白兵<連載ver>   作:コズエマ

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大人

コツコツと革靴の歩く音が廊下に響いている。

歩いているのは白金耕造、帝光バスケットボール部監督である。

白金耕造が歩いているのは、帝光学園理事長にて今後のバスケ部における方針について呼ばれたためである

クロマツにて作られた重厚感のあるドアを三回ほどノックし、部屋に入った。

 

何度入っても校長室に入るのは慣れない。真正面には理事長が座っており、両横にあるショーケースには今まで作られてきた多くの栄光が鎮座してある。その栄光が自身に迫ってくるように感じ、胸が締め付けられるように感じる。

 

「白銀君、先日は全中の全国大会の出場を決めたらしいね。毎度のことながら誠におめでとう。君たちの活躍がわが校のこれからの栄光を示唆しているように感じるよ」。

 

「とんでもありません。これもすべてこれまで努力を重ねられた可愛い生徒たちのお陰です。それに、これまで指揮されてきたのは真田先生です。私はただ生徒たちの実力を出してあげてるだけですよ」

 

「微笑ましいですね。これからも精進してください」

 

「ありがたきお言葉です」

 

これまで全国大会に出場したときもあったが、校長室に赴くことはなかった。全国大会優勝をしたときくらいだ。つまり私を呼んだんだということは何かあるはずだ。次の一言を注意深く白銀は聞いた。

 

「さて、わかっているだろうが、本題というのは一軍コーチの役割を真田コーチに譲らないかということだ。君は心臓に持病を抱えているのだろう。ここからは真田さんにその立場を受け渡して自身の闘病に専念する時期が来たと思っているのだが、どうだろうか」

 

白銀は一呼吸を置き、次のように答えた。

 

「確かに私は持病を抱えていますが、私の負担を軽減していただいているために真田先生などが支えていただいています」

 

「ということは見送るということかな。」

 

「とはいえ、私の持病を抱えているのも事実ですので、来年か再来年に監督の立場を譲ろうと考えています。」

 

そのように白銀が言うと理事長が苦い顔をした。

 

「成程…、端的に言うが、三年のレギュラーの子をレギュラーから外してほしい。」

 

白銀は耳を疑った。なぜ部活の一生徒に対して職権乱用をするのか、意味が分からなかった

 

「なぜでしょうか。」

 

「今レギュラーは二年生が四人、三年生が一人だ。ここで、三年生をレギュラーから外すと全員が二年生だ。これはかなりの宣伝効果があると考えている。今年、中途入部してきた二年生は何でも入部してから二週間で一軍に入ったと聞いたではないか。かなり美男子だと聞いているぞ。メディアの宣伝効果がとてもある。中学二年生だけで優勝は主婦層の人々にはかなり響くから入学を希望する生徒が増えるだろう。

だが、三年の彼はそこまでの利用価値がない。精々、ローカルメディアに乗る、良ければ大手のテレビ局が取り上げてくれるだろうがそれだけだ。

もう一度聞くぞ白銀君、監督辞めるもしくは生徒を変えてくれないか。」

 

「で、ですが、彼も今年は三年生です。勉強も優秀ですが彼は強豪校の推薦が届くだろうと言われています。彼はリーダーシップもあり、引張って行く素質もあります。絶対に必要になる時間が来ます。」

 

「では聞くがその彼がいなくなった程度でわが校の優勝する確率が厳しくなる。そう思っているのか?」

 

「そうです!彼のオフェンス、ディフェンス、バスケIQは勝負所では必ず必要になります!」

 

「そうか、そこまで言うのならば仕方がないか、「失礼します」

 

白銀は話を遮るように話を切り上げ、理事長室から退室した。失礼なことは承知だが、切り上げなければ何か悪いことが起きるように感じた。

 

今までのことを整理した場合、私の監督交代を急いだのも納得できる。私の病気は表側の理由で裏側は真田コーチにすることで都合の良い傀儡にする予定なのだろう。今のことも、今後のことも考える必要がありそうだ。

 

ちょうど前の方を真田が通った。白銀は真田に追いつくようにせわしなく歩いた。

 

「白銀監督、どうなさったのですか」

 

「真田先生、白石のことはどのように思っているのでしょうか」

 

その問いに、真田は間髪言わず答えた。

「白石は素晴らしい選手です。さらに素晴らしい人間性です。それがどうしたのでしょうか。」

 

「いや、今理事長からの通達によって白石のレギュラーが降ろされそうになった。それは何としても守らなければならない。そう思いませんか?」

 

「なっ...、そんなことは許されるはずがありません!!白石はこの部活内で大切な戦力なんだ。それに、今の二年生は実力はありますが、精神的に未熟な生徒が多い。その中でプレーを諌められる能力があるのはとても貴重です。」

 

「その決意があれば答えは同じでしょう」

 

「ええ。子供たちは私たちが守らなければなりません。」

 

「昼休みが終わります。また部活内で会いましょう。では」

 

「ええ、失礼します」

二人は軽く会釈をした後、二人はそれぞれの持ち場に戻った。その顔は何か決意をしたように見えた。

 

七月のじめじめとした暑さにより、肌に夏の到来を予感しているように感じた。アツい季節はもうすぐである

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