【本編完結】お菓子作りが得意なトレーナーと、無慈悲するマヤノトップガン 作:出遅れ系トレーナー
「どうも~トレーナーさん。お久しぶりです」
「あっはい。こちらこそお久し…うーん?ごめん、君に会ったことあったっけ?悪いけど記憶になくて…」
「あーいえいえ、こちらの話ですので」
「…やっぱり今回もデジタルちゃんはこっち側なのね」
「ふっふっふ。ウマ娘ちゃんを永遠に推せるとか、そんなおいしすぎる話をあたしが逃すわけないじゃないですか!続く限りいつまでもついていく所存ですぞー!」
「マヤノたちは何を言ってるんだ。フラワーはわかる?」
「さぁ…?」
もうすぐ天皇賞春の時期というタイミングで、桃髪のウマ娘が自室に押し掛けてきた。名前をアグネスデジタルというそうで、来年メイクデビューしたいから担当契約をお願いしますとのこと。私のことを知ってるらしいけど、会ったことあったかなあ。
「とにかくですね。今回もあたしの方でチーム申請をしておきました。いつもの部屋をチーム部屋として頂けたので、そちらでお話ししましょう」
「はぁ…仕方ないなあ。行くよトレーナーちゃん」
「ちょ、マヤノ!?というかえ?ち、チーム部屋!?」
「とんとん拍子で話が飛んでます!?」
マヤノに腕を引かれたままフラワー、アグネスデジタルと共にチーム棟へ。部屋はマヤノと出会ったあの部屋だった。いつの間にかキッチンが併設されてるんだけど。ここ空き部屋じゃなかったの?
「というわけでアグネスデジタルです。デジタルとでも、デジたんとでもお好きに呼んでくださいませ。マイルから中距離までなら芝ダート問わず走れます。趣味はウマ娘ちゃん観察です」
「は、はあ…」
「出走レースとトレーニングの方は、いつもと同じくあたしの方で用意しますので。出走前のスイーツだけお願いしますね」
簡単に自己紹介されたと思ったら既に決定事項のようにスイーツを要求されてしまった。いやまあ担当するなら作るけどさあ。
「私一応トレーナーなんだけど。マヤノやフラワーもそうだけど、キミたち私を何だと思ってるの?」
「え?トレーナーちゃんはトレーナーちゃんだよ?」
「トレーナー資格を持ってるパティシエさんですよね?」
「孔明をインストールしたパティシエじゃないんですか?」
やっぱりトレーナーじゃない…。マヤノ以外パティシエ扱いだし、マヤノの答えもふんわりしてて意味が違う気がするぞ。というかだな。
「何故孔明が出てきたんだ」
「おいしいスイーツで誘惑した他の人の担当ウマ娘を、次々と食べすぎで太らせて出走不能。マヤノさんを全力でサポートするその策略。おみそれいたしました」
「結局ネイチャさん以外の優勝候補は太りすぎで出走回避でしたものね。スイープ⭐︎トラップを仕掛けたのは誰だあっ!って中等部でも話題になってましたよ」
「ええっ!?大阪杯の出走回避ってあれが原因だったの?」
「トレーナーちゃん、スピカのトレーナーから苦情来てたじゃない。忘れちゃった?」
「苦情…?ってあーっ!」
あの自己責任って言って押し切ったアレかー!スピカのトレーナーだったんだ、あの先輩。
「ネイチャちゃんは前にトレーナーちゃんが作ったのを見てるから、なんとなく察したんだろうね。流石ネイチャちゃんだよ」
「スイーツ⭐︎トラップなんて古典的な罠に、毎回毎回引っかかるあの人たちもいい加減凝りませんよねえ」
「それね。ま、隙がある方がこっちとしては楽で良いけど。1人3個までってわざわざ書いてあったのに、変装までして何度も並んでたくさん持って帰っちゃうんだもん。食い意地が張っているというかなんというか」
「用意しまくるトレーナーさんにも問題があるんじゃないですか?」
ジト目をデジタルから向けられたので自信満々に返す。これだけは譲れないから。
「失敗作を出すつもりはないです(キリッ」
「なんでそこでドヤ顔なんでしょう…」
マヤノが勝ったレースのトレーナーへ配分された賞金が余ってるからね。あんな大金受け取っても特に欲しいものがないから貯まる一方で…。そもそもマヤノが頑張って得た賞金なんだから、彼女に還元するしかないでしょ。というかトラップじゃなくて失敗作。罠じゃないです!