【本編完結】お菓子作りが得意なトレーナーと、無慈悲するマヤノトップガン 作:出遅れ系トレーナー
「やっぱりレースの前は緊張してしまいますね…!」
「フラワーちゃん頑張れ〜」
「頑張ってください!このデジたんも非力ながら応援しておりますので!」
桜花賞。トリプルティアラの1冠目であり、フラワーの目標としているレースが今日、これから開催される。もちろんフラワーご所望のカップケーキも用意してあるぞ。
「それではさっそく…本日の勝負デザート、ご開帳〜」
「わぁ…かわいいですっ!」
「これは見事なものですねぇ」
「さすがトレーナーちゃん。洋菓子なら得意分野だもんね☆」
用意したのは桜花賞の桜に因んで、さくらんぼを使った特製のカップケーキだ。これを食べて全力で頑張って欲しい。
「じゃ、召し上がれ」
「いただきますっ。…あっおいしい。(中略)コクン。…ごちそうさまでした」
「おそまつさまでした」
フラワーが食べ終えたので、パパッと片付けだ。出走までもうちょっと時間があるからね。マヤノたちの分はチーム部屋の冷蔵庫の中なので、帰ってからのお楽しみです。…マヤノ、そんな目で見ても無いものは無いよ。
「そいえばさ〜トレーナーちゃん」
「ん?」
「どうしてモチーフの桜の花がつぼみだったの?」
「ああ、それは私も気になってました。普通こういうのって開花した状態ですよね。桜"花"ですし」
そう。指摘された通り、私が作ったケーキにさくらんぼをカットして描かれた桜はつぼみの状態だった。もちろん、これには当然意味がある。
「前に、つぼみが花開くように、精いっぱい頑張りますっ!って言ってたからね。これから咲くフラワーにはピッタリでしょ?…いつもお菓子作り手伝ってくれてありがとう。フラワーがなりたい自分になれるよう応援してるから、精いっぱい頑張ってね」
「…………はわわわわっ!?」
「ぐええっ」
フラワーの頭を撫でながらモチーフについて説明しながら激励したら、突き飛ばされてしまった。まだ好感度が足りてなかったか…。ぐふっ。
「…あれはズルいよね。大事なレースの前に、ちょっと気になってる相手から真剣な顔であんなこと言われたらさ~。というか他の子が口説かれてるのを外から見ると、ちょっと恥ずかしいね…」
「…デジたんが見てる限りですけど、普段のマヤノさんへの甘やかし方の方が、アレの数倍は酷いと思います」
「……えっ?そんなに?」
「気づいてなかったんですね…。(というかこのままだとデジたんも危ういですね。気をつけねばトレーナーオブシンフォニアだの、攻略王スイーツの軌跡だの言われてしまいそうです)」
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『ニシノフラワー、圧倒的な実力差を見せつけて今1着でゴールイン!春の阪神に女王が帰還!阪神ジュベナイルフィリーズに続き、ニシノフラワーが桜花賞を制しました!』
「これはひどい」
圧倒的大差でフラワーは桜花賞を逃げ切った。というか最初から最後まで掛かりまくった挙句、ソラを使った上での大差勝利。何というか、レベルが違いすぎて反応に困る。こんなんで大丈夫なのか、今年のティアラ路線は…?いや、マヤノのクラシックもこんなんだった気がする。…なら問題ないな!
「スーパー絶好調で元気200%だもん、そりゃこうなっちゃうよね。しかも3女神ガチャで引いたのマヤとネイチャちゃんだってさ。スタミナ対策もばっちりってね☆」
「最初から最後まで掛かってましたのに、この差で勝つのは他のウマ娘ちゃんがかわいそうな気もしますね…。というか何ですかそのデバフ連打のハッピーセットは」
「何言ってるのデジタルちゃん。マヤはデバフ連打役じゃないよ?」
「えっ」
「えっ」
「…は、話についていけない」
3女神ガチャとかものすごい失礼なこと言ってる気がする。神頼みで勝てるわけないじゃん。フラワーが勝ったのは日頃の努力の結果だよ。
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「ライスちゃああああん!頑張れええええっ!」
話は変わって今度は皐月賞。うちのメンバーが出走するわけではないが、知り合いのハルウララから
『友だちのライスちゃんが出走するの!マヤちゃんのトレーナーさん!手伝って!』
との要請があったので、付き添いで来たわけだ。先日述べたが、川崎記念勝利までのハルウララはメイクデビュー以降勝利がなかった。そのため、担当トレーナーが逃げ出したとかで…今はフリー状態なんだとか。しかし、どうしてもトレセン学園の関係者優遇枠である、ターフの真横から応援したくて、知り合いの私を頼ったそうだ。というか担当トレーナーなしにどうやって川崎記念に出走したんだ?
「ライスシャワーさんとミホノブルボンさん、どちらが勝つか気になりますねえ!」
「ライスちゃんが勝つもん!」
「うーん。相手はブルボンさんですからね。厳しい戦いになると思いますよ。私もトレーニングにお付き合いしましたが、かなりハードな坂路トレーニングを頑張っておられましたし」
「そう言われると…でも私はライスちゃんを信じてるよ!」
『クラシック3冠の初戦。今年も優駿が集まりました皐月賞、中山レース場芝2000m。天気は曇り、良バ場の発表です。出走ウマ娘を見ていきましょう。3番人気はサクラバクシンオー。京王杯ジュニアS1着、スプリングSを2着に入り込んで、稀代のスプリンターがクラシック路線に殴り込みであります。2番人気はライスシャワー。華麗な末脚でホープフルSを制し、ここ皐月賞へと駒を進めました。そして本日の1番人気はミホノブルボン。朝日杯フューチュリティS、スプリングSをレコードで制しています。今日もその俊足が炸裂するのでしょうか!』
「ほほう、サクラバクシンオーも出るのか。彼女はどうなんだ?」
「バクシンオーさんは厳しいと思うよ~?単純に距離が合ってないし。スピードだけはあるから、3コーナーぐらいまで先頭で、そこら辺でバクシンオーさんの先頭はここで終わりッ!とか言われそう」
「なるほど?」
「ま、このレースに限ればブルボンさんを掛からせたらライスさんの勝ち、掛からなかったらブルボンさんの勝ちってことかな。単純でわかりやすいね☆」
「判定が大雑把すぎる…!」
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『勝ったのはミホノブルボン!皐月を制し、クラシックの1冠目を手に入れた!2着に入ったのはライスシャワー!』
結果から言うと、ミホノブルボンがレコードで1着、クビ差でライスシャワーが2着。サクラバクシンオーはブービーだった。マヤノの言った通り、サクラバクシンオーの先頭はここで終わりっ!とか言われてて不覚にもクスッときてしまった。預言者かな?ライスシャワーも上がり3Fは最速だったんだが、ミホノブルボンの領域にギリギリ逃げ切られてしまった感じだ。宇宙の領域、なかなかカッコよかったな。
「クスン…悔しいです…!あとちょっとだったのに。でも日本ダービーはライスが手に入れて見せますっ…!」
「その意気だよライスちゃん!私、頑張って応援するからね!頑張るぞー!おー!」
「お、おー!」
ほほ~。負けたとしても次を見据えているのはいいことだよね。マヤノは秋の天皇賞を負けたと思ってた時は泣いちゃってたし。それはそれでかわいかったけど。…おやマヤノさん、なんで半目でこっちを見てるんでしょうか。まさか思ってたことがバレて…痛い痛い!?脇腹抓らないで!?
「き、気張るのはいいけど、ライスシャワーはこの後ウイニングライブじゃないの?」
「あっそうだった!ライスちゃんはこの後ウイニングライブあるんだった!いってらっしゃい!」
「い、行ってきます…!」
ライスシャワーはハルウララに送り出されてウイニングライブへ。
「あっそうだ!マヤちゃんのトレーナーさん!今日はありがとね!」
「あいよ。また何かあったら遠慮なく相談しに来ていいからね」
「うん!」
ばいば~いと手を振ってハルウララはウイニングライブを見に行った。それじゃあ私たちも用が終わったし今日は帰るか。後は2人だけでも帰れるでしょ。
「…まったく、トレーナーちゃんたら甘いんだから。本当ならチームメンバー以外の子なんて面倒見なくてもいいのにね~?」
「そんなわざと悪ぶらなくてもいいよ。そもそも、担当じゃないからってああいう子を見捨てたら、それこそ寝覚めが悪いじゃん。困ったときはお互い様、でしょ?」
「ふふっ、そうだね」
後書きというか補足。
フラワーの好感度は、コッソリと少しずつ上がっていました(トレーニングにまるで役に立たない⇒他も含めてあまりにも酷すぎたために冷たい視線→差し入れのスイーツや彼女とマヤノに対する接し方で少しずつ好感度アップ⇒お菓子作りの手伝いOK→今回)。ギャルゲーかな?
ライスは終盤までブルボンを徹底マーク→終始2位で追い抜き対象が存在しなかったため、薔薇の領域を不発させて敗着しました。ブルボンが掛かった場合、領域が不発して垂れたブルボンを追い抜いくことで領域が発動して勝利します。なおブルボンをマークせず、領域のために2位のウマ娘をマークした場合は、ブルボンが自由に走ってそのままゴールするので勝ち目はありません。単騎逃げは不利なんてまやかしです。サイゲは反省して。
皐月賞の結果を考えてるうちに書き溜めが出来た(ちゃんと皐月賞考えろ)ので。しばらくは毎日0時更新の予定。