【本編完結】お菓子作りが得意なトレーナーと、無慈悲するマヤノトップガン 作:出遅れ系トレーナー
『トリプルティアラの2冠目、樫の女王の称号をかけて18人のウマ娘たちが挑みます。東京レース場芝2400m、天気は晴れ、良バ場の発表です。オークスで戴冠するのは誰だ!』
優駿牝馬<オークス>。フラワーからするとちょっと長い距離らしい。マヤノが言う限りだと対策は取ったし余裕だろうとのこと。あの後追加でプラムを取り寄せてカップケーキにしたんだが、先ほどそれを食べてからフラワーの様子がおかしい…。
「ねえ2人とも。フラワーの髪が逆立ってるんだけど、あれって大丈夫なの?もしかしてどこか調子悪いんじゃ…」
「何言ってるのトレーナーちゃん。むしろ最高の仕上がり。菓子の王と樫の女王のコラボレーションだよっ☆ね、デジタルちゃん」
「そ、そうですね。でもああなった以上、始まる前からフラワーさんが勝つ未来しか見えないです」
「…そうなの?」
「うん!マヤがクラシックの頃には気持ちに余裕が無くて使えなかったけど、本来ああいうのは使えるに越したことはないのだ☆」
「ですです」
まるで意味が分からない。私が作ったお菓子を食べたせいで調子が下がって負けた~とかそんなのは嫌なんだけど。でも2人が元気だって言うし、そういうことならいいか。
『ゲートイン完了……スタートしました!各ウマ娘綺麗なスタートを切りました!1番人気のニシノフラワー、実力を発揮して期待に応えることができるでしょうか!それでは先頭から見ていきましょう。先頭は5番、そのすぐ横で6番。激しい先頭争いです!続きまして9番、そのすぐ後ろ1番、2バ身離れて2番、14番。その後ろ16番。ニシノフラワーここに居た。その後ろ…』
フラワーは中団前目につけたな。今回は逃げ切りじゃないようだ。
「フラワーちゃん良い位置につけたね。阪神JFも桜花賞も獲ってるからマーク厳しいかと思ったけど、見た限りブロックもさせてないし」
「ええ。というより他のウマ娘ちゃんたち困惑してません?ずっと逃げだったのに今日は差しなので」
「そうかも。まあ困惑してるほうが掛からせやすくてマヤは好きです」
「違うそうじゃないです…」
相変わらず2人が何を言ってるのかさっぱりわからない。良い位置につけれたってことは辛うじてわかるけど。そうしているうちにレースは第3コーナー超えて最終コーナーへ。今日は誰かが掛かって崩れるようなことはなく、淀みなく進んでいるようだ。フラワーは垂れてくるであろう他のウマ娘を回避するべく大外からスパートを掛け、一気に追い抜く。そして4位に上がった瞬間フラワーの雰囲気がさらに変わった。
「むむっ。…これは来たね」
「ええ、これは来ましたね」
「ん?いったい何が来たんだ?」
「よく見ててあげてね。これがフラワーちゃんの領域だよ☆」
マヤノがそう言った次の瞬間、辺り一面に花畑の領域が展開された。閉じていたつぼみが次々と開花する幻想的な領域。その中で1人、フラワーは花畑を駆けていた。
『未来はきっと、この先に…!咲いて、開いて…これが私のお花畑…っ!』
領域を展開し、さらに加速したフラワーが大外を駆ける。前を妨げることのできるウマ娘はもういない。そうしてフラワーが先頭に立った。
『最終コーナーを回ってニシノフラワーが先頭!ニシノフラワー、完全に抜け出した!6番が必死に追いすがるがその差は縮まらず伸びるばかり!残り400を切りました!坂を登るッ!強い!強すぎる!ニシノフラワーが独走だ!残り200!先頭はニシノフラワー!先頭はニシノフラワー!先頭はニシノフラワー!ニシノフラワー今1着でゴールイン!オークスを制し2冠達成!ニシノフラワーが樫の女王の称号を手にしました!2着は7番!3着に入ったのは6番!』
「フラワーちゃんの勝利~☆」
「予定調和でしたね」
「そうだね☆」
「これが予定調和…?まあフラワーが勝ててよかったよ。しかしなんであの実況の人は最後に同じことを何度も繰り返してたんだ?3回も同じこと言ってたよね?」
「あの方は短距離実況おじさんなので、スタミナが切れちゃったんじゃないでしょうか」
「まあそうだろうね」
「えぇ~…?」
短距離実況おじさんて…。
「来週は日本ダービーだし、きっと同じことになるはずだよ。誰が勝つかはまだわからないけどね」
実況で同じことを連呼するのはアプリからです。ゴール前で特殊実況がある場合(ex.ウオッカの日本ダービー/メジロブライトの天皇賞春等)を除いてかなりの頻度で発生します。アレ何とかならないんですかね?