【本編完結】お菓子作りが得意なトレーナーと、無慈悲するマヤノトップガン 作:出遅れ系トレーナー
「バレンタインと言えば一般的には女性が男性にチョコを贈るイベントであるが、実際には感謝の気持ちを贈るという意味で男性から女性に向けて贈り物をしてもいい日なのである」
「どしたのトレーナーちゃん。そんな急に語り始めて」
「いや、そう本に書いてあったんだよね。なら来週のバレンタインに合わせてチョコレートケーキでも作ろうかなって」
「何それおいしそう!」
珍しく目に留まったという理由で買ってきた週刊誌に、バレンタイン特集が組まれていた。ぶっちゃけた話、バレンタインにチョコを贈るというのはお菓子製造業の策略でしかないのだが、まあそれはそれとしてマヤノたちが喜ぶならやってしまおうという考えである。
「好評っぽいしそれで行こうか。バレンタインまでそこまで期間長くないし、当日が来る前に練習しておかないとだな」
「え、練習ですか?お菓子作りを、トレーナーさんが…?」
「いやぁ…バレンタインなんて今まで縁が無いイベントだったし、バレンタインに縁が無いならホワイトデーにも縁が無い。そういうわけで、チョコレート系はほとんど扱ったことがないんだよね。失敗作出すわけにもいかないから、ここらでちょっと練習しておきたいんだよ」
「バレンタインに縁が無い…。トレセン学園に就職できるほどのエリートのはずのトレーナーさんが…」
「トレーナーちゃん…。やっぱりそうなのね」
物凄い悲しい目と生温かい目を向けられてしまった。抉るような事実を淡々と述べないでくれ。最近担当ウマ娘からの私の扱いが悲しすぎる。
「ところでトレーナーちゃん。練習するのはいいけどさ、失敗作はどうする予定なの?」
「失敗作?」
「マヤからしたら良くできてるなーって思っても、トレーナーちゃんからしたら失敗作だーとかでさ?ボツったやつ、毎回処分に困ってたじゃん」
「あっ。そういえば失敗作の処分方法考えてなかった…」
実家にいたときは近所にウマ娘の子どもがたくさんがいたので彼女らに任せていたんだが、今回はそれができないな。前回はマヤノたちの友達を呼んで何とか処理しきったが、まさか失敗作を食べさせるわけにはいかない。
「食堂付近で配布所作って無言で置いておくか。材料はチョコだから変なものが入ってて食べられないってわけじゃないし。ただし食べるのは自己責任で、とか書いて」
「ああ、スイーツ☆トラップにするのね」
「ト、トラップて…」
「だって葦毛の子たちにそう呼ばれてたよ。『ついつい食べ過ぎてしまってトレーニングに影響が出てしまった』『ひどい罠ですわ!我慢できるわけないじゃないですの!』とか。あとは『なまらおいしいですし、気が付いたらお腹にお肉が~』だね」
「あはは…誰がトラップに引っかかったか想像できてしまいますね」
「自己責任!自己責任だから!まあなんにせよ許可取ってからにするよ」
その後たづなさんに許可を取って失敗作処分作戦およびバレンタインは決行された。後日お前の罠のせいでダイエットに苦しめられたと、飴玉を咥えた先輩トレーナーから苦笑と共に苦情が入ったが…自己責任です!!!