【本編完結】お菓子作りが得意なトレーナーと、無慈悲するマヤノトップガン   作:出遅れ系トレーナー

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チャンミ久しぶりに1着だったので初投稿です。
というか死体蹴りライブと1ヶ月もの間バックダンサーの育成お疲れ様の煽りが始まって以来初ですね。おかげでなんとか続きを書き上げれました。


咲き誇る花たち

『ニシノフラワー、大差で今ゴールイン!圧倒的な実力差を見せつけて、秋華賞を勝利!輝かしい3つのティアラを揃えた女王が、ここ京都に誕生した!』

 

 

「「ですよね〜」」

「マヤノもデジタルも反応が薄すぎる……」

 

 

秋華賞をフラワーがぶっちぎり大差で勝利した。3コーナーからスパートを掛けて、そのまま突き放してゴールイン。……他の子がバテバテだったのは見てないしわかりませんね。

 

 

「それじゃあフラワーちゃんのトリプルティアラ達成のお祝いに〜?」

「トレーナーさん、よろしくお願いしますよ~」

「はいはい。お任せくださいませお嬢様方」

「やったー!マヤ、洋梨のタルトがいい!」

「いやいや勝ったのマヤノさんじゃないじゃないですか」

「ふっふっふ。こういうのは早い者勝ちなんだよ☆」

「数作る予定だし、ケンカしなくとも食べられるよ」

 

 

なおフラワーはほとんど食べなかった模様。まだ本来の目標のエリザベス女王杯があるし、食べすぎ注意であった。

 

 

 

━━━━━━━━━━

 

 

 

「今年の3冠はミホノブルボンで決まりだな。見ろよあの身体。鍛え抜かれてボインボインのムッチムチだぞ」

「どうした急に。というかセクハラだぞその発言」

「菊花賞、京都芝3000m。クラシック3冠路線の終着点であるこのレースは、1番強いウマ娘が勝つと言われている。ウマ娘として鍛え上げられた身体、つまるところ最後まで走り切れるスタミナと根性がモノを言うんだ。スプリンターと言われ続けてきた彼女の奇跡な軌跡を紡いでいこう」

「ええ……?」

「蘊蓄が始まったと思ったら〆がまさかのダジャレ……」

「つまらなさすぎて隣の人凍りついてるじゃん」

 

 

いつもの眼鏡の人が寒いダジャレをぶっ放したせいで、相方が凍りついていた。が、多分大丈夫だろうからそれは放っておくとして、菊花賞はミホノブルボンの3冠がかかっている。

うちのメンバーからは誰も出走していないが、フラワーのエリザベス女王杯が来週京都レース場で発走されるし、せっかくだから見物に来たわけだ。

 

 

「というかさっきから静かだけどデジタルちゃんは……あー、はい」

「すみませんマヤノさん。今日はウマ娘ちゃん観察に忙しいので後にしてください。というかライスさんに単勝で100万突っ込んでますので、こう見えて割と余裕がないです」

「は?」「え?」

「……よだれで酷いことになってるから、ちゃんと拭いてね。というかその資金源って同人誌?売りすぎでしょ」

「ああ、なるほど。今は戻ってますけど、先程ライスさんのオッズが急落したのデジタルさんの仕業だったんですね……」

「先週のフラワーさんの単勝が1.1倍で一切美味しくなかったので、今回ので稼いでおこうと思いましてね」

 

 

デジタルたちの発言は聞こえませんでした。

 

 

「ところでフラワーの調子はどうなの?来週2200m走るんでしょ?」

「ふえ?あ、はい。準備バッチリですよ。シニア級の先輩方とのレースは初めてですけど、精一杯走ってきますね」

 

 

ふんす!とフラワーも意気込み十分のようだし、来週は期待できそうだ。

 

 

「フラキュアがんばえ〜」

「ふ、フラキュア!?フラキュアって何ですか!?」

「もちろんフラワーちゃんのウマキュア、略してフラキュアだよ☆」

「まるで意味がわからないんですけど!?」

「ああ!で、新しい勝負服ってカワカミちゃんとふたりでウマキュアじゃなかったの?この前エントランスで一緒に居るの見かけたけど」

「確かにカワカミさんとお話しはしましたけど、全然違いますっ!というか、あんなヒラヒラした変身ヒロインの勝負服なんてレースで着れるわけないじゃないですかっ!」

「ええ〜?似合ってそうなのに」

 

 

……マヤノもフラワーもウェディングドレスだったりフラウンスだったりでヒラヒラ勝負服じゃないのか……?スパッツ履かせてるから大丈夫だけど、レース中はスカートの中丸見えだし。

と、そんなことを話していたらレースが発走していた。

 

 

『さあスタートしました!いつも通り先頭争いはミホノブルボン、キョウエイボーガン!熾烈な先頭争いを制してハナを取っていったのはキョウエイボーガンだ!キョウエイボーガン、ハイペースでハナを進んで行きます!』

 

 

「キョウエイボーガンって誰?」

「もー、トレーナーちゃんたら知らないの?」

「だってG1のレースしか新聞に載らないし」

「まあマヤも知らないんだけどね☆」

「マ〜ヤ〜ノ〜?」

「あうあう〜ほっぺひっぱらないで〜」

「ボーガンさんは京都新聞杯でブルボンさんやライスさんとレースをしたそうです。ブルボンさんにハナを取られてしまって、結果は散々だったそうですけど。今回は全力でハナを取りに行ったみたいですね」

「ほほ〜」「なるほど〜」

 

 

『さあ1回目のホームストレッチ、正面スタンド前をウマ娘が走り抜ける!先頭はキョウエイボーガン、そのすぐ後ろをミホノブルボン、さらに後ろをライスシャワー。っとここでミホノブルボンがハナを取り返しまして、先頭はミホノブルボン。2番手争いは……』

 

 

「「あっ」」

「ん?」「ふえ?」

 

 

ミホノブルボンがキョウエイボーガンを追い抜きにいった瞬間、マヤノとデジタルが声を上げた。

 

 

「どしたのさ?」

「まあ見てればわかるよ」

 

 

聞いても答える気がなさそうに、マヤノはレースを眺めているし、デジタルはホッとした顔で飲み物を買ってきますと言い残して後方へ下がってしまった。フラワーは私と同じように首を傾げているので、私の見る目が無いだけということはなさそうだが……。

そうしてレースは順位の変動無くそのまま向こう正面へと進み、3コーナー手前で一斉にウマ娘たちがスパートを掛け始めた。

 

 

『2回目の淀の坂を登りきったウマ娘たちが一斉にスパートを掛けていくぞ!先頭はミホノブルボン!キョウエイボーガンは伸びが苦しい!ズルズルと後退していく!それを見ながらライスシャワーがミホノブルボンを追いかける!最終コーナーを越えてさあいよいよ直線だ!ミホノブルボン未だに先頭をキープしています!』

 

 

【起動開始……セット、オールグリーン。ミホノブルボン、発進!】

【誓います。大好きな人と、幸せの青い薔薇に……ライスだってっ!咲いてみせるっ!】

 

 

ミホノブルボンとライスシャワーの領域がほぼ同時に展開された。互いの領域を食い散らかさんと激しくぶつかり合うそれは、彼女たちのレースへの勝利の執念なのだろうか。

 

 

「「おお〜」」

「おお〜じゃないが」

 

 

そんな様子を見て、マヤノとフラワーは感心の声を上げている。こ、この子たちは……。

 

 

「あっ、すみません。領域のぶつけ合いを初めて見たのでつい。私が領域を展開してる時ってもうレース終盤なので、他の方が発動した領域がどうなっているかというのを気にしている余裕がないんですよね」

「マヤはそもそもぶつけたこと無いしな〜」

 

 

『最初に抜け出したのはミホノブルボン!だがライスシャワーも追い縋る!熾烈なデッドヒート!先頭2人の鍔迫り合いだ!残り200!ライスシャワー並びかけて……並ばない!ライスシャワー抜け出した!先頭はライスシャワー!ミホノブルボン追い縋る!先頭はライスシャワー!脚色は衰えない!ライスシャワー!今1着でゴールイン!幸せの青き薔薇がここ京都に咲き誇りました!2着に入ったのはミホノブルボン!3冠の夢には手が届きませんでした!』

 

 

ライスシャワーが菊花賞に勝ち、ミホノブルボンの3冠の夢は砕け散った。勝負の世界は厳しいと感じたが、観客はそうではなかった。

 

 

「ミホノブルボンの3冠が見たかったのにな〜」

「あのライスシャワーって子、空気読んでよね〜」

「マジありえないんだけど〜」

 

 

観客が勝ったライスシャワーへとヤジを飛ばし始めたのである。勝ったライスシャワーはヤジを飛ばされ、顔を俯き辛そうにしている。

 

 

「勝負の世界なんだからこういうこともあるに決まってるじゃん。なんなのあの人たち」

「ほんとですよ。頑張って走ったブルボンさんにも、勝ったライスさんにも失礼ですっ」

「「イライライライラ」」

「ひっ」

 

 

それを見て怒り爆発寸前のマヤノとフラワー。しかし、あわや大爆発というところで救いが訪れた。

 

 

「ライスちゃ〜ん!おめでと〜っ!ウララはライスちゃんが絶対勝つって信じてたよ〜っ!」

 

 

ハルウララだ。自作?と思われる、デフォルメされたライスシャワーらしきものが刺繍されたタオルを精いっぱい振っていた。それを感じてライスシャワーは顔を上げて笑顔でハルウララに手を振り返し、控え室に戻っていった。

その後、ウイニングライブが行われたが、ライスシャワーの歌声に惹かれた自称お兄さまが大量生産されたのはまた別の話である。

 

 

 

 

 

 

 

「むほーっ!ライスさんのおかげでファングッズが大量!捗りすぎてたまりませんなあああっ!!!!!……ぐふっ」

 

 

そのさらに裏でデジタルが尊死していたのも別の話である。

 

 

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