【本編完結】お菓子作りが得意なトレーナーと、無慈悲するマヤノトップガン   作:出遅れ系トレーナー

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レース描写をすると文字数が増えまくるので困る。パパっと読める2000文字以内で抑えたい。斜め読みできると考えるべきだろうか?


掛からせまくるマヤノトップガン

『春の中長距離戦線第2弾、最長距離G1、天皇賞(春)!天気は晴れ、良バ場。絶好の条件となりましたここ京都レース場。ウマ娘たちが続々とゲートインしていきます』

『1番人気もちろんこの子。現在天皇賞(春)を3連覇中のメジロマックイーン。先日の大阪杯では出走を回避しましたが、今日はやる気十分、いい顔を……していませんね。耳が寝てしまっています』

『2番人気はスペシャルウィーク。メジロマックイーンと同じく大阪杯を回避していましたが、こちらこそいい表情を……してないように見えますね、2人とも体調不良でしょうか。しかし、シニア級の意地を見せ、きっと好走をしてくれることでしょう』

『そして3番人気はこの子。ここまで無敗、クラシック3冠ウマ娘マヤノトップガンです。先日の大阪杯を見事に制しています』

『今回は優勝候補の最強シニア級が揃っているということもあって人気を落としました。しかし、こちらも負けていませんよ』

『大阪杯で彼女と熾烈なデッドヒートを繰り広げたナイスネイチャは今回の天皇賞(春)を出走回避でしたね。疲労がたまったとの話ですが』

『彼女もシニア級5年目ですからね、無理をせずに大事を取ってということでしょう。無事之名バ。彼女のためにあるといっても過言ではありません』

 

 

「マヤノ~、ケガしないようがんばれ~。…あっ、マヤノがこっち向いた」

「トレーナーさん、応援すらゆるゆるですね…」

「だってマヤノがケガして帰ってきてでもしたら、悲しすぎて夜中じゅうずっと泣く自信があるし。私にとっては勝ち負けよりも、マヤノがケガせず無事に帰ってくるのが大事だよ」

「…ずっと思ってたんですけど、トレーナーさんってマヤノさんのこと好きすぎません?」

「だってかわいいじゃん」

「ナチュラルに即答で惚気られました!?」

「もちろんフラワーもね。みんなかわいいからスイーツ作りに気合が入りすぎちゃうのさ」

「…むむー。そういうのズルいと思います」

 

 

そう言ってそっぽを向くフラワーの頬は少し赤かった。かわいい、綺麗は相手に正直に伝えないといけない。初対面じゃないなら。初対面じゃないなら!!!ここすごく大事。さてさて、ゲートインがそろそろ完了するのかな。『今日はネイチャちゃんが居ないから好き放題だ~』とか言ってたけど、何するんだろう。『マヤ、絶対勝つから。会場にお祝いのケーキ持ってきてね☆』とも言われたから、言われた通りに会場に持ってきてるけどさ、天気が良すぎて形が崩れちゃうから困ったな。ドライアイスにも限界があるぞ…。

 

 

「あれ、そういえばデジタルは?さっきまでここに居たのに」

「デジタルさんならサイリウム持って最前列に突撃していきましたよ。まだライブじゃないですのに」

「推し事に対する情熱が強すぎる…」

 

 

『各ウマ娘、ゲートインが完了…スタートしました!』

 

 

 

─────────

 

 

 

「さ~て。マックイーンちゃんはどこかなっと…いたいた。前から3番目ね。スぺちゃんは…その後ろをぴったりか。前を塞がれる前に近づいておかなきゃ」

 

 

天皇賞春。避けては通れない中長距離G1の壁。プールでスタミナをできる限り鍛えてきたけど、あの2人と比べるとやっぱり足りてない。でもやれることは全部やった。後はここからどうするかでしかない。

 

 

『第3コーナーから第4コーナーへ。レースは淀みなく進んでいます。現在、上位人気3人が集団となって進んでいますね』

『マヤノトップガンはスリップストリームで体力を温存する体勢でしょうか、スペシャルウィークとメジロマックイーンをうまく利用して風を避けていますが…おおっと、マヤノトップガン上がっていきます。掛かってしまったのでしょうか』

 

 

掛かってないよ。だって…横に付かないと囁けないでしょ?こういう風に。

 

 

「ケーキ、カステラ、クッキー、あんみつ…レースが終わったらスイーツ食べ放題…」

「「んなっ!?」」

「楽しみだね。早く走り切れば走り切るほどスイーツが近づいてくるよ…?」

「くっ、卑怯な…!そんな誘惑になんて…ま、負けませんわ!というか先日からやけにスイーツの誘惑が周りをうろちょろしているとは思っていましたけど、犯人はマヤノさんでしたのね!許せませんわ!」

「ふふっ。それはどうだろうね?」

「こ、これは確信犯っ…!ひどいです!あんまりです!」

「このレース…メジロの誇りにかけても負けられませんわ!」

 

 

テイオーちゃんを誘導してスイーツに対する欲を搔き立てておいたけど、なかなか掛かってくれないね。でも、まだ終わらないよ?

 

 

「「こ、この匂いは…ッ!?!?!?」」

 

 

正面スタンド前には応援に来てくれたトレーナーちゃんがいる。そして手にはトレーナーちゃんが丹精込めて作ってくれた季節のフルーツ盛り合わせホールケーキ。果物をふんだんに使ってるから、甘い匂いがプンプンしている。減量でずっと耐えてきた子がそんなものを嗅がされたら、早く走り切ってスイーツを食べに行きたくなってしまうに決まってるでしょ。マヤでも同じことやられたら無理。正気を失って掛かりまくる自信がある。

 

 

「そんな誘惑に負けませパクパクですわ!!!」

「スイーツの舞台へ…駆け抜けます!!!」

 

 

『ああっとメジロマックイーン、上がっていきます!まだ1周目、ゆっくり行こうよメジロマックイーン!』

『さらにスペシャルウィークも上がっていくぞ!そんなに急いでどうしたというんだ!』

『まるで何かを求めるようにしてどんどん上がっていくメジロマックイーン、スペシャルウィークの両名ですが、逆に先ほど上がってきたマヤノトップガンは中団へ下がりました。上位人気2人を壁にしたスリップストリームをやめて、ここで足を溜めるようです』

『この差がはたしてどう出てくるのか、今日の天皇賞は何かが起きる!?』

 

 

「これも勝負なの。ごめんね☆」

 

 

 

 

─────────

 

 

 

「実況も言ってたけど、最初からあんなに飛ばして大丈夫なのかな。3200mも走らなきゃで、まだ1周目。しかも半分も行ってないのに。去年の有馬記念じゃないけど観客から怒号が飛んでるよ…スピカの先輩、調整失敗しちゃったのかな」

「いや…まあ…うーん…」

「何か思い当たることでも?」

「大体想像出来ますよ。ただ…あれほどの人でも掛かっちゃうものなんだなあと。私も気を付けないと」

 

 

フラワーは何かを勘づいているようだが、こっちはまるで意味がわからない。なるようにしかならないか。さてさて、メジロマックイーンとスペシャルウィークは5番の子におよそ6バ身ほどの差をつけて先頭を爆走しているんだが…目からオーラが出てるように見えるから怖すぎる。ああいったことが出来るのがシニア級なのだろうな。

 

 

「ふい〜。今日も良い画が撮れました。満足です」

「あ、おかえりデジタル。もう良いの?」

 

 

正面スタンド前をウマ娘全員が駆け抜けたタイミングで、撮影を終えたデジタルが帰ってきた。片付けをしているところを見るに、レース途中ではあるが抜け出すようだ。

 

 

「ええ。今日のレースは結果が見えましたので、これからライブ会場に先回りです。ただ、オレンジ色のサイリウムはちょうど切らしてしまっていた色なので、買い足さないといけません。急ぎますのでこれにて失礼!!」

 

 

デジタルは荷物を風呂敷に纏めて去っていった。風呂敷とは古風な。便利ではあるけども。

 

 

「もう結果が見えたって…マヤノみたいなこと言ってるな。デジたんわかっちゃった!ってこと?」

「えっと…かわいくないので今後はやらないでくださいね」

「辛辣ッ!!」

 

 

『さあ勝負は終盤戦!第3コーナーの丘を越え、先頭を走るメジロマックイーンとスペシャルウィークがスパートに…スパートに…?おかしいですね、スパートに入っていきませんね』

『まさかのスタミナ切れでしょうか。両名とも歯を食いしばっているのが伺えますが、全く速度が上がっていきません!』

『なんということだ。このまま最後まで行ってしまうのか。マヤノトップガンが後ろから迫ってきているぞ!』

『マヤノトップガンがぐんぐんと上がっていく!残り200!メジロマックイーン、苦しいけど粘っている!』

 

 

「これは勝ったっぽいね。ウイニングライブまで時間あるし、迎えに行こうか」

「はい」

 

 

『マヤノトップガン、ゴールイン!現役最強の名を、見事勝ち取った!』

『2着に入ったのはメジロマックイーン!3着はスペシャルウィーク!』

 

 

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