【本編完結】お菓子作りが得意なトレーナーと、無慈悲するマヤノトップガン   作:出遅れ系トレーナー

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ダービーのお話はなくなりました


空き巣に入られるマヤノトップガン

「大変!大変だよトレーナーちゃん!!!」

「うわっ!?…せ、セーフ。危うく落とすところだった…。マヤノはそんなに慌ててどうしたのさ?」

 

 

自室で焼いたショートケーキにいちごをトッピングしているところに、慌てた様子でマヤノが突撃してきた。危うくいちごが床を舐めるところだったが、なんとかカゴをキャッチできたぞ。

 

 

「それがね!うちのチーム部屋、空き巣に入られちゃったみたいなの!」

「あ、空き巣!?」

 

 

空き巣…だと…?うちのチーム部屋って小麦粉しか置いてないんだけど、まさか小麦粉を盗まれたのか?

 

 

「不法侵入だよ!鍵がこじ開けられてたの!」

「マジか…でも小麦粉盗むなんてなあ。犯人もお菓子作るのかな」

「違うよ!盗まれたのはマヤが冷凍室を2重底にして大事に隠しておいたガトーショコラ……あ」

「マヤノさん…???」

 

 

ガトーショコラを凍らせて隠しておいた…?

 

 

「ち、ちがうのトレーナーちゃん!これには深いわけが」

「いや別に怒ってないけど。お菓子が欲しいなら欲しいって言ってくれればいいのになーって。いつでも用意するし」

 

 

そもそもお菓子をねだられて断ったことないのよね。最近はマヤノがレースに出走してないので、勝負スイーツも頼まれなくなってしまって…ちょっと寂しいのは内緒だ。

 

 

「だってトレーナーちゃんに我慢のできないパクパクトップガンって思われたくないんだもん」

「えっ何それかわいい」

「かわいい?えっ、マヤかわいい?そっか~。えへへ~。じゃあマヤと結婚してくれる?」

「中学生は結婚できませ~ん」

「ぶ~ぶ~!!!」

 

 

ほっぺた膨らませちゃってまあかわいい。ってそうじゃなくて。

 

 

「ガトーショコラの代わりになるかはわからんけど、ここにショートケーキあるから食べる?」

「……食べる」

 

 

まずはこのぷんすこマヤノの機嫌を何とかしないとダメだわ。ほ~ら食べさせてあげよう。はいあ~ん。

 

 

「で、とりあえずチーム部屋に来ては見たものの…部屋を荒らされた形跡はないな。ケーキだけ取って行った感じか。侵入は…ピッキングか、よくやるよまったく」

 

 

マヤノの機嫌を直してから空き巣の件についてフラワーとデジタルに連絡すると、2人とも合流するとのことで、チーム部屋で待ち合わせ。その後みんなで捜索しているが、特に変わったことはないように思える。入口の扉はピンセットか何かでこじ開けられたからか、カギ穴が微妙に歪んでしまっているので、買い替えだなこりゃ。経費で落ちるんかね。

 

 

「というかマヤノさん、いつものわかっちゃった!はどこに行ってしまわれたのでしょう?」

「そういえばそうですね。推理ドラマですぐ犯人言い当てちゃうから困るって聞きましたけど」

「えっ!?マヤだって何でもわかっちゃうわけじゃないよ!?今回に関しては何も証拠が1つも残ってないし…」

「「「(証拠があればわかるの(です)か…)」」」

「とにかく!食べ物の恨みは恐ろしいってことを思い知らせてやるんだから!」

 

 

しかし、懸命な捜索にかかわらずも証拠は特に見つからなかった。

 

 

「んもーっ!!!」

「と、トレーナーさん!はやくこのぷんすこさんを引き取ってください…!」

「マヤノさんならトレーナーさんが抱き着いてやればおとなしくなるはずですぞ!」

「んな適当な…まあやってみるけどさ。…ぎゅ~」

「……………スン」

「…おおう、マジか」

 

 

 

──────────

 

 

 

 

「んもーっ!聞いてよネイチャちゃん!昨日うちのチーム部屋に空き巣に入った子がいるっぽいの!」

 

 

翌日、トレーナーちゃん分が切れて再びぷんすこ化したマヤノはナイスネイチャに事の顛末を話していた。というより愚痴を聞いてもらっていた。

 

 

「へぇ~。あの部屋に空き巣ねぇ。でもあの部屋っていつもは小麦粉しか置いてないって話じゃなかった?前にそんなようなことを聞いたような気がするけど」

「そうだよ?でも空き巣にはマヤが取っておいたガトーショコラを食べられちゃったの…ちゃんとマヤの名前をチョコで書いておいたのに」

「おう…それは残念。でもあのトレーナーさんだしさ、代わりは作ってくれたんじゃないの?」

「ガトーショコラがショートケーキに化けた…」

「上々じゃないのさ?」

「違うの!ガトーショコラが食べたかったの!」

「アッハイ」

 

 

ぷんすこすぎてこりゃダメだとナイスネイチャは匙を投げた。このまま愚痴を聞いてあげてもいいが、流石に騒ぎすぎていて周りの視線が痛いので何とか話題を変えることにした。

 

 

「そういえばさ、マヤノは宝塚記念も出ないのかい?」

「宝塚記念~?もうそんな時期だっけ」

「そうだよ。確か今年もマヤノが獲得票1位だとか」

「ふ~ん?そうなんだ」

「去年と違って今年は本当にやる気がないねぇ。まあいいけどさ。スぺちゃんが秘密兵器を手に入れたとかでやる気十分だったけど、この分だとマヤノは未出走なんだね」

「……ほほう?」

「ん?どしたのマヤノ」

 

 

スペシャルウィークの話を聞いてマヤノの雰囲気が変わった。何やら思案顔をしたと思ったら、いつものセリフが飛び出した。

 

 

「マヤ、わかっちゃった。お菓子泥棒の犯人が誰なのか」

「そ、そうなの?」

「宝塚記念…覚悟しておいてね…!!!」

 

 

もうレースには出ないと言っていたマヤノが、レースに向けて燃えていた。これは迂闊に触ると飛び火で火傷をする、そう感じたナイスネイチャはフッと視線を逸らした後でそそくさと逃げだしたのだった。

 

 

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