夏やアキでも雪は降る   作:tokoya

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リコリスの現状

 

 

エリカは自室の机に突っ伏して眼を隠していた。

エリカは自分の情けなさで一杯一杯だった。

そんな時部屋の扉が開く。

入ってきたのはエリカのパートナー、ヒバナであった。

ヒバナはエリカの姿を見つけると笑顔を浮かべ話掛ける。

 

「エリカ、たきなと菜月が来てる」

「知ってる」

「じゃあもう会った?」

「菜月には会った。だけど話せなかった」

 

ヒバナは疑問に思った。

エリカは此処の所、例の2人と話すことしか頭になかった様子であったからだ。

 

「なんで?」

 

ヒバナが質問するとエリカは起き上がる。

顔が振り向くと、エリカの沈んだ眼はヒバナを見る。

 

「司令に止められた・・・」

「司令が?なんで?」

 

エリカは再び机に突っ伏して、その眼をヒバナに見えないようにする。

 

「・・・わかんない」

 

ヒバナは何故楠木がそんなことをするのか訳がわからなかった。

でもエリカは訳を知っていると思った。

何故エリカが嘘を吐くのかヒバナは理解ができなかった。

ヒバナは眼を細めた。

 

「エリカ・・・。私は菜月がどうやってあなたを助けたのか知らない」

「見てなかったからね」

「菜月はどうやってあなたを助けたの?司令に止められているから教えられない?」

 

エリカは飛び起きると、眼が見開いてヒバナを見つめた。

2人の間に沈黙の時間が流れる。

 

 

しかし沈黙の時間はすぐに破られた。

再び扉が開き、騒がしい声の主が部屋に入ってきたからである。

 

「ヒバナさん!あなたのお友達が摸擬戦やるんですってね」

 

エリカとヒバナは難しい顔をした。

 

彼女の名前は春風つくし。最近昇格したセカンドリコリスである。

サード時代はエリカやヒバナに対して敬意を払った態度をしてきたが、

セカンドに昇格して実績を伴うようになると2人に対して、馬鹿にしたような態度を

とるようになった。

菜月とは馬が合わないらしく、DA所属時代の菜月と言い争う姿をよく見かけた。

 

2人はつくしの言っている意味がよく分からないらしい。

ヒバナが口を開く。

 

「つくし?それってどういうこと?」

 

つくしはヒバナに対してワザとらしい態度を取った。

 

「あら?ヒバナさん居たのですね?これは気が付きませんでした」

「居たんだよ!で、どういうこと!?」

 

ヒバナはつくしを睨む。

しかしつくしはヒバナでは無く、エリカを見ながら答える。

 

「あら?知らないんですか?エリカさんが追い出した2人がフキさんペアーと」

「摸擬戦をやるんですって」

「つくし!」

 

ヒバナはつくしを怒鳴る、しかしエリカはつくしの話をよく聞きたいようだ。

 

「ヒバナ少し静かにして。つくしさんそれってホント?」

 

つくしはバカにしたように笑う。

 

「えぇホントですよ。しかも勝てば2人をDAに復帰させるらしいですって」

「しかも指令は慈悲深いのか3対2! まぁフキさんペアーとあの2人では」

「釣り合いませんものね」

「3対2って・・・。じゃあ菜月・たきなのペアーには誰が入るの?」

 

つくしはワザとらしく残念そうな顔をする。

 

「それが問題ですのよ・・・。どうやら電波塔の英雄。千束さんが入るんです」

「さすがのフキさんも部が悪いですわ」

「千束が!?」

 

ヒバナが叫ぶ。しかしつくしは無視して話を進める。

 

「エリカさんも迷惑ですよね・・・。これではエリカさんを撃ち殺そうとした2人が」

「戻ってきてしまいますよ」

 

遂に我慢の限界を迎えたのか、エリカが勢いよく立ち上がりつくしに向かって叫ぶ。

 

「たきなのことを悪くいわないで!私は生きてるでしょ!」

 

つくしはエリカの叫びを嬉しそうに見る。

 

「あら?どうしてですか?2人はあなたを殺そうとし」

「ましてはターゲットである武器商人を殺してしまったんですよ?」

「これはDAにとっても、あなたにとっても迷惑ではありませんか」

「ですが・・・」

 

エリカは過ちに気づいた。つくしがこの後何を言うのか分かってしまったのだ。

 

「さすがに菜月さんが可哀相ではありませんか。あなたから何もフォローがもらえないなんて」

 

しかしエリカは自分の事など最早どうでも良かった。

一刻も早く菜月とたきなの姿を見たくなり、エリカは部屋を飛び出した。

 

つくしは、部屋を飛び出ししたエリカを見て笑う。

 

「エリカさん?そんなに急いでも2人が負けることは変わりませんわよ」

 

そんなつくしを見てヒバナは軽蔑したように口を開く。

 

「あんた・・・。もう少し人の気持ちが分かるようになったほうがいいよ・・・」

 

つくしは笑いを大きくする。

 

「これは傑作ですわ!対して結果を出していないあなたから言われるなんて」

「まぁ・・・ファーストになったら考えますわ!あなたももう少し頑張ったほうが」

「いいのではありませんか?」

 

つくしはヒバナの回答を聞かず,笑いながら去っていく。

 

ヒバナは顔を歪める。

つくしの考えは一般的なリコリスと同じで、“実績最優先”。

 

 

DAのそんな現状にヒバナは少し嫌気がさした。

 

 

 

 

 

 

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