【本編完結】お菓子作りが得意なトレーナーと、無慈悲するマヤノトップガン   作:出遅れ系トレーナー

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やはり歯止めがきかなかったトレーナー

「トレーナーちゃん。何か言うことは?」

「反省はしているが後悔はしていない」

「んー…。ちゃんと反省してるならいいか」

「全然よくないです!?」

「マヤノさんはレースに対してだとあんなに策略を張り巡らせることができるのに、トレーナーさんが相手だと完全にボケに回るの何とかならないんですかね」

 

 

今日も今日とて私は担当ウマ娘たちの前で正座をさせられていた。そう、またなんだ。すまない。今年もダービーが終わり、つい先日フラワーのメイクデビューが行われた。札幌芝1200m。結果から言ってしまうと、7バ身差の圧勝だった。で、そのお祝いとしてシュークリームでも作るかと考えた。フラワーは小柄なので、ぷちシューなら小さくて丁度いいと。しかしどこで何を間違えたのか、気づいたら目の前にはシャインマスカットをふんだんに使った大量のシュークリーム、その数3600。ステイヤーズSの距離と同じ。せっかくのメイクデビュー快勝のお祝いなのだからと、メイクデビュー1着賞金のトレーナー分の分け前を通販に全てぶち込み、買えるだけ材料を揃えた。したがって、シュークリームが大量にあったとしても問題ないのだ。

 

 

「いや問題大アリだよトレーナーちゃん。多分これ、いつも通り多少食べても太らないようにカロリーが調整されてるんだろうけどさ?何度でも言うけどお腹に入りきらないよ。多すぎだってば」

「そもそもがトレーナーさんを自由にさせておいた我々にも問題があったのでは…?」

「前科が多すぎますからね…どうしてこう簡単に限度というブレーキが壊れちゃうんでしょうか」

 

 

そんなの判り切っているじゃないか。可愛いは正義だからね、仕方ないね。

 

 

「あの顔は反省してない…。それはそれとして、最近スイーツ関連で煽りすぎてたから、そろそろ好感度でも稼ぎに行こうかな」

「ふむ…。スピカの皆さんですか。乗ってきますかね?」

「テイオーちゃん太らなかったし行けるんじゃない?」

「チームスピカのこと、まるでスイーツ処理班みたいな扱いですね…」

 

 

何その爆弾処理班的なアレは。シュークリームは爆弾か?市販のものはカロリー爆弾だったわ。砂糖入れすぎなんだよ。甘さを引き立てるのに砂糖ドバドバ入れればいいってそんなわけないでしょうに。

 

 

「沖野さんの甘味制限ってものすごいからね。フラワーちゃんも見てただろうけど、正気を失って掛かりまくるレベルで何も摂取させないから」

 

 

へぇ~、春天で鬼気迫る表情で爆走してたのは掛かってたのか。目からオーラ出てたから威圧してるのかと思ってたよ。実際にマヤノ以外の子は威圧されて震えてたし。

 

 

「そう考えるとトレーナーさん選びは成功だった気がしますね。ここなら甘味に関しては、よほどのことがない限り問題ないですし。元気いっぱいでトレーニングできるのは明確な強みです」

「むむっ!」

 

 

フラワーがデレてる…!これは私の時代の到来ッ…!

 

 

「いえ…やっぱり鞭を与え直した方がいいのかしら」

「あ、圧倒的手のひら返し…」

「トレーナーちゃん、割と頻繁だけどバ鹿だよね。黙ってればいいのに。まあそこがいいんだけど」

「鏡と会話してるんですか?」

「…マヤノさんもどっこいどっこいですよ」

 

 

 

──────────

 

 

 

数日後、沖野さん含めてチームスピカをうちのチーム部屋に招待した。トレーナーちゃんはこういった場だとアガっちゃって邪魔にしかならないだろうから、フラワーちゃんとデジタルちゃんを見張りにつけて自室で待機させてある。時間になると、バンッ!という音を立てて扉が開かれた。あのさ、ノックぐらいしたらどうなの?

 

 

「やっと私がスイーツを食べれる回がやってきましたわッ!!!!!」

 

 

現れたのは超低カロリーシュークリームの山を目の前にしてテンションが振り切れているマックイーンちゃん。あれ、これ本当に大丈夫なの?1人で1000個とか食べたら普通にアウトなんだけど。周りを見ても呼んであるはずの沖野さんが居ない。な、なんで?

 

 

「ちょっとテイオーちゃん。沖野さんは何処行ったの?一緒に連れてくるよう頼んでおいたよね?」

「ん?トレーナーならおハナさんに呼ばれたからちょっと遅れるとか言ってたよ。おハナさん相手だと断り切れなかったんだろうね」

「うそでしょ…」

 

 

減量の鬼が居ない…?スイーツパクパクイーンを抑え込むのにマヤとテイオーちゃんだけ…?

 

 

「まあまあ。流石のマックイーンでも前回の減量で懲りてるから大丈夫だって。ほら、同じ減量を乗り越えたスぺちゃんを見てみなよ」

「スイーツ…スイーツ…なまらおいしいスイーツ…。しかも太らない…うふ、うふふ、うふふふふふふふ」

「「…………」」

 

 

後ろを振り返ると、明らかに挙動のおかしい日本総大将、スイーツウィークがそこには居た。目が血走っていて、正気を保っているようには見えない。テイオーちゃんはそっぽを向いた。

 

 

「ね?大丈夫だって言ったでしょ」

「こっちを見て言ってくれない?」

「待望のスイーツ。今回はシュークリームですわ。あの策略家トレーナーのお手製なんで、何をどうしてもウマいに決まってますわ。おいしすぎて手が止まりませんわ。パクパクですわ!」

 

 

謎の説明を入れてシュークリームに突撃するマックイーンちゃん。明らかに掛かっている。やばい、このままだと食べ尽くされる!

 

 

「待ってマックイーンちゃん!低カロリーとは言っても流石に食べ過ぎたらダメだってば!持ち帰りもアリだから!今日全部食べる必要ないから!ねえ聞いてる!?」

「シュークリームが1番ですわ!!!」

「あーもーダメだこれ!ちょっとテイオーちゃん!マックイーンちゃんを止めるの手伝って!」

「無理だよマヤノ~!こっちも手が離せないんだよ~!」

 

 

テイオーちゃんはテイオーちゃんで、荒ぶるスぺちゃんを抑え込もうとして失敗していた。なんでこんなに力の差があるの。マヤたち同じウマ娘じゃないの!?

 

 

「パ~ク~パ~ク~で~す~わ~ッ!」

「だから待ってこれは罠とかじゃなくてただの好意だから!ダメだってマックイーンちゃん、食べ過ぎだってば!ああもう!トレーナーちゃ~ん!たすけて~~~!!!」

 

 

 

──────────

 

 

 

「んで、こうなったと……」

「はい…」「うん…」

 

 

沖野さんが到着した時にはシュークリームは完食されていた。マヤたち3人で200個ずつ予め確保していたので、マックイーンちゃんとスぺちゃんは残った3000個を半分こして全部食べちゃった。どこにそんなに入る場所があるんだろう。ちなみにテイオーちゃんは食いそびれ。

 

 

「今回は俺のことをわざわざ呼んであったってのもあるし、テイオーの顔を見るに罠じゃないのはわかってたけど…油断したな、お前ら」

「おかしいですわね、食べても太らないはずでしたのに…」

「聞いてた話と違います~…」

「お前ら食いすぎなんだよ!1500個食うとか何考えてんだ!?止めに入ったであろうテイオーたちを見てみろ、ボロボロじゃねえか!いったい何をどうやったらこんなにボロボロになるんだ!?」

 

 

2人を止めようとしていたマヤたちは、正気を失って掛かりまくるスイーツの鬼たちに何度も弾き飛ばされてボロボロだった。着てた服は破れが酷くて上下とも買い直さないとダメそう。洗濯したら完全に裂けて下着が見えるようになっちゃう。

 

 

「お前ら今年の年末まで甘味禁止な?決まりを破れないように監視もつけるから覚悟しておけよ」

「「うええええ!?」」

「「はあ…」」

 

 

油断していたら酷い目に遭ったよ。やっぱり管理できるトレーナーは大事だよね…。

 




マックイーン回が来ないといったな、あれは嘘だ
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