【カオ転三次】TS改造手術でマイシキガミと一心同体な転生者だけど何か質問ある?   作:精神同居はいいぞ

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1話と2話の間の話です。


蛇足/おまけ

「ボスけて」

「開幕懇願寺」

 

 破格の技術力と人材を有するガイア連合と言えど、組織である以上トラブルと無縁ではいられない。

 ガイア連合山梨支部こと富士山・星霊神社では、今日も一人の転生者が厄介な相談を持ち込んでいた。

 

「まあ医療班からデータ届いたから何があったかは知ってるんだけどね。リカーム受けたら結局戻っちゃったんだっけ?」

 

 最高責任者である神主ことショタおじの前で平伏するのは、金髪碧眼の華奢な少女。

 日本人しか存在しないはずの転生者達には珍しい、西洋風の外見。

 だがそれもそのはず、彼女――もとい彼は、ガイア連合のTS改造手術によって全身を最高級女性型シキガミパーツに置換したTSガチ勢なのであった。

 

「はい……マッカならありったけ払いますからもう本当にお願いします何とかしてください……憑依とか乗っ取りとかダーク系のTSジャンルマジ地雷なんです……!」

「いやそれは知らんけど……まあ結論から言うとね」

「はい」

「無理です」

「(´・ω・`)」

 

 無慈悲な通告であった。

 

「というかもう明らかにそっちのカラダが【本体】になっちゃってるんだよね。元々君の体から作ったんだから当然っちゃ当然なんだけど」

「でも他の転生者もマイシキガミには血とか髪とか、入れる人は肉とか骨とか入れてるじゃないですか。そんな【全身の神経系】とか【心臓】とか【眼球その他感覚器】とか、オカルト的に重要性高い部位全部素材にブチ込んだからってそこまで挙動変わったりします?」

「変わるに決まってんだろいい加減にしろ」

 

 残念でもなく当然であった。

 

「というか組織方針としてその辺の部位を素材にするのは基本禁止してるからね? 君のはあくまで個人的な領分だし、こっちも改造手術のデータとか諸々欲しい時期だったから認めたけども。というかここまでする必要なかったでしょ普通のシキガミパーツで良かったじゃん」

「可逆TSは甘え」

「それで今戻れなくて泣いてんでしょ」

 

 反論の余地ない正論であった。

 

「じゃあ、逆にシキガミちゃんの方を別の体に移すのは?」

「難しいかな。シキガミにとってもそっちが【本体】だから、色々と厳しい――というかそもそも事例が特殊過ぎて何も断言出来ない。今後の技術発展次第ではどうとでもなるかもだけど、現状は打つ手無し。あんまり下手に弄ってぐちゃぐちゃになっても困るしね」

 

 さらりと怖いことを言う神主。いつものことと言えばいつものことである。

 

「ま、自我の侵食やら何やらが起こらないことは確定してるし、しばらくは我慢してもらうしかないかな。前にも言った通り、一番手っ取り早いのはシキガミの自我を消すことなんだけど――」

「かわいそうなのはぬけない」

「性癖じゃなくて倫理で答えてほしかったなそこは」

「あ、はい。普通に可哀想なのでやりたくないです……」

「だよね。というか、これってそのシキガミも聞いてるの?」

「今は眠ってもらってます。自分が邪魔者になってるみたいな話、聞かせたくないですから」

 

 自身の胸の辺りを撫でる彼女(?)に対し、神主は困ったように肩を竦める。

 

「でも、ガイア連合としても今の時期は我慢してもらった方が色々と助かるんだよね。お流れになったとはいえ、一時は支部長候補だったから」

「え? でも自分、そこまでレベル高くないんですけど」

「戦闘と製造と技術開発、二線級とはいえどれも一通り出来るでしょ? それにスキルカードで【交渉】系の汎用スキルも入ってるし」

「むしろどうしてみんなは自分のシキガミにその辺入れないんですか? ……コミュ障じゃないから?」

「まあそうね」

 

 平伏の姿勢から更に凹むTS過激民。

 今は普通に会話している彼女だが、相手が転生者以外となると、シキガミに習得させた【会話】の汎用スキル無しではコンビニ店員相手にすら何も言えなくなる。なかなかに筋金入りであった。

 

「で、自分(シキガミ)のメンテ用に【医学】入れてるおかげで、シキガミパーツの移植手術なんかもこなせる。その辺も支部に置くのに助かるポイントかな」

「一人で何でも出来るに越したことはないですから。地方出張も多いのに、ガイア連合のサポート無しじゃ生きられない身体ってのも困りますし」

「あとまあ、今もたまに地方出張の時にやってもらってるけど、状況に合わせて必要に応じた能力をスキルカードでサクッと習得出来るってのもあるしね。素材が素材だけあってシキガミのキャパも結構なもんだし」

「それでもキャパ食い過ぎて戦闘面が微妙なんですが。いや優先的に卸してもらえるのには感謝してますけど――っていうかそれなら、支部運営に必要なスキルを入れたシキガミ作った方がいいんじゃないですか?」

「ヒント:需要高過ぎ、前線優先」

「あっはい」

 

 というかショタおじはもうこの先ずっとシキガミ製作で死ぬんだろうな、と確信する。南無。

 

「転生者にしかやらせられない仕事も色々とあるしね――まあ、それでも最終的には支部長候補に残らなかったと思うけど。覚醒者不足な現状、どこでもヘルプに入れる人材を一所に留めておくより、今まで通り地方派遣した方が助かるから」

「分離手術の時になんか引き止められたのそれかぁ」

「というわけで、もう少し覚醒者が増えるまでは組織的にもそのままの状態で働いてもらえると助かるってのが本音」

「ううん、でも……」

 

 食い下がるその姿に、神主が静かに言葉をかける。

 

「――そういえば、リカームの原因について話してなかったかな。そのシキガミじゃなくて、他の転生者と組んで異界を攻略してたって聞いたけど」

「あ、ええと、それは……」

「そもそも、いきなり自我の生えたシキガミに対して、どう対応していいかわからない、かな?」

「う……」

 

 口ごもる彼女。図星と言わんばかりの様子だった。

 

「ええと……その、転生者にはよくある話かもなんですけど……」

「うん」

「その、昔……家族関連で……自分が原因で色々とトラブルがあって……」

「ああ――なるほど」

「自分が転生者じゃなかったら、って思うことも多くて。こういう言い方、良くないんですけど……どうしても【他人】、じゃないですか。今世の家族って」

「……ま、転生者の中じゃそういう風に感じる人は珍しくないよね」

「だから、その……言わば、強引に引き合わされたみたいなものでしょう? 本当なら関わりの無い、望んで巡り合ったわけでもない相手なら……無理に、関わらない方がいいんじゃないかなって、思うわけです」

 

 言いづらそうにしながらも心情を吐露する彼女に、神主は小さく頷く。

 

「なるほどね――君があそこまで強行に別人になりたがるのも、その辺りが関係していたりするわけだ」

「いえそこは普通に性癖です」

「おい」

 

 それはそれとして心の闇と性癖は必ずしも直結しないのである。

 

 ――で。

 

「というわけだから後はなんかいい感じによろしく」

「いきなり呼び出されてカウンセリング頼まれた件について」

 

 去っていく神主。入れ替わりで部屋に入ってきた男性が、困ったように頭を掻く。

 

「マヨナカテレビの調査報告だけのつもりだったんだけどなー……ええと、■■です」

「ええ、初めまして■■です――マヨナカテレビということはもしかして、ペルソナ使いの方ですか?」

「まあスライムなんですけどね自分のペルソナ」

「あっ、あー、あのスレの……」

「■■さんのスレはこの間見させてもらいました、ウチにもシキガミパーツの移植手術を受けた仲間がいるので」

「そ、そうなんですか? すいませんその、あんなスレで……」

「いえいえ、色々と参考に……」

 

 ペルソナ使いは、精神面において他者よりどこか吹っ切れている部分がある。その点、コミュ障にとっては付き合いにくい人種でもあったのだが、某所でスライムニキと呼ばれるこの男性に関しては、本人の人徳によるものか、余人とは異なるオーラなども無く、彼女にも親しみやすい相手だった。

 

「まー、無理に解釈すればもう一人の自分、って点でペルソナ使いと通ずる部分があるかもだけどちょっと無理筋だよなあ……」

「ですよね……えっと、■■さんも家族関連で何かあったり?」

「いえ、自分の方は物心ついた時にはもう両親がいなくて、爺ちゃんに育てられたんですが、細かいことはあまり気にしない人で。さほど問題なく過ごしてきた方だと思います」

「そうですか……」

 

 やや困り眉になりつつも、ペルソナ使いの男性に連れられ星霊神社の境内を歩いて行く。

 

「ところで、これって今どこに向かってるんです?」

「ああ、せっかく山梨支部に居ることだし、他の人達にも少し話を聞いてみようかと」

「?」

 

 支部とは名ばかりの本部である山梨支部には、覚醒者や修行者は勿論のこと、事務・製造・その他、多くの転生者たちが詰めている。

 顔が広い様子の男性に案内され、何人かの転生者の話を聞いて回る二人。

 

「え、ウチの親? いやー、まあ子供の頃は酷いもんだったよ? 今はそれなりに仲良くやってて……」

 

「昔は前世の記憶で神童とか何とか言われてたけど、最近はあんまりなあ。でもなんだかんだ普通の家族って感じかな」

 

「あー全然だ全然。今じゃもう口も聞いてねえよ。どう足掻いたって人間同士、合う合わねえってのはあるぜ実際――」

 

 そうして一通り。

 それぞれに共通したエピソードがあったわけでもない。転生者それぞれの家族事情。

 

「……ええと……その、つまり……?」

「いや、まあ。こういうのは人それぞれですから。運の良し悪しや、状況の良し悪し、性格の合う合わないでどうにかなったりどうにもならなかったりするものなので」

「それはそうでしょうけど……」

 

 どうにも意図が見いだせず、首を傾げる。そんな彼女に対し、男性は言った。

 

「……家族が悪魔被害に遭った人には、聞いていないんです」

 

 その言葉で、彼が何を言いたかったのか、なんとなく察する。

 

「自分の爺ちゃんは良い人だったけど――両親がどうだったのかは、結局わからずじまいなので。良い人だったかもしれないし悪い人だったかもしれないし……言いたいことがあったのか、なかったのかも、わからないままです」

「…………」

「なのでその、■■さんも、自分のシキガミが嫌いってわけではないのですよね?」

「それは……はい」

「なら、それだけでも言ってあげてみてください。何もわからないままなのは……寂しいので」

 

 しばらく、無言のまま、言われた事を反芻する。

 その後、彼女は静かに頭を下げた。

 

「ありがとうございます、■■さん。もう少し――この子と、話し合ってみることにします」

「いえいえ。例のオフ会から色々とありましたけど、結局、ガイア連合が【転生者のための組織】っていうのは変わっていませんから。大なり小なり共感できる仲間だからこそ、こうして集まっているので。何かあれば、またいつでも呼んでください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「話しあった結果好感度上がり過ぎて下半身マッハですボスけて」

「色々と台無し」




(前話に続く)

次は実際にシキガミちゃんと話してるシーンが書けたらいいな
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