夏やアキでも雪は降る   作:tokoya

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結果良ければすべてヨシ

 

 

 

千束が倉庫にゴーグルを取りにいっている頃、キルハウスではフキとサクラは

何か相談事があるのか、話し合っていた。

菜月はというと、2人の様子を伺っていた。

2人はなにか決まったようで、話しを終えるとフキが菜月に声を掛けた。

 

「菜月、遅かったな。何をしてた?」

 

菜月は返答に困る。あまり話せない事をしていたからだ。

 

「まぁ・・・ちょっと」

 

菜月は返答を誤魔化した。

フキは「フーン」などと言う。この質問は本題ではなかったようだ。

フキはさらに会話を続ける。

 

「まぁいい。話は変わるが面白い話が有るんだ。多分絵空事だろうがな」

「面白い話?」

 

サクラは意を決したようにフキの前に出てくる。

サクラがフキの代わりに話しを続けるようだ。

 

「お前。電波塔の事件を知ってるっすよね?」

 

菜月は腕を組む。

 

「千束の奴でしょ?」

「そうっす。でも本当はヒーロー様は1人じゃなかったんすよね?」

「どういうこと?」

「あの事件。お前も関わってたんじゃないすか?」

 

 

 

 

 

 

あたしはゴーグルを持ってキルハウスに戻った。

また騒がしい。今度は菜月と後輩の子が喧嘩をしているようだ。

私は小走りで戻る。2人の声が大きくなる。なんか「人違い」だとか「そんなわけない」だとか言っているみたい。

あれ?これはチャンスなのでは?

菜月は喧嘩で夢中だし、無理やりゴーグル付けられるかも?

あたしは足を一旦止めると今度は泥棒の様に足音を消し菜月の背後に向かう。

背後を取れた!菜月は気付いてないみたい。

あたしは眼鏡のようなゴーグルを左右に広げると、菜月の顔の後ろに持っていく。

もう少し・・・!

 

「千束・・・私の後ろで何をしているのですか?」

 

菜月はゆっくりと振り向く。

気付かれてたか~。

あたしは無理やり付けるのを諦めて、ゴーグルをゆっくりと菜月に差し出す。

 

「千束・・・私は要らないっていいましたよね?」

 

言うと思った~。

仕方なくあたしは上を指さす。

 

「なんですか?」

「文句があるならあの人に言って「ルールを守らない奴には模擬戦はやらせない」ってさぁ」

 

菜月は舌打ちしながら上を睨む、もちろん上に居るのは楠木さんだ。

あたしが睨まれなくて良かった・・・。

そんな事を考えているとスピーカーから声が流れる。

楠木さんの声だ。

 

「準備はいいか?」

 

まだで~す!

 

「たきなが来てないですよ~!」

 

あたしは叫ぶ。

楠木さんにも声が届いたようで冷静な回答が帰ってくる。

 

「それでは3対2になるではないか。誰がそんな条件で模擬戦をする」

 

その回答を聞いた菜月は握り拳を作っていた。

ですよね・・・。

楠木さんは菜月に追い打ちをかける。

 

「どうした菜月?早くゴーグルを付けろ」

 

菜月は今にも殴りかかりに行きそうな勢いだった。

あたしは菜月の肩を抑える。

 

「しょうがないよ。あたし達だけでやろ?」

 

菜月は握り拳を作るのを辞め、溜息をつく。

そして諦めたようにゴーグルを付ける。

 

「かっこいいじゃん菜月!よく似合ってるよ!」

「でも弾が当たらなくなるんだよなぁ」

「どういうこと?」

「え~っとねぇ・・・」

 

菜月の返答を聞く前に再び楠木さん声がスピーカーから流れる。

 

「両組準備完了か?」

 

その声を聞いた菜月は当然大きな声を出す。

ビックリした~!

 

「なに!?どうしたのそんな声出して?」

「要はたきながいてさぁ~勝てれば良いんでしょ?」

「・・・えぇ?」

 

・・・なんのこと?

菜月が何を言っているのか分からない。

あたしが菜月に詳しく聞こうとする。

だけどあたし達の間にフキが入ってくる。

楠木さんに返答していない事だろうな。

後輩を宥めながらご苦労だねぇ。

 

「お前ら・・・準備はいいか?」

「はい!お~け~です!」

 

菜月は大きな声で返事をする。

その口調。一体いつ緊張が解れたのかねぇ・・・

 

緊張が取れた菜月は止まらない。あたしを置いて走り去っていく。

菜月の意図がまったく分からない。

 

「ちょっと菜月!どうすんの!?」

 

大声で聞く。

すると菜月も笑いながら大声で返してくる。

 

「千束はご自由に!わたしがなんとかするから!」

 

あたしは理解するのを諦めて歩きだす。

すると再び楠木さんのアナウンスが流れる。

 

「双方実戦だと思って挑むように。」

 

アナウンスを聞きながら歩いていると、ちょっと離れた先にフキの姿が見えた。

笑っている。

多分あたしも笑っていたと思う。

 

「それでは・・・始め!」

 

まぁ自由にやってやりますか!

 

 

 

 

 

 

ブザーが鳴るとすぐにクソがきがわたしを追いかけてくる。

 

「こらぁ!さっきは誤魔化しやがって!まだ話は終わってないっすよ!」

 

面倒くさいなぁ、まだ言ってるよ・・・

まったく・・・人違いも大概にしてほしいよなぁ。

 

どうやらクソがきは銃を使うのがうまいらしい。

わたしが行こうとしている先を予想して撃ってくる。

あまりに近くに当たるもんだから、壁に跳ねたインクがゴーグルに付く。

 

もちろんわたし反撃はしている

角で待ち構えてペイント弾を撃つ。見た目は芸能人を待ち構えているパパラッチみたいだ。

もちろんわたしの銃はパパラッチのカメラみたいに獲物を捕らえない。

あんなに撃ってるんだからは当たってくれればいいのに・・・。

しょうがないから精神攻撃に移る。

 

「わたしはお前の言っているヤツじゃないよぉ~」

「なにを!わたしは覚えてるんすよ!前みたいに小ばかにしやがって!」

 

あきらかに撃ってくる弾数が増えてる。

作戦成功だ! 

でも“覚えてる”ってなんのことだよぉ。

 

わたしはひたすら逃げてチャンスを伺った。もちろんわたしも出待ちをした。

ついにクソがきが弾倉から弾が無くなったのか鞄から新しい弾倉を取り出そうとしている。

 

チャンス!

 

わたしは全速力で壁の前に立っているクソがきに突撃する。

さすがに目の前で撃てば当たるでしょ?

クソがきの驚いた顏が近くに見える。

わたしは引き金を引く前から喜んだ。

 

ざまぁみやがれ!

 

わたしは引き金を引く。

悲しきかな・・・先程までわたしに弾を撃たせたくれた銃は死んだように何も反応しない。

わたしは天を仰いだ。

 

撃ち過ぎたぁ・・・。

どうしよ・・・クソがきは弾倉を変え終わってるし・・・。

 

わたしは当たりを見渡す。

する近くの入り口で扉を開けながら、たきながこちらを心配そうにこちらを見つめていた。

 

ラッキー!

 

考えていた事と違ったけど、たきなが来ているから万事OK。

わたしはそのままクソがきを通りこして壁に突進した。

 

 

 

 

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