【本編完結】お菓子作りが得意なトレーナーと、無慈悲するマヤノトップガン 作:出遅れ系トレーナー
「ホワイトデーとはバレンタインデーで受け取ったチョコの価値を3倍にして返すイベントではあるが…それはさておきクッキーを焼いたのでどうぞ!」
「トレーナーちゃん、説明めんどくさくなったからって投げ捨てないで?あ、このぶどうのやつおいしい…」
「そんなものは誰も求めてないから良いのだ。ささ、フラワーやデジタルも遠慮せずに」
「「いただきます」」
ホワイトデーと言ったらクッキーである。今日はいちご、ぶどう、りんごの3種類のジャムのクッキーを用意したぞ。見た目も香りも、もちろん味も最高のものに仕上がった。やっぱりお菓子は小麦と果物に限る。仕上がりやクッキーとの相性が全然違うからね。チョコは滅んだほうが良いよ。
「ねえトレーナーちゃん。チョコは滅んだ方がいい!みたいな顔はやめた方がいいよ。トレーナーちゃん、すーぐ顔に出るんだから」
「うっ…、そんなに出てる?」
「はて…あたしは判りませんでしたな」
「私は判ってしまいました…」
フラワーはそんな嫌そうな顔しないで。というかやっぱり顔に出やすいんだ。気をつけよう。
「そういえばさ。はちみーのクッキーが無いけど、あれはどーしたの?領収書には載ってたのに」
「ほほう!はちみーをクッキーにですか。なかなかに挑戦者ですねぇ」
「いやぁ、食堂ですれ違ったウマ娘が『はちみーとか激ウマでやばいっしょ!』『それな!』『『うぇーい!!』」とか言ってるのを聞いたんだけど、もうすぐ天皇賞でしょ?甘すぎると太るじゃんと思って、甘さ控えめになるよう調整しようとしたんだけどさ。何やっても単純に甘ったるくてよく分からなくなっちゃって。カロリー自体は従来の1/5まで減らしたんだけど、試食の途中で嫌になったからやめちゃった」
「確かにはちみーはお菓子にするには味が強すぎますね。他の味が死んでしまいますので」
何度やっても甘いだけで舌がおかしくなる。お菓子だけに。
とにかく、あれは人間には扱えない代物だってことは確か。だって砂糖の塊を舐めさせられてるとしか思えない。なんでアレを用意してしまったのか半日考えてしまったよ。
「なるほどね~。それならさ、そのボツにしたはちみークッキーって友達にあげたりしたらダメかな。すごくはちみー好きな子がいるんだけど」
「え゛?ひたすら甘いだけのあれを?」
「うん」
「ほほー、テイオーさんですね?」
「そそ。ルームメイトの前でマヤだけクッキー食べてるのって感じ悪くない?ならおすそ分けしようかなって。もちろん太らないように担当トレーナーさんに管理してもらう約束で」
「ふむ~なるほど。それなら良いか。それじゃトレーニング終わった後にでも私の部屋まで取りに来てくれる?」
「アイコピー!」
「……デジタルさん、もしかしなくともこれって」
「まあそういうことでしょうね。テイオーさんは今年の春天は回避するって話ですので」
「うわあ…」
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「て、テイオーさん?それはいったい何なんですの…!?」
「私、このパターンにすごーく既視感があるんですけど!!!」
「やぁやぁマックイーンにスぺちゃん。ふっふっふ。いいでしょ~。これはね~、マヤノから貰ったんだ~。おすそ分けだって!実際にはボツにされちゃったそうなんだけど、マヤノのトレーナーがマヤノのためにわざわざ作ったらしくてさ?はちみーがふんだんに使われてるのにカロリーはそのまま使った場合の1/5なんだって!つまり太りにくい!ボクもう嬉しくってさ。食べすぎ防止のためにトレーナーに管理してもらうのが条件なんだけど、さいきょー無敵のボクにぴったりすぎじゃないかなって」
テイオーはどや顔でマヤノから貰ったクッキーを見せびらかす。2人が地獄のダイエットを終えたばかりなのはもちろん知っている。だがそれはそれ、これはこれ。おいしいものを食べられない者を全力で煽るのは楽しいのだ。
「先日から本当に何なんですのおおおおおおおおおお!!!!!」
「減量中にお菓子食べても余裕とかおかしいですううううう!!!!!」
「むぐむぐ…やっぱりおいしいねこれ。なんでボツにしたんだろう?」
無慈悲癖はマヤノからテイオーにしっかり伝染しているのであった。