【本編完結】お菓子作りが得意なトレーナーと、無慈悲するマヤノトップガン   作:出遅れ系トレーナー

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アオハル杯編
チームスイーツ、ついに始動する


「で、どうしてデジたんは阪神レース場に置いてけぼりにされてしまったんでしょうか」

「「だってデジタルちゃん(さん)を待ってたらお風呂に入れないもん(ですし)」」

「しょ、しょんなっ…!」

 

 

デジタルの朝日杯の翌日、チーム部屋では置いてけぼりにされたデジタルがオーバーリアクションで崩れ落ちていた。実際にはそこまで悲しそうじゃないけど。というかそんなことばかりしてるからネタキャラ扱いされちゃうんじゃないかな……。

 

 

「話は変わりますけど、マヤノさんは今週末の有馬記念に出走するんですよね。あたしはホープフル出走するか悩んでますけども」

「うん、1番人気だったからね。春秋の天皇賞とジャパンカップ勝ったスぺちゃんに負けると思ってたけど、そうでもなかったみたい」

「有馬記念なら私も投票で4位に入っていたので出走は可能だったんですけど、同じチーム内で争う意味がないということで断っちゃいました。マヤノさん、私の分も頑張ってくださいっ」

「ふふ~ん。マヤにドーンと任せておきなさい!なんちゃって☆」

 

 

このあとめちゃくちゃ(マヤノが有馬記念を)疾走した。

 

 

 

──────────

 

 

 

 

「え、チームレース?何かなそれは」

「理事長の発案で、チーム対抗レースを開催するんだって。で、それをりこちゃんが監督。トレーニングの成果発表ってとこだね」

「うわあ。またあの人ですか……」

「あの人だね〜」

「「(りこちゃん……?))」」

 

 

デジタルのホープフルS、マヤノの有馬記念が終わり、年末の大掃除をやらなければならない時期になった。ホープフルSでもデジタルがまたしても大逃げして着差2バ身で勝利、有馬記念はマヤノが向正面から最終コーナーの間で大外からごぼう抜きだったんだが、レース中に

 

 

『ノンストップで大人なマヤの登場だよ!』

 

 

とか向こう正面で追走カメラに向かって言っていた。そんなこと言ってるから子どもに見られるんだよ、とは言わないでおいたが、実況と解説もあんな調子で大丈夫か?と言って困惑してた。トレーナーちゃんもそう思います。

そんなマヤノがチーム対抗レースの話をどこかから聞きつけてきた。

 

 

「ええと……チームって言いましても、マヤノさん、フラワーさんにあたし。うちには3人しかいないので単純に無理な話なのでは?3レースだけ出走して残りを棄権でも問題ないと言えばそうですけど、今の状態でシニア級相手に勝つのは正直厳しいんですよね」

「そうだよね……。でもりこちゃんがアオハル杯に出走しないチームはチーム部屋没収だって息巻いてるらしいからなあ。5人集めた方が無難かも」

「横暴すぎますよそれ。というかアオハル杯って大分前でしたよね。なんで今更なんです?」

「さぁ?」

「アオハル杯……?」

 

 

デジタルがアオハル杯とか言い出した。青春ってことかな。フラワーはわかってなさそうだけども。

 

 

「とりあえずフラワーちゃんが芝の短距離から2500mくらいまで、デジタルちゃんが芝ダート問わずマイルから中距離まででしょ?マヤは余った場所で良いけど」

「問題が山積みでどこから対処すれば良いか困りものですな」

「アオハル杯なんて久しぶりに聞いたし、そこまで準備してなかったもんね」

「うむむ〜」

「あの……。話の腰を折って申し訳ないんですけど、マヤノさん、デジタルさん。その……アオハル杯?っていうのは何でしょうか?」

 

 

事情をわかっているらしい2人が思考の海に潜る直前でフラワーがアオハル杯とやらについて聞いてくれた。話しかけるタイミングに困ってたから助かった。

 

 

「ああ、そっか。トレーナーちゃんとフラワーちゃんは知らないんだったね。えっと、りこちゃんが開催する5レースをまとめてアオハル杯って言うんだよ」

「流石に端折りすぎですよマヤノさん。アオハル杯はですね……」

 

 

デジタル曰く、レースは芝の短距離、マイル、中距離、長距離、ダートのマイルの5レース。各チームからそれぞれのレースに最大3人が出走でき、先に3勝したチームが勝ちだそうだ。9人立てでのレースなので、足りない人数はチームに所属していないウマ娘から立候補、居ない場合は抽選で選ばれるそうな。ちなみにりこちゃんとは理事長代理のことだそうで。……えっ?誰?

 

 

「ということなのだ☆」

「マヤノさんすっごくドヤ顔してますけど……説明したのデジたんなんですけど!?」

「まあまあ。でもその感じですと、私たちなら距離は臨機応変に対応出来そうなので、頭数だけ揃えば大丈夫そうですね。トレーナーさん、伝手はあるんでしょうか?」

「私は」

「トレーナーちゃんに伝手があるわけないじゃん。あるならもっとスカウトしてるでしょ」

「………」

「と、唐突な火の玉ストレート……」

「あまりにもあんまりですけど、言われてみればトレーナーさんですしね……」

 

 

マヤノたちにいぢめられたから不貞寝しよ。おやすみ。

 

 

 

━━━━━━━━━━

 

 

 

「第1回!チーム『アンタレス』臨時メンバースカウト大会の開催だよ☆」

 

 

りこちゃんをなんとかしないとチーム部屋取り上げられちゃうから対策をしなきゃ!ということでフラワーちゃんとデジタルちゃんに、それぞれ臨時で呼べそうな子に声を掛けてもらったの。今日はその結果発表!

 

 

「あれ?そういえばこのチームって名前あったんですね。私ここに来てもう3年目ですけど、全然知らなかったです」

「チーム部屋を借りるのに必要でしたので、あたしの方でその時に申請しておきました」

「なるほど、そうだったんですね。アンタレスですと……蠍座ですか。なんでそれを選んだんでしょうか?」

「そういえばマヤも知らないや。なんでなの?」

 

 

この部屋に備品を持ち込んでるのはほとんどマヤだけど、借りてるのはデジタルちゃんだったね。

 

 

「それはもちろん決まってます。マヤノさんがプレッシャーを掛けて、じっくりねっとり他のウマ娘ちゃんのスタミナを削る。それでバテてゴールすら危うい状況になるウマ娘ちゃんたちが毒にやられたように見えるからですぞ!」

「え〜っ!?」

 

 

確かにマヤは勝つためにはそこそこ何でもしてきたけど、毒なんて持ってないし盛ってないのに!

 

 

「まあチームの名前の由来は置いておくとして、あたしの方で呼べそうなウマ娘ちゃんに声をかけたのですが……あたしの知り合いはリギルの所属ばかりで、断られちゃいました。唯一フリーなタキオンさんは足を壊して引退しちゃってますし」

「私の方もダメでした。ブルボンさんは菊花賞での無理がたたったのか太ももの張りで療養中、バクシンオーさんは委員長として全レースで人数不足を解消させる予定です!すみません!!!とおっしゃってましたので……」

 

 

マヤが積極的に隠しているのもあって、知名度が低いもんなあ。チーム部屋もスピカやリギルと離れてる別棟だし。マヤはず〜っとトレーナーちゃん一筋だから関係ないけどさ。

 

 

「あれ?そういえばセイウンスカイさんは?よく一緒にいるでしょ」

「えっと、スカイさんは屈腱炎が治ってないから太平洋で海釣りするのだ〜って言ったきり連絡取れてないんですよね……。心配ではあるんですけど、便りがないのは良い便りとも言いますし、大丈夫かとは思いますけど」

「ふ〜ん?」

 

 

おかしい。トレーナーちゃんのお菓子を差し入れしたから屈腱炎は完治してるはず。とするとサボりかな。アテに出来る戦力として期待してたから、ちょっと残念。

 

 

「マヤノさんはどうだったんです?」

「こっちも全然。マベちんもローレルさんも予定が合わないってさ」

「思ったより状況が厳しいですね……」

 

 

まさか全滅とは思わなかったよ。う~ん、どうしようかな~。

 

 

 

──────────

 

 

 

「すみませ~ん。レースに出るだけでウマスタ映えする素敵なお菓子が……。ってあれ?マヤちゃんにフラワーちゃんだ」

「えっ、カレンちゃん?突然どしたの?」

 

 

後日、チーム部屋でフラワーちゃんとショートケーキをつつきながらアオハル杯対策の相談をしてたら、カレンちゃんと、カレンちゃんの同室のアヤベさんが訪ねてきた。ちなみにデジタルちゃんは日課のウマ娘ちゃん観察とやらでいない。ホントはこういうときはいて欲しいけど、生きがいなら仕方ないもんね。

 

 

「実はお散歩してたアヤベさんが花壇の周りで臨時メンバー募集の貼り紙を見つけたらしくて、そこに載ってた地図を見て来たんだ〜。アオハル杯のメンバー集めで困ってます〜って感じの。その様子だとまだ締め切ってなさそうだね」

「うん?うん、まだだよ。というか花壇ってことはフラワーちゃんが貼ったの?」

「はい。メンバー集めうまく行かなかったですし、少しでも可能性があればなって。でも目立ちすぎても困るので、普段人が行かない場所にしたんです」

「なるほど~」

 

 

お花の世話してるエアグルーヴさんとフラワーちゃんしか普段通らないもんなあ、あの辺。

 

 

「でもアヤベさんがこういうイベントに参加するって珍しいね。いつもストイックにトレーニングしてるイメージあるけど」

「ああ、それはね……」

「写真に載ってたマカロン……ふわふわ……。すごく欲しい……」

「……とまあ、地図の隣に載せてあったマカロンのふわふわ具合にアヤベさんがメロメロでさ?トレーニングしてても上の空で危なっかしいから、事情を聞いてここにたどり着いたってわけなんだ」

 

 

アヤベさんがふわふわマニアなのは聞いてたけど、フラワーちゃんもすごい釣り方で募集成功させたね……。

 

 

「……でもあれ?カレンちゃんってチーム沼添所属じゃなかった?スイープちゃんとか龍王さんとか、あとはマスクしてる子と一緒の」

「あいつらなら無駄に騒ぎ立てやがったから、縄で縛って転がして……じゃなかった。えへへ♪ちゃ〜んとお話して、説得しておいたから大丈夫だよ♪」

「「((今縄で縛るとか転がすとか言ってなかった?))」」

 

 

一瞬闇カレンちゃんが見えたような気がしたけど、考えようとすると頭が真っ白になりそうだったのでやめておこっと。うん、きっと気のせいだし。

 

 

「じゃあ走るレースだけど、カレンちゃんやアヤベさんは何か希望はある?」

「カレンは短距離がいいな~。短距離なら自信あるし」

「私はどこでも構わない……。ダートはあまり自信ないけど」

「なら中距離で大丈夫ですか?カレンさんが短距離、私がマイル、アヤベさんが中距離、マヤノさんが長距離、デジタルさんにはダートを走ってもらえば枠を埋められますので」

「おっけーでーす」「わかった」

 

 

はい決まり!そんなわけで、臨時メンバーとしてカレンちゃんとアヤベさんが加わり、アオハル杯を待つことになったのだ。

 




やめて!トレーナーちゃんの特殊能力で、お菓子を作って絶好調バフを掛けられたら、全レース大差で勝負が付いちゃう!

お願い、負けないでりこちゃん!

あなたが今ここで諦めたら、ビターグラッセやリトルココンとのアオハル杯はどうなっちゃうの?

レースはまだ残ってる。ここを耐えれば、トレーナーちゃんに勝てるんだから!


次回、「りこちゃん絶望す」。レーススタンバイ!
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