【本編完結】お菓子作りが得意なトレーナーと、無慈悲するマヤノトップガン 作:出遅れ系トレーナー
???「あたしの扱い、あまりにもあんまりなのでは???」
『今年もやってまいりました、ジュニア級王者のウマ娘を決定する朝日杯フューチュリティステークス。ここ阪神で、選ばれた16人のウマ娘が走ります。本日の天気は曇り、昨日の雨により、バ場は稍重との発表です』
『天気、持ってくれるといいですね』
『さて出走するウマ娘を紹介していきましょう』
勝負スイーツのみかんのタルトを食べたデジタルが初めてのG1、朝日杯FSに出走する。タルトの出来はギリギリだったけど、背に腹は代えられないのでそのまま渡した。さて、G1ということでデジタルも勝負服を着ることになったのだが、それはピンクのヒラヒラスカートだった……。君たちホント好きね、ヒラヒラスカート……。
『さあ今日の主役はこの子を置いて他に居ない。1番人気アグネスデジタル、1枠1番での出走です』
『十分に気合が入っているようです。好走が期待できますね』
『ええと……?アグネスデジタルは、年間無敗のグランドスラムを達成したマヤノトップガンや、去年のトリプルティアラ路線を賑わせたニシノフラワーと同じチームとのこと。しかし、未だに彼女たちのトレーナーがトレーニング中にトラックやプールに現れたことが無く、その詳細は謎に包まれている、とのことです』
『……本当に存在しているのでしょうか?』
『トレーナーが居なければレースには出走できませんよ』
『それもそうでした』
『『はっはっは!』』
『実況と解説笑ってんじゃねー!!!』
『真面目にやれー!!!』
実況解説がふざけているからか、ヤジが飛び始めた。というか謎トレって何さ。私未だに知らない子扱いされてるの?
「で、デジタルは1枠1番か。デイリー杯のときは先行だったらしいけど、今回もそうするなら良い枠順引けたのかな?」
「え〜?最内だと前を先行する逃げの子が邪魔で抜け出し辛いよ?」
「確かに最内だとブロックが心配ですね」
「なんだって……!?」
早速無知を晒してる気がする。でもマヤノは臨機応変……気分で走るし、フラワーも最初は先行だったのに、マヤノに影響されてか逃げから差しまでの位置で走るしでもう何が何だか。作戦とは一体……?
「マヤの予想では今回のデジタルちゃんは大逃げ!実力的に頭3つぐらい抜けてるし、競り合わずに最後まで走り切れるペースで〜みたいな」
「う〜ん……G1なので他の方の勝負服を観れる機会ですし、追い込みでじっくりのんびり観察する可能性もあるんじゃないでしょうか」
「それもあるけど、1着賞金でグッズ買えば万事解決!お金の力は偉大ですぞ~!!!とか思ってそうじゃない?今までは賭ける側だったけど、今回は走るほうだもん」
「あ〜。なるほど、確かにそうですね」
『流石のデジたんでも、そんなこと思ってませんぞ~!』
「うわ、聞こえてる……」
2人の中ではデジタルがまともに走らないのは、もう決定事項か。普段個人個人に任せきりだけど、一体どんなトレーニングしてるのか、聞きたいような聞きたくないような……。
そもそもスピカ落としのマヤノの秋の天皇賞でとんでもない倍率の3連単獲ってたし、余ってそうだけど。
「ま、マヤたちがレースに勝ったとしても、賞金は担当トレーナーの許可が降りないと、トレセン学園卒業まで自由に下ろせないんだけどね。デジタルちゃん、きっと忘れてるけどさ」
「あはは……」
フラワーがさっきからこっちをチラチラ見ては苦笑してるけど、どうしたんだ?まさかご飯粒でもついて……ないな。
「(……あれ?私もフラワーに(へそくりがあるとはいえ)キャッシュカード握られてるし、もしかしなくともデジタルと同じ立場なのでは……?というか許可出してないのにマヤノやフラワーがチーム部屋の備品揃えたり、お菓子の材料の在庫管理してるのは一体……?)」
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『各ウマ娘ゲートインが完了……スタートしました!先行争いはアグネスデジタル、2番、8番。ああっと1番人気アグネスデジタル、ペースが速い!後続をどんどん突き放していく!』
『最後までスタミナが保つか心配ですが、これは作戦通りなのでしょうか!?』
レースが始まると、デジタルちゃんはハナを取って後続を突き放していった。最初の400mで2位の子と10バ身以上の差をつけての大逃亡劇だね。
「流石ですねマヤノさん。大正解ですっ」
「ありがと~。まあ当たっても何も出ないけどね~」
実況解説には破滅逃げだの垂れウマ確定だの好き放題言われてるけど、デジタルちゃんアレでも手抜きしてるよ。
「マヤが見た感じだと、ブルボンさんのレコードよりギリギリ上になるよう走ってるね。パパラッチ対策かな」
「大量のパパラッチ……学園の校門前封鎖……お風呂も入れず車中泊……うっ、頭が……」
「やたら早口で喋るトゥインクルの記者以外はヤバいよなあ(名前忘れたけど)」
「乙名史記者だよトレーナーちゃん……」
唯一のまともな記者さんなんだから覚えようね!
『さあ後続を引き離してアグネスデジタルが最終コーナーを回った!最終直線、最初に駆け抜けてきたのはアグネスデジタル!余裕の走りだ!後ろをグングン突き放して、これはセーフティリード!!!7番12番が懸命に追い上げるが全く届かない!残り200を切って先頭はアグネスデジタル!変わらない!!!』
『アグネスデジタル、今1着でゴールイン!圧倒的な実力差を見せつけ、レースを制した!』
はいおつかれ~。ということで撤収しましょ。
「トレーナーちゃん。帰る準備するよ~」
「え?え?もう帰るの?デジタルは?」
「フラワーちゃんがトリプルティアラ獲ったときと違って、今のデジタルちゃんだと厄介な記者から逃げきれないよ。デジタルちゃんは犠牲になったのだ☆」
「噓でしょ……?」
「嘘じゃないですよトレーナーさん。私、もうお風呂入れないのは嫌ですっ」
困惑するトレーナーちゃん。でも車中泊が本当に嫌だったのか、フラワーちゃんがトレーナーちゃんにウルウル攻撃し始めてる。
「マヤもお風呂入りたいよ~。トレーナーちゃ~ん、おねが~い☆」
「うっ……」
ということで、せっかくだしマヤも追加でお願い攻撃してみた。そしたらトレーナーちゃんの良識が、『お前たちの可愛さに負けるなら悔いはないさ』って言いながら爆散していったので、今日はこれにて撤収決定。そういえば来週はマヤの有馬記念だけど、どうやって走ろっかな~?