リコリス・リコイルの世界に何も知らない人がマジの一般ピーポーとして転生した話 作:予備肉食
転生。そう、それはあらゆるオタクが夢見てやまないもの。
俺TUEEEEしたいやつ、ひっそりと生きたいやつ、推しを程よい距離で愛でるやつ、推しの顔を曇らせたいやつなど転生後の目的は人それぞれ。
1部変態的なやつもいるがそれもまた一興だろう。何せもう一度手に入れた生だ、自分の好きなように生きるのがいい。
それはそうとして突然だがかくいう私も転生者だ。
正直に言おう…転生はガチでビビるし困惑する。あっ、死んだって思ったら次の瞬間には知らん女性のお乳を眼前に突きつけられてんだぞ、頭の中が??????ってなるわ。
だがそこはオタクな私、慌てずおぎゃってお乳を吸って冷静になる。
そして思った。
突然転生して困惑こそしたものの普通に考えて転生ってワクワクするな、と。
いや転生ですよ?あの天下の転生ですよ?
そりゃあもう自分は何か特別な世界に生まれてきて特別な役割をワンチャン担ったりするんじゃないかって期待するじゃないですか。
ないんだよなあこれが。
まず転生した世界は現代よりテクノロジーが若干進化した感じの日本。
うん、まあ……割と、いや、結構ふつー。
見慣れない建造物もいくつかあったけどそれも含めてみても想像してた転生後の世界よりはっきり言ってしょぼい。
次に魅力的なキャラクターっぽい人だが……さっぱりおらん!
たまに綺麗な人だったりカッコイイ人も見かけたりするけど、メインを張るようなキャラかと言われればいまいち火力不足。
最後に何か特別な出来事、いわゆるイベント的なのないのかってところだけど……ない、っていうか、不気味なほど何も起こらない。
一切なーんも起こらない。たまに事故が起きてるくらいで大きな事件とかそういうのが起きたというのはあまり見たことがない。
あったのはあの電波塔のことくらいだけど詳細は知らない。
とまあこんな感じで転生した世界は正直前の日本と全然変わんないもんだから、今世の私も好きに生きるとかなんだかんだ言いつつ前と変わらずオタクしてる。
変わったところと言えば性別が女性になったところだろうか。
今でこそ結構女らしくなっているけど小さい頃はギャップを埋めるのにかなり苦労したんや…。
今は大学1年の18歳で割とサボりながら不真面目に勉強中。
今日も今日とて授業は程々にして、面白いことが起きることを願って都内の散歩に勤しむぞー!
(数時間後)
うおっ…やっば……
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
そう、それは偶然。
なるべく行ったことがないところに行って面白そうなものを探すのが私の日課なのだが、今日はたまたま向かったところにたまたま喫茶店があった。
時刻はもうすぐ4時半くらいと微妙な時間だったが歩き疲れたということもあり、ちょっとお茶でもしようかな〜なんて軽い気持ちで店の扉を開けたのだが…。
「いらっしゃいませー!おひとり様ですか?」
そっと扉を閉めた。
…?なんだ?今天使がいたような…いや、見間違いかもしれない。
目を入念に擦ってもう一度扉を開けてみた。
「あ、あれ?いらっしゃいませー…あの、どうかなさったんですか?」
もう一度扉をしめ
「ちょちょちょーーい!!ちょっ、お客様?さっきから開けたり閉めたりしてますけど何してるんですか?冷やかしならお引き取り願うんですけど」
うおっ…やっば……(
はっ!いかんいかん、ちゃんと客として来てる事を示さなきゃ!
「アッアッ、エット…1人ですぅ…」
「はーい、1名様ごあんなーい!こちらのお席にどうぞー。……はい、メニュー表どうぞ」
情けない返事にも明るく返してくれる天使に導かれてお座敷の席に腰を落とした。
改めて店内を見渡すと和洋折衷と言った感じのデザインで雰囲気もとてもいい。
カウンターの方を見るとお店の制服?を着た美女が座っていて、その奥では色黒なイケおじがコーヒーを作っているのが見える。
なんだこの幸せ空間?
「あ、あの!」
「はーい、ご注文お決まりになりましたかー?」
「お金いくら払えばいいですか!?」
「えっ、いやお客様まだ何も注文してませんよね?」
「なっ…つまり、この空間はタダ、と?」
「はあ、まあ、注文した品がない限りはタダっちゃタダですけど…」
バカなっ!有り得ない!なぜ彼女達はこの最高な空間をタダで提供しているんだ!?
入場料で最低1万は取れると言っても過言じゃないぞ…!(過言)
「うっううぅぅぅ〜〜〜っ、この空間を汚している罰として払わさせてくださいぃぃぃ〜〜!!」
「えっ、は?泣き出した!?ちょっ、千束なにやってんの!?」
「えっ、ちょっお客様ー!?せんせー!」
「どうした千束?」
「えーっとね、なんかお客様が何も注文してないのに急にお金を払いたいって泣き出しちゃって…」
「…それは、確かによくわからんな。あー、お客さん、どうして急にお金払いたいなんて言い始めたんだい?」
「カヒュッ」
うおっ…イケボ…っ!全員の良すぎる顔と良すぎる声で死ぬ…っ!(瀕死)
落ち着け、深呼吸してビークールだ。まだ死ぬ訳にはいかない。
私はまだこの空間の空気を味わいたい…っ!
「だ、だって…」
「?」
「だって、こんな天使みたいな女の子がいるだけでもやばいのに、その上更に眼鏡をかけたプロポーション抜群の美女に、高身長色黒イケメンのおじ様がいる空間なんですよ…?居るだけで幸せになれる空間にお金を払うのは当然じゃないですか!だからお布施だと思ってどうか!」
「ちょいちょいちょいちょいちょーーーい!!!お客さん落ち着いて!一旦そのお札しまお?あたし達のこと褒めてくれるは嬉しいけどさ、ウチそういうお店じゃないから、ね?」
(5分後)
「お騒がせしてしまって誠に申し訳ありませんでしたっ!!!!」
土下座、それが今の私にできる誠心誠意の謝罪。
いやー、ね。あまりの顔面偏差値の高さの暴力に我を忘れちゃったよね。
むしろこれ耐えろって方が無理でしょ。この空間に何食わぬ顔で居れる気しないって。
「いやいや全〜然大丈夫だから!ほらほらお顔上げて」
「うう、ありがとうございます…」
「それよりさ、あたしの事天使みたいって言ってたけど本当!?」
「本当です!(食い気味)お可愛いご尊顔、そこから繰り出される眩しい笑顔、そして可愛い声!挙句の果てには不審な客である私にこの神対応!天使以外のなんと形容できるだろうか?いや、ない(反語)」
「すげえ、言い切ったぞ…」
「おっほほ〜///そっかそっか〜!やったーあたし天使だって〜!ありがとうね、お客さん。天使なあたしの名前はチサトって言うんだ〜、お客さんは?」
「せ、姓は四つの方向に草で
「四方草 紡ね…おっけ〜覚えた。よろしくね、紡!」
「アッ、よろしくお願いしますチサトさん」
ヴッッッ!!推しからの認知+天使スマイルの破壊力…っ!末永くよろしくお願いします…!
てか距離詰めてくんのはえー。陽キャすぎるでしょチサトちゃん。
私あなたの輝きに耐えきれなくなって溶けちゃう…。
「こーらー千束。友達みたいに距離詰めてるけど一応お客様ってこと忘れたらダメよ。まあそっちの方がこの子は好きそうだけど…、ほら、しゃんとする」
「はーい。んじゃ注文決まったら呼んでね」
「いえっ、もう決まりました!ブレンドコーヒーとおはぎセットを下さい!」
「はいはーい。せんせー、コーヒー1つとおはぎセット1つね〜。…せんせーの作るコーヒーめっちゃ美味いから楽しみにしててね!」
「ええ、もう飲む前から分かりますよ!イケおじの作るコーヒーは美味しいって相場が決まってますからね!」
「いやどんな相場だよ…。紡ちゃん、だっけ?今は人が全然来てない時間帯だったから大丈夫だったけどもうちょっと抑えてね。千束は貴方のこと気に入っちゃったみたいだから人少ない時は今のテンションでも大丈夫よ」
「アッ…そうですよね、すいません、ありがとうございます。あ、あと私のことは呼び捨てで呼んでください。えーと…」
「ん?…ああ、あたしの名前はミズキ。ついでに今コーヒー作ってるあなたが言うイケおじがミカね」
「どうも」
「ミズキさんにミカさんですね!覚えました!できる限りここ通いますね!」
「うっし、リピーターゲット!」
それにしても本当にミズキさん綺麗だしミカさんもカッコイイなあ…。
ミズキさんはこう、いかにもOLって感じしますね。後輩に凄く優しそう。
こう言っちゃあれですけど夜とか色気凄そう。あ、でもこういう方に限って結構ズボラだったりするんですよね!それもまた良き…良き…!
ミカさんはもうThe古き良きイケおじ!って感じ。
顔だけでも充分やばいのに声まで渋いイケボとかこれもう絶滅危惧種でしょ。
さっきチラッと見えたチサトさんを見る目が慈愛に満ちたものだったのはバッチリこの目に焼き付けましたとも、ええ!
てぇてぇ…てぇてぇよこのお店。
そしてその中に欲望のままに入り込んでしまった私…!赦せっ、オタクの私!
いいだろ別に!転生したんだから多少好き勝手してもさぁ!!推しと同じ空気吸うぐらい赦せ!!!
「はーいお待ちどーさま。ブレンドコーヒーとおはぎセットでーす」
「おお、コーヒーいい香りしてますね〜。おはぎも美味しそう…あれ?これは、三色団子?おはぎセットってお団子も付いてるんですか?」
「それはあたしのサ・ー・ビ・ス〜♪味わって食べてね〜」
「ア゛ッ゛!?」
「へっ?あれっ?倒れた?ちょっ紡さん!?紡さーん!?」
天使スマイル&ウインクの破壊力には、耐えられなかったよ…。
ああ、尊死…。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「本日は再三にわたり迷惑をかけてしまい誠に申し訳なく…!」
「あーあーいいっていいって。寧ろ紡みたいな反応する人今まで見たこと無かったから新鮮で面白かったよ〜」
「それは言えてる。あと面と向かって綺麗って言われたのいつぶりかわかんないけど、お世辞だとしてもやっぱ気分良いわね」
「お世辞じゃないです!本当にとってもお綺麗です!世の男性がなぜ振り向かないのかサッパリ理解できません!」
「……そうよね?紡もそうも思うわよね?やっぱりあたし綺麗よね!?ふっ、ふふふふ、ちょっとヤル気湧いてきたわ」
「あちゃー、婚活スイッチ入っちゃった…。あんまりミズキのこと褒め過ぎないようにね、ああなっちゃうから」
「分かりました。ミズキさんも苦労してるんですね…」
「それよりほらっ、今日は早いとこ帰った方がいいよ。天気予報だともうすぐしたら雨が降るらしいから早くしないとずぶ濡れになっちゃうよ?」
「へっ!?それはまずいです、今日は折り畳み傘も持ってきてないので急いで帰りますね!」
「うん、気をつけて帰ってね〜」
「お気遣いありがとうございます。コーヒーとおはぎとお団子美味しかったです。また来ますねー!」
「はーい、またのご来店お待ちしておりまーす!」
○月✕日 晴れのち曇りのち雨
今日はとっても素敵な出会いがあった。
たまたま立ち寄ったお店、『喫茶リコリコ』。
そこで出会ったチサトちゃん、ミズキさん、ミカさん。
3人それぞれが可愛い、綺麗、カッコイイと非の打ち所のない顔面偏差値の高さ。
この世界に生まれて初めて心の底から楽しいって思えた時間だったなあ。
あとあそこで食べたもの全部美味しかった〜。次行ったら別のもの頼んでみよう。
暫くはあそこに通うこと決定!
1'^'1<チ︎︎ ⤴︎︎ンアナゴー!