場所は東京の某体育館。二階の観客席ではまばらに人たちが座っており、それぞれが思い思いに話していた。
「今年も帝光が行きそうだな。」
「いや、今年はB中学が全国行くかもよ」
「お前は試合見てないからそんなこと言えるんだよ。スタメン四人が二年生なんだけど全員バケモノみたいに上手いんだよ。さらにそれを率いている三年生の白石はU15に選ばれる。さらにはオリンピックの選考メンバーに選ばれたって言われているって噂だぜ。でもB中学には実渕っていうスリーの上手い選手がいるらしいからな。」
「まじ?そうなら帝光一択だな。でもB中学も出てほしいなー。」
「もう、始まるぜ。そろそろ見なきゃ。」
「ああ」
二人はコートの方に目を向けると、帝光とB中学のセンターがティップオフにて試合が始まった。
ボールは赤司が運んでいる。ウィング付近にいた青峰にボールを渡し、アイソレーションにて軽く点を取り、この試合初得点を決めた。
その後、実渕にボールを渡し、白石と相対する。
「あなた、帝光の唯一の三年の選手なんでしょ?ということh「紫原ぁ!こいつは今からアイソするから、外れた際のリバウンドとれるように準備しろ!青峰はその際に速攻で攻めれるように!んでお前今なんて言った?」
「いえ、何でもないわ」
「そうか、なら話かけるな。気が散る」
その瞬間実渕のボールをスティールし、白石がボールを運ぶ。レイアップをしようとしたら実渕が後ろから止めようとブロックを飛ぶ。しかし、白石は冷静にシュートフェイクを行った後、実渕にボディーを当て、シュートを放つ。そのシュートはゴールに吸い込まれてエンドワンを取る。その後、白石は冷静にフリースローを決め、点差は五点となった
(ちくしょう!私が焦ったせいでファールを貰った。だけど私がスリーを決めれば大丈夫!)
再び実渕がボールを渡され、地を打とうとしたが、体が触れずにブロックされ、天を打とうとするが、白石の大きな手に封じ込められブロックされる。
そしてまた帝光の二回の速攻となり、そのままレイ九アップを決めその差は九点になった。
(相手の白石は何故か私の天と地を見分けられている。私のクセが見分けられているのだろうか。いや、私には世代最強のアウトサイドシューターと自信がある。これまで決め切ったシュート一本一本が、これまで費やした時間が私に活力をくれる。
私にバスケットボールをしてもよいと言ってくれる。
天と地が攻略されたからなんだ。私には必殺技があるじゃない。
アウトサイドは私の領域だ!!)
pgからボールを貰った実渕は虚空の体制に入る。白石は体が硬直して実渕の前に入らない。目の前は自由の空だ。
(勝った!これで私の領域は守られた。)
そのまま実渕が打ったスリーは虚しく空を切った。
これには相手の監督も困惑し、チームメートも驚いている。なぜなら実渕のスリーが外れるところを見たことが無かったからである。スリーが一試合に一本しか入らず負けたことも、逆に全部入って勝利したこともあった。しかし、フリーのスリーをエアボールしたことはなかった。
そのボールを紫原が取り、白石に渡すとトランジションで素早くハーフコートに入った。相手はレイアップを警戒している。そしてそのままトップの位置でプルアップスリーを打とうとした。相手は完全に虚を突かれたため、ディフェンスをもう諦めて、外れた際のリバウンドを狙っている。ただ一人、実渕のみ必死にチェックに入った。白石のスリーを1%の確率でも外す可能性に、全身全霊で体が動いた。
(やばい。このままだと負ける。絶対に嫌だ。このまま負けるのは)
実渕は負けたくないという一心で白石の方に手を伸ばした。その必死さが仇となった。
白石がスリーを打った手に実渕の手が触れ、審判の笛が鳴った。白石のスリーは低い弾道でそのまま籠に入った。
四点プレイである。試合では滅多に見れないプレイに会場がどよめく。
「うおおおおぉ!中学校の試合で四点プレイが見られるのかよ」
「なんつーか、完全に心を折りにきたプレイだったな。でも普通速攻でスリー狙うか?しかもプルアップ。本当に恐ろしいよ。」
対して白石は、単なるレイアップと同じようにどや顔をせず、普通の顔をしていた。実渕はその顔がとても恐ろしく感じた。
白石がフリースローを決め、帝光、十四点差のリードを取ったところでB中学タイムアウトを取った。実渕は何も考えることはできなかった。
このままずるずると行き、実渕のスリーポイントは不調のままで、結局、102-64で帝光学園が圧勝した。
白石はこの日スリー6本を含む38得点13リバウンド8アシスト6ブロック5スティールだった。
帰りは緑間と白石が喋っていた。
「どうしたんだ緑間」
「いえ、今日は何故実渕はスリーが入らなかったのですかと聞きたくて。」
「あーそれは、緑間はシュートを打つときに何を意識している?」
緑間は一呼吸置いてこのように答えた。
「シュートを打つときって、何も考えてませんよ」
「そう、何も考えないことが重要なんだよ。明鏡止水っていうの?その精神が重要なんだけど、相手の実渕は焦燥感に駆られてしまった。練習のまま打てれば誰でも入るんだけど、そうじゃないのは試合の緊張感、相手に負けたくないという闘争心それがシュートを落とさせる。だから実渕はシュートが入らなかった。まー実渕が怪我していた可能性も否定はできないけどね」
「俺は人知を尽くして天命を待っています。だから、シュートは外さない。」
「そういう人知を尽くす、俺で言えば練習をするだけどその積み重ね、その日の、打つ瞬間のメンタリティがシュートを外さないんだよ。シュートを外しても平常心でいることが大事なんだ。まあでもお前はシュートを外さないんだろうなー。」
白石はからかいながらそう言った。
そういうと、緑間は恥ずかしそうに眼鏡をかけなおした。緑間の顔は少し笑っているように見えた。
「あと一つ質問ですが、何で天と地を見分けられたんですか。」
「これ言うの恥ずかしいけど、ビデオを見まくったら癖の一つや二つ見つけることができるよ」
(この人、本当に今日勝ちたかったんだなー。俺ももっと人事を尽くさねば)
今日を持って一つの勝者が決まり、全国大会予選は終わった。
帝光学園全国大会出場決定
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プルアップ・・・ドライブやフェイクから急に止まり打つジャンプシュート。キャッチ&シュートより難易度が高い。
アイソレーション・・・試合中に行われる1on1
エアボール・・・ボールがリングに当たらずに外れてしまうこと