【本編完結】お菓子作りが得意なトレーナーと、無慈悲するマヤノトップガン 作:出遅れ系トレーナー
新年あけましておめでたいウマ娘たち
「トレーナーちゃん!あけましておめでとう!」
「こんばんは。あけましておめでとうございます、トレーナーさん」
「あけましておめでとう。2人とも、着物がよく似合っているよ」
「えへへ~。褒められちゃった」
「ふふ。ありがとうございます」
今日は元旦。私たちは新年の挨拶をしにトレセン学園近くの神社に行くことになっていた。参拝するなら3女神の像が校内にあるが、それとこれとはまた別の話らしい。私はいつもの目立たない服だが、マヤノはオレンジ色に向日葵柄、フラワーは黄色に雛菊柄の着物を着ている。2人ともかわいく、すごく似合っていた。
「トレーナーちゃんはいつもの服だね」
「うん。あまり目立つと何されるかわからないし」
「晴れの日なので、ちょっと勿体ない気もしますけど…。先日の有馬記念のマヤノさんのファンの様子からすると仕方ないかもですね。過激なファンもいるんだなって驚いちゃいました」
「マヤノのグッズはプレミアついて高騰してるらしいからね。ファン投票券相当積まないとグッズを入手できないんだとか?」
「あー、それね。マヤの大きいぬいぐるみを限定生産にしてもらって、プレミア付けて要望を通しやすくしてるの。転売されないように、当選者の名前でマヤのサイン入りなんだ~。でも、いっぱいサインするのって飽きちゃうし、マヤの時間は出来る限りマヤの自由に使いたいから、毎回100個限定。それでも名前同じ人に向けて転売する人が居るらしくて、なんかアホくさくなっちゃってからは気にしないことにしてる。缶バッジとかは量産されてるみたいだけど、そっちの管理はURAにお任せしてるからよくわかんないや。グッズ販売の利益はマヤたちのとこにはほとんど入らないからね」
URAの事情に詳しすぎるマヤノの説明に、口が開くばかりだった。知らない間に色々と調べ尽くしているんだな。
「よく考えてるんですね。私はどうなるかわかりませんが、もしグッズが出るときには参考にしたいと思います」
「限定生産戦法は重要だよ!」
「はい、わかりました」
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「日の出前の暗い時間に来たのに、かなり混んでますね。去年はそうでもなかったですけど」
「マヤノが通ってるトレセン学園が近くにあるから、マヤノがここに来るのを期待して昨日から張ってるのが居るみたいだ。マヤノをプリントした自作ハチマキ巻いて、道にシート敷いてるのが何人かいるし」
「そんなことされても、ぜんっぜん嬉しくな~い!道を塞いで他の人の邪魔や神社の人の迷惑になることはしちゃダメだよ!も~!どうしてああいうのばかりなんだろ!」
マヤノは自称マヤノファンの身勝手な行動にぷりぷりおかんむりだ。ぷりぷりマヤノの機嫌を直すため、綺麗にセットされた髪を崩さないように頭をなででなだめていたら、マヤノが急に顔を上げてきた。
「マヤ、もー怒ったから!トレーナーちゃん!フラワーちゃん!ちょっとこっち来て!」
「ちょ、マヤノ!?」
「マヤノさん!?そんなに引っ張らなくてもついていきますよ!?」
私とフラワーの手を引っ張って並んでいた列を抜け出したマヤノは、シートを敷いてる人たちから姿だけが見える位置に来た。
「トレーナーちゃん、だ~~い好き☆」
そして、その人たちから顔を見られないよう、顔を私に押し当てて抱き着き、大好きアピールをしてきた。と、尊死してしまう…!マヤノかわゆすぎだろ…!
「え、えっと…だ、だ~い好き」
そして、何かを察したフラワーもマヤノを真似て抱き着いてきた。この子たちかわゆすぎるんだが…!そうか、ここがこの世の天国か…。わが生涯に一片の悔いなぐぇっ!
「トレーナーちゃんが死んじゃったら困るので、悔いてね☆」
「締まらないですね、本当に…」
あちらに導かれそうになった私だが、連れていかれる直前にマヤノの腹パンを食らって無事蘇生した。危なかった…。そして道にシートを敷いていた連中は、大ダメージを受けてひれ伏していた。
「こっちからは隠れて顔は見えないけど、絶対にかわいい子たちから大好きアピールとか独り者にはきつすぎる!」
「くっそー!リア充爆発しろー!」
「お前に負けるなんて悔いしかないさ!」
そして体力が回復したやつから恨み言を吐き捨てながら逃げて行った。最後の1人派手に爆散したけど、塵も破片も残さず綺麗に消えたな。どこに行ったんだろう。
「悪党撃退だね!マヤちんだいしょ~り☆」
「ちょっと恥ずかしかったですけど、きっとこれでよかったんだと思います」
「私は尊死しかけたけどまあいいか」
道を塞いでいた悪党(?)が去って、順調に列が進み始めたのを確認。私たちは最後尾に並び直して無事参拝を終えた。マヤノは『今年の出るレース全部勝っちゃうからね☆』と、フラワーは『メイクデビュー負けないように頑張ります!』と、それぞれ決意表明していた。私からは2人が頑張れるように精一杯おいしいお菓子を作ります、とだけ。
「参拝も終わったし、おみくじ引きにいこうよおみくじ!フラワーちゃん一緒に行こ!トレーナーちゃん!お小遣いちょーだい!」
「おみくじですか、いいですね…って。え、お小遣い?マヤノさん、レースの賞金管理してないんですか?」
「ん?マヤの賞金はトレーナーちゃん任せだよ。マヤが持ってると際限なく使いたくなっちゃうから、必要な時に使えるよう管理してもらってるの」
「へ、へぇ~…(似た者同士だったんですね。そういえばジャパンカップのときのお祝いの超特大ケーキ、材料費トレーナーさんのお給料から出してるとか言ってましたし…どうしてこの2人結婚してないんでしょう?)」
フラワーがすごい微妙な顔でこちらを見てきたけど、マヤノに連れられておみくじを引きに行った。2人についていった私も、せっかく来たのだからとマヤノに押し切られておみくじを引いた。末吉だった。微妙だったけど、おみくじなんてそんなものか。
マヤノは大吉。願望、待人、失物、学問が良好、旅行だけが微妙でした。結果を見てトレーナーちゃんとのデート(仮)の予定をずらし、土砂降りの大雨を回避しました。そもそも天気はマヤノお得意の勘で当てられるので、あまり意味ありませんでした。
フラワーは吉。健康、願望が良好。つまりそういうことです。
トレーナーちゃんは抱人だけ良くて、他は微妙でした。