【本編完結】お菓子作りが得意なトレーナーと、無慈悲するマヤノトップガン   作:出遅れ系トレーナー

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阪神JFが終わって次は有馬記念ってところで日常回?妙だな…。


スイーツの山に埋もれるウマ娘たち

「警告ッ!トレーナーくん!許可を出してしまった我々にも問題はあったかもしれないが、これは流石に酷すぎるのではないのかッ!?」

「違うんです理事長!ウマ娘たちの笑顔を守りたかっただけなんです!」

「疑問ッ!なら何故こんなに大勢のウマ娘たちが倒れているのだッ!」

「ただの食べすぎです!」

 

 

珍しく理事長から直々にお呼び出しが掛かった。何事かと呼び出された食堂に着くと、そこは死屍累々としか言えない惨状。倒れ伏して動けなくなっているウマ娘が大勢。

何故こうなってしまったのかというと、時を遡って阪神ジュベナイルフィリーズ後すぐのことである。

 

 

━━━━━━━━━━

 

 

 

「え?食堂のご飯がおいしくない?」

 

 

マヤノが悲壮な表情で告げてきたのは、思いもよらない学園の粗雑な食事の話だった。

 

 

「そうなの!ここ最近、光熱費の高騰が原因でお野菜が高くなってるからって、材料費をケチってるっぽくてさ?それでどんどん味が落ちていって…もうどのランチを頼んでもまっっったくおいしくないの!マヤ、本当に嫌になっちゃった!ぷんぷんだよ!ぷんぷん!」

「確かに先月から食堂のご飯がおいしくないって噂されてましたね。私はお弁当持参なので、あまり関係なかったですけど」

「あたしは『『デジタルちゃん(さん)は黙って聞いててくれない?(くれませんか?)』』しょんなっ!?」

 

 

撃沈するデジタル。まあデジタルは『ウマ娘ちゃんと一緒ならご飯10杯は余裕でイケます!』とか言っちゃう子だからなあ。この扱いも致し方なし…。

 

 

「で、トレーナーちゃんなら何かいい案が出るんじゃないかなーって」

「ええ…?お菓子ならともかく昼食はなあ。食堂とかノータッチで、実際何やってるかさっぱりなんだけど。まさか昼間からお菓子食べてるわけじゃないでしょ?」

「そりゃね。メニューはにんじんハンバーグとかにんじんカレーで、盛り方は注文の時に言う感じ。1番多いのは…なんだっけ?」

「ハイパーウルトラスーパーミラクルオグリスペシャルV3EXですね。ご飯特盛3杯と、おかずが5人前の超特盛セットです」

「長っ!?」

 

 

なんだその強そうな単語を適当に並べたみたいな名前。しかもオグリってオグリキャップのことだろうし、V2どこ行ったのとか普通に特盛じゃダメなのかとか色々酷すぎてツッコミが追いつかないぞ。

 

 

「デジタルちゃんよくそんなの覚えてたね」

「あたしのウマ娘ちゃんセンサーにかかればどうってことないのです!」

「はぁ…話が逸れてますよ。それでどうするんです?困ったときのトレーナーさん頼みで、ご飯の代わりになるお菓子でも作ってもらうんですか?」

 

 

逸れまくった話をフラワーが戻してくれたがしかし。

 

 

「いやーきついでしょ。お菓子はお菓子であって、ご飯にはならんよ」

「えぇ〜!?そこを何とかしてよトレーナーちゃん!これじゃあマヤ、やる気なくなっちゃう〜!にんじん使ったお菓子のレシピって何かないの?」

「うーん…。そもそもにんじんって主張が強すぎて他の食材の味が死ぬからお菓子にならんのよ。それでも無理やりにんじん使いたいっていうなら、にんじんオンリーのケーキぐらいかなあ」

「むむっ!にんじんケーキ!?なにそれおいしそう!」

「いやマヤノ。だからお菓子はご飯には」

 

 

ならんと言おうとしたところで、マヤノが手を組んで上目遣いで私を見てきた。

 

 

「トレーナーちゃん、おねが〜い⭐︎」

「……もちろんOKだよ!(テノヒラクルー」

「やったー!マヤ、やよいちゃんに食材の使用許可取ってくるね!すくらんぶる〜⭐︎」

「(チョロすぎますよトレーナーさん…)」

 

 

フラワーが呆れた目でこちらを見ているがこればかりはどうしようもない。誰が何と言おうとマヤノのお願い攻撃には敵わないのだ。やはりかわいい。かわいいは全てを解決する…!

 

 

 

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「ということで試しに作ってみました。ウマ娘がどう感じるかわからんので味は保証できません。私にはおいしくなかったです」

 

 

目の前にはドーンとオレンジ色をしたシフォンケーキ。見た目はおいしそうだが、原料はほぼにんじんである。私が試食したところ、どう言い繕ってもにんじんの味しかしなくて普通においしくなかったので、マヤノ、フラワー、デジタルの3人にも試食をしてもらう。そもそもウマ娘用の食事を人間基準で作ろうとした私がアホだった。砂糖をドバドバ入れればもちろん甘くなるが、昼ご飯にするにはどう考えてもカロリーオーバー。厳しいトレーニングをするウマ娘とはいえ、太り気味を覚悟すべきだろう。

 

 

「むぐむぐ…。あっ、これおいしいよトレーナーちゃん!」

「ええ。私もおいしいと思います」

「トレーナーさんが珍しく自信なかった割になかなかイケますね~」

「そっか。そりゃ上々」

 

 

砂糖控えめにんじんケーキであったが、マヤノたちがおいしいって言うなら味は問題ないだろう。問題はこれをレシピとして取り入れてもらえるかどうかだが。

 

 

「というかさ。今ここでトレーナーちゃんがあるだけの材料全部使って作っちゃえばいいんじゃない?食堂のオーブンの方がチーム部屋より圧倒的に大きいし、大量生産して温めるだけの状態にして冷凍庫で保管しておけばいいじゃん」

「え?」

「どうせ学園の調理師が何か作ったところでおいしくないし、せっかく食べるならおいしく食べたいじゃん。大丈夫、もう許可は取ってあるし!」

 

 

びろ~んと出される許可ッ!の文字。まあやっていいならやっちゃうけど…いいんだね?本気出しちゃうよ???

 

 

 

──────────

 

 

 

 

そして冒頭に戻るわけである。

 

 

『昼食をパクパクしていたら何故か太ってしまいましたわ!?』

『うう…食堂のお昼ご飯がおいしくなったからって、油断して食べ過ぎてしまいましたぁ…』

『コンナハズジャー!』

『だからネイチャさんはこの辺でやめとけって言ったのに…。この出来はどう考えてもあの人の仕業でしょ』

『この前買ったクッキーもうまいがこれもうまい。うむ…良い感じだ』

 

 

すごくよく見るメンバーも食べ過ぎで倒れている大惨事。だが私は謝らない。そもそもがマヤノたちが食べてもトレーニングで困らないよう砂糖控えめで作ったのだから、太る要素がほとんどないのだ。なのになんでこの子たちこんなに太ってるの?

 

 

「確認ッ!トレーナーくんはウマ娘たちを故意にこの状態にしようとしたわけではないのだなッ!?」

「ええ。砂糖控えめなので太りにくいはずですので。理事長もお1つ試食してみてはいかがですか?おいしく出来てるそうですよ」

「了解ッ!では試食してみるとしよう。もし何か問題が起きた場合、責任を取ってもらうのでそのつもりでな!」

「マヤノたちに試食してもらったものとレシピも同じです。絶対に問題なんてありませんので、ご自由に?」

 

 

当然ながら、ケーキには何の問題もなかった。しかし理事長も太り気味になった。たづなさんに怒られながらしょっ引かれていったけど。なんでホールで10個も食べちゃうんですかね…。

 

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