

 

「すでにユージローの消息が掴めなくなってから21時間が経過……友好条約を結び、同盟関係でもある彼が消えたことで、大統領は9時間前に国家安全保障会議(NSC)に対し大統領令を発令。我々米軍も防衛準備体制(デフコン)デフコン3(ラウンドハウス)へと引き上げ、戦闘体制を整えている状況だ」

 

「……ちょっと、待ってくれよ」

 

刃牙は左手で軽く頭を掻きながら、ストライダムから発せられた言葉を彼なりに咀嚼する。

 

「NSCとか"でふこん"とか俺にはよくわかんねぇけど、なんで親父が消えたってだけでそんなに大騒ぎすんの? 確かに親父は地上最強の生物だろうけど、1人の人間に過ぎないでしょ。いくらなんでも……えっていうか、そこまでして探されたら、親父なら怒るんじゃないの」

 

「そうだな。それこそユージローが"自分で身を隠した"なら怒るだろうさ」

 

ストライダムは意味ありげに刃牙に語る。その言葉を再び咀嚼する。

この白人は"自分で身を隠した"なら、と言った。それこそ軍事衛星から身を隠すなら地下鉄に入るなり、ジャングルに行くなりいくらでも方法はあるだろう。それこそ勇次郎なら監視の目を掻い潜るなど造作もないことに違いない。

 

だがもし

 

地上最強の生物が・・・・・

 

「…………おいストライダム」

 

「……何かね」

 

 

あり得ない、そんな事は決してあり得ない

 

 

そう心では叫びながらも、刃牙の脳は、0.5秒の無意識すらも己のものとした少年の大脳新皮質は一つの直感を言葉にしろと命令する。刃牙にできた己の直感への唯一の反抗は、その言葉に怒気を入り混ぜることだけだった。

 

「親父が監視されてる目の前で消えた、な〜んて……言うんじゃねぇよな?」

 

「…………」

 

ストライダムから返された言葉は無言の肯定。

つまり、範馬勇次郎は文字通り消えたという意味。

 

「……彼はロッキー山脈を単独登攀し、ニューメキシコからカナダのブリティッシュコロンビアまで『少し涼みたい』からという理由で尾根を走っていた。

だが……カナダとの国境付近で大規模な雪崩が発生し──」

 

「雪崩に巻き込まれてから消息不明、てか?」

 

「……そうだ」

 

ストライダムが刃牙の自宅に来たのは事情聴取、ではない。

『君のお父さんは雪崩に巻き込まれた、いまだ発見には至ってない』という家族への"連絡"にすぎ無い。

 

「……消えてから21時間、って言ったっけ。なんも見つかって無いの?」

 

「ああ。コロラド州軍3500人による捜索、ピーターソン空軍基地から偵察ヘリや救難捜索機を上げているが、何も、見つかって無い」

 

「──それで?」

 

刃牙の理性は確実に怒気を強めていった。頭を掻く左手は軽く、ちゃぶ台の下に潜む右の拳は硬く握られる。この後ストライダムが、米国が、自分に何を求めるのか検討がついてしまう。ついてしまったからこそ怒りを覚えずには居られなかった。

 

「大統領は……合衆国は、新たな友好条約を結ぶ相手を求め──」

 

「まだ24時間も経ってねぇのに親父のこと諦めてんじゃねぇよ!!」

 

ちゃぶ台に右拳を振り下ろされ、木製の乾いた甲高い音と共に四脚が畳にめり込む

 

刃牙の目は米国(彼ら)の正気を疑っていた。

日本においては阪神・淡路大震災の経験と犠牲により、被災者の生存確率は72時間を超えると急激に下がるという72時間の壁という学びが広く知られている。これは、被災者の生存率と人が飲まず食わずに生存できる限界時間の2点を根拠にした考えだが、Golden 72 Hours Ruleとして海外でも広く認知されている。

たかが21時間で、それも地上最強の生物たる範馬勇次郎が、オーガが死亡していると。剰え新たな“友好条約"の締結先として、オーガの息子だからという理由で、自分を選ぶなど、刃牙からすれば尊敬する父親に対する史上最大の侮辱に等しい。

 

「──言ったはずだ、ことはそう単純では無いんだ、バキ。ユージローが巻き込まれたのは瓦礫では無く雪崩だ。雪崩の死因の7割が窒息、残りは雪崩による外傷によるもの。そして……」

 

ストライダムは一度口を閉ざしながらも、目の前のオーガの、自分のかけがえのない親友の息子のために仕方なく、話す。

 

「──そして、雪崩の生存曲線は、20分だ」

 

「」

 

刃牙の茶色い虹彩が赤く光る、握り込められた拳により前腕、上腕の血管を浮かび上がらせるが、状況は何も変えてはくれない。仮に神宿る拳であったとしても、いま刃牙が置かれている状況を何も打開してくれないだろう。

 

「……私は、ユージローが死んだとは考えられない」

 

「それ、信じられない、の間違いなんじゃないの」

 

「……そうかもしれないな。だが、あのユージローが、オーガが、雪崩"ごとき"に窒息させられ、全身を骨折し、身動き一つ取れずに死ぬような男だろうかと、疑わずには居られないのだよ、私は」

 

そう言ってストライダムはちゃぶ台に手をつく。

 

「地上最強の生物というオーガの異名は世界各国の外交に強く影響する。彼が死んだと世界に明るみになれば、どうなるかわからない」

 

畳は僅かに軋みを上げ、ちゃぶ台の四脚は、白人の両手掌と頭部により預けられた体重を支える。

 

「……俺におっさんが机にひれ伏す姿を見る趣味はないよ、ストライダムさん」

 

刃牙の瞳は無力に打ち拉がれる軍人を真正面から捉えていた。刃牙は思った、目の前の男もまた、自分の父親を尊敬している人間のうち1人。父親が行方不明の中、何もできぬ自分に思うところはあるのだろう、と。

 

「……バキ、我々は全力で彼を捜索する。彼の代わりなど誰にも務まらない、それは息子である君であってもだ」

 

「だろうね、親父は親父だ」

 

「その上で──その上で、私は君にお願いしなければならない」

 

そう言ってストライダムの顔がゆっくりと上がる。そこには親父の親友としての白人の男ではなく、アメリカ合衆国の軍人であるゲリー・ストライダムの姿があった。彼は懐から一つの紙を取り出し、刃牙の目の前に差し出す。

 

「……これは?」

 

「我が合衆国大統領からの覚書(メモランダム)だ。合衆国政府は、世界の平和と秩序の安定のため、現在消息不明の範馬勇次郎に変わり、範馬刃牙との友好条約の締結を望んでいる」

 

「……ふーん」

 

先ほどまで拳を作っていたからか、やや寒さを感じる右手でぺラっと紙を手に取り、書かれている内容を上から下まで目を通す。

 

「ストライダムさん……一つ良いかな」

 

「ああ、なにかな」

 

「俺……オレさ──」

 

目を通した刃牙は、紙をストライダムの方へパラっと放り離して答えた。

 

「──オレ、英語読めないんだわ」

 

ストライダムは再びちゃぶ台へと頭を突っ伏した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1097年10月26日 カジミエーシュ 航路:結合都市 大騎士領「カヴァレリエルキ」 

 

22:17

草原であったであろう大地を、科学と文明により築き上げられた移動都市が轟音と共に走り去る。

 

『──都市とは、怪物である。際限なく人を喰らい、飲み込んでひとつところに押し込める』

『日々の生活が我々を緩慢に消化し、やがて赤い血肉と白い骨が露わになる。そのほかの部分はすべて、都市が前進してくための糧となるのだ』

『これこそが、文明の繁栄というものである』

 

誰かが紡いだこの言葉は、なるほど。確かにこの世界における"都市"がどの様なものかを表している。天災から逃れるため、人々は轟音を鳴らす化物を作り出し、自分達自身をその身の中に居座らせ、化物が死なないよう燃料を提供し、限りある食糧や資源といったパイを切り崩し、生き残る。

 

そして化物は化物を産む。動く都市は必然的に封鎖された環境を、外部からの換気がない状況を作り出す。換気がされなければホコリは溜まり、空気は澱み、モノは腐りやすくなる。そんな状況下で、他者との優劣をわかりやすく"区別"する方法があれば何が起こるか?

 

少なくともこの世界では鉱石病という名の感染症(ラベル)で人々は容易に朽ち果てていき、この都市では騎士という名の元に興行が行われている。

 

 

だがしかしッ!

 

この世界にはッ

 

ヒトを喰らい

 

戦士を喰らい

 

不条理や理不尽、国家権力すらをも喰らい

 

それでもなお満たされることないッ

 

地上最強の生物は存在しなかったッッ!

 

 

「……ッチ、道に迷っちまったか?」

 

 

ここに、テラ世界で轟音を上げる都市(バケモノ)を、地上から見上げる化物(オトコ)が1人いる。男の身なりは黒い服……正確には、炎国や極東の武術着に近い物……を見に纏っている。

だがそれ以上に、この世界に存在しなかった概念そのものをその肉体に宿していた。

 

「仕方ねぇ……いやぁ?」

 

そして男の野生の直感が明確に告げた。

 

都市(あそこ)にはお前にとって極上の獲物(ごちそう)が待っている、と。

 

根拠のない直感。人によればお告げとも言うだろか。

だが、男に選択の迷いなど生じようが無かった。

 

 

「……な〜んだぁ! 思いのほか楽しめそうじゃあねぇかぁ〜♡」

 

 

まだ光に照らされぬ大地に地上最強(オーガ)が降り立った。

 

 

 

 

 

 

 





……この二次創作SS、需要ある?

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