【本編完結】お菓子作りが得意なトレーナーと、無慈悲するマヤノトップガン 作:出遅れ系トレーナー
「それじゃあトレーナーちゃん、また後でね」
「うん、行っておいで。フラワーもトレーニング頑張ってね」
「ありがとうございます。行ってきます」
今年は私のメイクデビューが控えているので、本格的にトレーニングを始めることになりました。と言っても、トレーニングのメニューは私たちウマ娘に任せきりで、トレーナーさんは自室で待っているだけですけども。『舌がとろけるほどトレーナーちゃんが作るお菓子はおいしいし、食べると元気が出るの!』ってマヤノさんが言うし、実際その通りだったので、トレーナーさんの所に所属したのは後悔はしてないんですけど…。本当にこのままでいいんでしょうか、という気持ちになります。他の人たちはトレーナーさんからトレーニングのメニューを渡されていましたので。
「そんなに心配しなくてもだいじょーぶだよ。ちゃんとトレーニングすれば、フラワーちゃんならティアラ路線なんて楽勝だよ!」
「そ、そうでしょうか…?」
「うんそうだよ!」
自信満々にマヤノさんは言い切りますけど、やっぱり私には不安しかありませんでした。そして、いざこれからトレーニングを開始しようという時でした。マヤノさんが唐突に切り出したのです。
「それじゃあフラワーちゃん、今から本格的なトレーニングを始めるわけだけど。それはそれとしてまずは3女神様の所に行こうか」
「え?まだ何もしてないのにいきなり神頼みするんですか…?」
「そゆこと。まあ騙されたと思って気にせず行ってみよっか」
「えぇ…?」
私はトレーニングの前にマヤノさんに連れられて3女神様の像のところまでやってきました。いつ見ても神々しいですけど、こんなところにきてどうするんでしょう。
「あ、あ~。3女神様、聞こえてますね?いつものアレをお願いします」
「いつものアレ…???」
「うん、アレ。それじゃあフラワーちゃん。行ってらっしゃ~い」
「ちょ、ちょっとマヤノさん!?きゃあっ!?」
そして私はマヤノさんに背中を押されて女神像に向けて倒れこんでしまいました。ぶつかってケガをしてしまうというという恐怖で、私は目を瞑ってしまったのですが、ぶつかる衝撃が来ないのに気付いて目をゆっくり開けました。すると、そこは光が届かない何もかもが漆黒の暗闇の中でした。
「何でしょう、ここは。さっきまでトレセン学園に居たのに…?」
誰もいないし何も見えないことに不安を覚えていると、突然光をまとった何が横を駆け抜けていきました。その光に誘われて私も駆けだすと、光の先で何かが起きたのです。
「これはいったい…?」
「あ、おかえりフラワーちゃん。えっと…?なるほど、マルゼンちゃんとブライアンさんか。うん、正直ちょっと微妙な感じ。でもチャンスはまだあるし、阪神ジュベナイルフィリーズはマイルだし、今は問題ないかな?」
「???さっきから何を言ってるんです?」
「あぁ、こっちの話。それとさっきはごめんね。いきなり背中押しちゃって、びっくりしたでしょ」
「…そうでした!ひどいじゃないですかマヤノさん!ケガしちゃうとこだったんですよ!」
「ご、ごめんってば。それより今日はもう暗くなってきちゃったし、真っ暗になる前に帰ろっか」
「え?あれ?さっきまで明るかったのに!?」
言われて周りを見ると、辺りはすでに薄暗くなっていて、時計を見ると4時50分でした。もうすぐ夕飯の時間です!?よくわからない場所に連れていかれたと思ったら、トレーニングできる時間を過ぎちゃってるなんて。今日は運がないですね。仕方ないですけど、今日は諦めるしかなさそうです。
「明日はこんないたずらしちゃだめですよ!」
「あはは、気を付けるよ。それじゃ帰ろ~」
「まったくもう…」
どうやら反省していない様子のマヤノさんです。そのまま寮の前で別れましたが、きっとまた何かびっくり作戦をしてきそうです。けど、次はうまく回避しますからね。