【本編完結】お菓子作りが得意なトレーナーと、無慈悲するマヤノトップガン   作:出遅れ系トレーナー

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お前に負けるなら悔いはないさ……!



復帰するサイボーグ

「今日も絶好のレース日和だよトレーナーちゃん!」

「そうだねぇ……」

「どしたのトレーナーちゃん?元気ないね?マヤのおっぱい揉む?」

「……揉むって言ったらどうするの?」

「揉んでもらった既成事実で結婚する!」

「の~うぇい!!!」

「えぇ~っ!?なんでぇ~っ!?」

「……何やってるんですかねこの2人は」

「いつもの病気じゃないですか?」

 

 

大阪杯が終わって1週間後の阪神ウマ娘ステークス。マヤノさん曰く、レース金策は基本中の基本だよフラワーちゃん!だそうです。一体何を言っているんでしょうか。

 

 

「でも、トレーナーさんは割と限界に見えちゃいますね。マヤノさんのことを心配しすぎて、夜もあまり眠れてないみたいですし。当の本人はいつも通りですけど」

「あたしとしましては、このままほっといてもこれはこれで面白いから良いんですが、レースに出走する度にこれですと、そのうちトレーナーさん倒れますね」

「やっぱりデジタルさんもそう思いますか?」

 

 

どうにかする方法は無いんでしょうか?

 

 

「まあそうはいってもマヤノさんの方も今年でトゥインクルシリーズは引退するそうですし、賞金を稼ぎたいのは理解できますが」

「えっ、マヤノさん引退しちゃうんですか?」

 

 

レースでも成績残してるのに……?

 

 

「何だかんだで、もう5年ですしな。フラワーさんはまだ3年目でしたか。マヤノさん、戦績が凄すぎて他のウマ娘ちゃんが重賞ウマ娘になれないから〜と、だいぶ前からURAの方からドリームトロフィーリーグ移籍の打診があったみたいですからな。そっちも賞金は出ますけど、半年に1回しかありませんので。稼ぐなら今しかないってわけです」

「それで片っ端からレースに出走してるんですか」

 

 

こう言ってはアレですけど、3冠ウマ娘が優先出走枠を取るわけでもないレースを何でもかんでも勝利するのは、悪質な荒らしに思われてしまいそうです。

 

 

「それじゃあマヤ、頑張って走ってくるからね。トレーナーちゃん、マヤの応援よろしく☆」

 

 

しかし当のマヤノさんは何も気にせず、トレーナーさんにギュッと抱きついてからパドックに向かっていきました。抱きつかれたトレーナーさんは、一気に元気を取り戻したように見えます。体調の乱高下が激しすぎますね……。

 

 

「トレーナーさん。ロリコンは病気なので、早く治した方が良いですぞ」

「いきなり酷くない!?」

 

 

あ、レースは最初からフルスパートをしたマヤノさんが大差で勝ちました。マヤノさんにはマイルは短すぎますからね。

 

 

 

━━━━━━━━━━

 

 

 

「ミホノブルボンのお見舞い?」

 

 

お昼休みの時間帯に春の天皇賞用のイチゴミルクレープの試作をしていたら、ライスシャワーが1人で訪ねて来た。ハルウララと一緒じゃないのは珍しいかな?部屋に来て開口一番にお見舞いのお菓子を作ってください!って言うから何事かと思ったけど、どうやらミホノブルボンに何かあったらしい。

 

 

「そ、そうなんです。ブルボンさん、菊花賞のときに足を怪我してしまったらしくて、それがかなり酷かったらしくて、ずっと面会謝絶だったんです。でもでも、最近になってようやくそれが解けたので会いに行ったんですけど……。そしたらブルボンさんのトレーナーさんが、ブルボンさんはもうレースに出られないって言ったんです」

「へ~、そうだったの」

「だからライス、ブルボンさんに気分だけでも元気になって欲しくて、お見舞いを渡したいなって。けどその……今まで食べた中で1番美味しいお菓子は、マヤノさんのトレーナーさんが作るお菓子だ~って思って、それで……っ!」

 

 

いやライスさん近い、近いってば。こんなとこマヤノに見られたら怒られちゃうから、ちょっと離れてねごめんね。

 

 

「なるほどなるほど。友達想いでいいと思うよ。ただ、私としても作ってあげたいんだけど、余ってる在庫がないんだよね」

「ざ、在庫ですか?マヤノさんやフラワーさんがいっぱいレース勝ってるし、トレーナーさんお給料たくさん貰ってるからいっぱい用意してあるんじゃ……。あれ?でもそう言われてみると、以前来た時には小麦粉の入った袋が山積みでしたけど、今は無いですね……?」

「いや~、実はマヤノにクレカ、フラワーにキャッシュを没収されててさ~。お金持ってても自由に引き出せないんだよこれが」

「ふえ?た、担当の子にカード握られちゃってるんですか……?」

 

 

ライスシャワーにジト目で見られてしまった。そ、そんな目で見ないで!?悪気は無かったんだ!バレないと思ってたけど!でももし今度また勝手にカード作ったりしたら、バレた時フラワーからのお説教が何時間になるか……。うっ、頭が……。

 

 

「あの、その……。だ、大丈夫ですか?お顔が真っ青ですけど」

「いやいや気にしないでハハハ……」

 

 

目から青い炎を出しながら笑顔で叱ってくるフラワーなんて居なかったんだ。

 

 

「とりあえず、ライスシャワーもお小遣い制だろうから今すぐ材料買う資金は用意できないだろうし、まずはマヤノかフラワーを呼んでこないとダメっぽいかな。材料費は後で経費で落とすから問題ないと思うけど、今すぐってのはちょっと厳しいからさ。わざわざ来てくれたのにごめんね」

「いえ!ら、ライスがいきなり来ちゃったから……!でも、また来ますねっ!」

 

 

そういってライスシャワーは帰っていき、放課後マヤノとフラワーを連れて戻って来た。あれ?デジタル何処行った?え、ウマ娘ちゃん観察?あ、そう。いつものね……。と、とにかく2人に事情は説明済みらしく、勝負スイーツの材料に加えて追加で材料を発注をすることに。ヌマゾンスライムパワーで翌々日には材料が揃うから、準備をしておかなきゃだな。

 

 

「そういえばリクエストとかあったりするの?」

「リクエストですか……?」

「そうそう。ミホノブルボンの好物とか分かれば、より喜んでもらえるでしょ?」

 

 

贈り物は贈り先の好きなもので、出来れば食べれるモノがいい。残るものだと何かの理由で整理しなくちゃいけなくなった時に困るからね。

 

 

「えっと……。あ、そういえばブルボンさん、果物だとりんごが好きって言ってました」

「ほほう?りんごが好きなのか。……そうか、りんごか。でも時期が……うーん」

「りんごは微妙な時期だよね〜」

「そもそも春だと果物はあまり無いですもんね。ほとんどが秋から冬ですし」

「ふええ……」

 

 

まあ時期じゃなくても美味しければ良いわけだし、追加で注文しておくか。これとこれと……おっ、これも良いな。

 

 

「トレーナーさん?」

「ん?」

 

 

楽しくショッピングしてたらすぐ後ろに笑顔のフラワーが。

 

 

「買いすぎはダメ、ですよ?」

「は、はいっ」

「ふええ……!め、目から青い炎が出てます……!」

「……レースのときのライスさんも同類だからね」

 

 

危なかったけど、なんとか許されたらしい。まあバレなきゃ大丈夫だし、ちょっとだけなら……ひっ!?さ、寒気が!?

 

 

 

━━━━━━━━━━

 

 

 

「ブルボンさん!」

「ふむ?そんなに慌ててどうかしましたか、ライス」

「こ、これ!お見舞い、ですっ!」

 

 

後日、ライスはブルボンさんの病室を訪ねました。お見舞いはマヤノさんのトレーナーさんから作ってもらった特製タルトタタンです。美味しく作れたはずだから、きっと喜んでもらえるよ、とおっしゃってました。

 

 

「タルトタタン、ですか。これを私に?」

「うん。ブルボンさん、前来た時に元気なかったもん。だからライス、ブルボンさんに元気になって欲しいなって思って、お見舞いを持ってきたの」

「そうですか。……ふふっ。ありがとう、ライス。早速頂いても?」

「う、うん」

 

 

そしてブルボンさんはライスが持ってきたタルトタタンを食べてくれました。きっと元気になってね……!

 

 

「っ……!?」

「ぶ、ブルボンさん?」

 

 

するとブルボンさんは目を見開いて、寝ていた耳をピーンって立てちゃいました。ど、どうしちゃったの!?

 

 

「……ライス」

「うん?どうしたのブルボンさん」

「春の天皇賞で会いましょう」

「……ふえっ?」

 

 

 

━━━━━━━━━━

 

 

 

『春の3冠路線第2弾!最長距離G1、天皇賞春!18人のウマ娘が挑みます!』

『天気も良く、最高のレース日和と言えるでしょうね』

『今回はG1優勝経験のあるウマ娘18人ということで、大混戦が予想されますね!またメジロマックイーン、トウカイテイオー、スペシャルウィークの3人はこの春の天皇賞を走り終え次第、ドリームトロフィーリーグへと移籍するそうです。したがって、トゥインクルシリーズで彼女たちの走りを見られるのはこれで最後です!』

『全員、悔いのない走りをしてほしいですね』

『そうですね!それでは出走するウマ娘を見ていきましょう!まずは1枠1番、昨年のクラシック2冠ウマ娘、5番人気ミホノブルボンです』

 

 

「あれ?ミホノブルボンは足を壊して2度とレースに出れないんじゃなかったっけ?」

「そう聞きましたけど……?もしかすると、この前のライスさんの祈りが通じて、奇跡的に回復したのかもしれないですね」

「なるほどな〜」

「(で、デジたんの知らないところでインチキ療法が行われていたとは……。このデジたんの目をもってしても以下略)」

 

 

今日のマヤノさんは8枠17番。この前一緒にトレーナーさんのお部屋に行ったライスさんは8枠18番で、ブルボンさんが1枠1番です。

 

 

『各ウマ娘、ゲートイン完了……スタート!各ウマ娘、綺麗なスタートを切りました。ミホノブルボン、快調に飛ばしていきます。各ウマ娘の動きを見ていきましょう。先頭は相変わらずミホノブルボン。横にセイウンスカイ。3バ身離れてメジロマックイーン。その後ろライスシャワー。さらにトウカイテイオー。内からビターグラッセ。2バ身離れてリトルココン。内から内からスペシャルウィーク。外を回ってハッピーミーク』

 

 

「え、ハッピーミーク?誰それ?」

「「えっ?」」

「ん?」

 

 

トレーナーさんがハッピーミークさんを知らないそうです。桐生院家の令嬢が白毛のウマ娘を担当って一時期話題になったんですけど……。

 

 

「……ハッピーミークさんは桐生院トレーナーさんの専属ウマ娘ですよ、トレーナーさん」

「え?あ、ああうん。そうなんだ」

 

 

スピカの沖野トレーナーとは面識あったみたいですけど、リギルのハナトレーナーと話してるところは見たことがないですし、もしかして……。

 

 

「トレーナーさん、ウマ娘だけでなく人間のお友達も居なかったんですね……」

「ぐさあっ!?」

 

 

交友関係の狭さに驚いて正直な感想を言ってしまったら、トレーナーさんは膝から崩れ落ちてしまいました。

 

 

「ちょ、いじめは良くないですぞフラワーさん。これでも一応あたしたちの担当トレーナーさんですからね」

「い、いえっ。そんなつもりじゃ……。でも、かわいそうだなって思っちゃって……」

「ぐさぐさあっ!?」

「あ、倒れた」

 

 

ついに顔から倒れてしまいました。わ、私は悪くないですっ!?そうこうしているうちにレースは2周目の向正面に。先頭はまだブルボンさんですか。

 

 

『2周目の向正面、先頭は相変わらずミホノブルボン!2度目の淀の坂もなんのその、メジロマックイーンがここで上がってきたぞ!さらにライスシャワーもスパートに入った!ミホノブルボンがやや遅れてスパートに入ったが、一気に加速してメジロマックイーンを突き放していく!』

『先頭をキープしながら脚を残していたのは流石の2冠ウマ娘と言えますね』

『しかしミホノブルボンに追走していたセイウンスカイはどんどん垂れて後続を巻き込んで行く!これは大混戦!1番人気マヤノトップガンは大外だ!マヤノトップガンが大外から飛んできたぞ!』

『セイウンスカイが垂れるのを読んでいたかのような位置取りです。年間無敗グランドスラムの覇者は今日も勘が冴えていますね』

 

 

「セイウンスカイ殿がまた垂れておられるぞ」

「ええっ?そんなにスカイさん垂れてないと思いますけど……」

「いやいやフラワーさん。そこは、奴は黄金世代でも最弱、と返すところですぞ!」

「でもさデジタル、みんな距離適正があるから一概に言えないんじゃない?」

「それを言ったら最弱でもなんでもないですけどね。ただ、少なくともG1に限って言えば皐月賞と菊花賞以外だと垂れてるんですよね……」

「うーん……そうだったっけ?」

「トレーナーさんはレースを見なさすぎですよ本当に……」

 

 

スカイさんも緊張されていたんですかね?話は戻り、レースの方はブルボンさんが先頭、1バ身差でライスさん。その後ろ2バ身差くらいでマックイーンさん。その外からマヤノさんですか。大外回らされた分、このままだと届きそうにないですけど、どうなさるんでしょうか?

 

 

 

──────────

 

 

 

『最終コーナー、最初に駆け抜けてきたのは』

 

 

「起動開始、リミッター解除。セット、オールグリーン……!ミホノブルボン、リスタートッ!」

「誓います。大好きな人と、幸せの青い薔薇に……。ライスだって、咲いてみせるっ……!」

 

 

『ここでミホノブルボンとライスシャワーが領域をほぼ同時展開!先頭2人の鍔迫り合いだ!互いに1歩も譲らずゴールへ向かっていく!メジロマックイーンは伸びが苦しい!そのメジロマックイーンの横を今マヤノトップガンが』

 

 

うわ、ブルボンさんの領域変化してるじゃん。相変わらずトレーナーちゃんのお菓子効きすぎでしょ。マヤもちょっとだけ本気出さないと、いつものように流しても届かないね。まあ幸いにもマックイーンちゃんが目の前にいるから領域は問題なく展開出来そうだけどね。

 

 

「おっまたせ~☆マヤのハートをブーケに込めて~。ん~、ギュッ☆幸せみんなに届け~☆」

 

 

『さあマヤノトップガンが領域を展開して飛んできた!ぐんぐん差を詰めているが残り200mしかない!ミホノブルボン粘る粘る!ライスシャワーも負けじと前へ出る!マヤノトップガンが距離を詰めているがこれは届くのかどうだ!?3人並んでゴールイン!!!』

『写真判定、時間かかりそうですね』

『いえ……勝ったのはマヤノトップガン!大接戦を制し、見事春の盾の栄誉を得たのはマヤノトップガン!2着はミホノブルボン!3着に入ったのはライスシャワー!』

 

 

「流石ですねマヤノさん、完敗でした」

「ブルボンさんも復帰レースなのによく粘ってきたね」

「ライスからのお見舞いが良く効いたようです。しかしあのお見舞いはいったい……?」

「秘密だよ☆」

「ひ、秘密、ですっ!」

「……そうなのですか?」

「そ、そうなの!」

「ふふっ、そうですか」

 

 

ブルボンさん、ライスさんがわたわたしてるのをすごく楽しんでるみたい。ライスさんも困ってるけど、それよりも楽しそうだからこのままでいいか。そういえば赤青が勝つだの言ってたけど、全然見なかったなあ。

 

 




ブルボン復帰のタイミングに悩んだ結果、春天でさっさと復帰させることに。怪我でシリアスさんが始まるなんてことはなかったんだ。
スぺ、マックイーン、テイオーはこれで引退して、ドリームトロフィーリーグへ移籍。つまりトレーナーちゃんからのお菓子攻勢から逃げきれ……?
赤青コンビはセイウンスカイに盛大に垂れられて2桁順位、マヤノが見てないのも当然でした。





公式がドリームトロフィーリーグの設定投げ捨ててるから、雑に有効利用しても問題ないですよね(すっとぼけ
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