暁のスイーパー 〜ガンスミスに花束を〜   作:さんめん軍曹

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こんばんは、さんめん軍曹です。
やっと獠ちゃんとラリーの邂逅にこぎつけることができました()
ここから彼らはどうやって島を脱出するのか。
今回はその前編となります。

それではご覧下さい!!


Checkout 〜獠とラリーの危険な脱出劇〜【前編】

 

 

「あなた、誰なの?」

「通りすがりのヒーローといったところさ」

 

ラリーの問いかけに、獠は澄ましたように答える。

 

「コルトパイソン…。噂は本当だったみたいね」

「おやおや。俺を知っているのかい?」

「噂だけね」

「光栄だね。このあとディナーでもどうだい?」

「あら。女性を誘うなら、まずはその銃口を下ろしてからにしてほしいわね」

「出来ることならそうしたいところだが、そういうわけにもいかなくてね」

「…このまま撃つつもり?」

「どうだか。試してみるかい?」

 

不敵な笑みを浮かべる男を前にして、彼女の頬を一筋の汗が伝う。

横で2人のやりとりを見ていたゴードンはこんなことをしている場合じゃないと口を挟もうとした。

 

その時だった。

 

「ジュウセイガキコエタゾ!」

「コッチダ、イソゲ!」

 

ラリーの後ろから多数の深海棲艦が姿を表す。

奴らの声に驚いたラリーは振り返るが、この状況を予見していた獠はすぐさま、

 

「隠れろ!!」

 

と叫ぶと同時に飛んで、彼女を陰へ押し倒した。

 

「いたた…」

「大丈夫か?」

 

敵からの銃撃が激しい中、パイソンで数発応戦しながらラリーを抱き起こす獠。

 

「私は大じょ…へ?」

 

自分の尻にくすぐったいような、妙な違和感を覚えてふと見ると、逞しい左手が彼女の尻を撫で回していた。

 

「いっ…?!」

「フム。どうやらもっこりヒップちゃんは無事なようだ」

 

信じられない!

その気持ちを拳にありったけ込めた彼女は、目の前の男の顔面に思い切り右ストレートを喰らわせる。

その威力は凄まじく、191.4センチメートルもある巨漢を吹っ飛ばして向かいの壁にめり込ませた。

 

「あんたこんな時に何考えてるのよ!最っ低!!信じらんない!!!」

 

怒りで我を忘れたラリーはつかつかと歩くと、通路で倒れている男の赤いシャツの胸倉を引っ掴んだ。

 

「何が通りすがりのヒーローよ!!ただの変態じゃないのよ!!」

「らりーひゃん、おひふいへ…」

「これが落ち着いてられるかっての!」

「オマエライイカゲンニシロ!!」

「「あっ」」

 

深海棲艦からの鋭いツッコミで我に帰る2人。

 

「しまったぁー…」

「ホンットサイテー…」

 

獠は持っていたパイソンを地面に落とし、無抵抗のサインを示した。

その様子を、獠たちのいた反対の陰から見ていたゴードン。

半ば呆れていた彼だが、床に落ちていたラリーの銃がふと目に入る。どうやら先程獠に押し倒された弾みで落としたらしい。

もう1度獠たちと化け物の位置関係をこっそり見直したゴードンは、意を決して陰から躍り出た。

 

「ラリー!」

 

叫ぶや否や、相手の頭上にある照明に向かって数発発砲。

火花を派手に散らして電球が割れると、その破片がばらばらと敵に降り注ぐ。

その一瞬の隙を見逃さなかった獠は、持ち前の身体のバネを活かしたパンチと回し蹴り、そして肘鉄などで深海棲艦たちを圧倒していった。

 

「ふぅ。間一髪だったな」

「ほぼアンタのせいじゃないの…」

「助かった。ええと、おたくの名前は…」

「ゴードンだ」

「あんたが篠原の言ってたパイロットか。冴羽獠だ」

「マサトは元気か?」

「相変わらずの悪運だぜ」

 

空軍中佐とスイーパーは握手を交わす。

 

「さて、外で俺の仲間達が待っている。急いでここを出よう」

「もちろんだ」

「言われなくてもそうするわよ」

 

次々と出てくる深海棲艦を始末しながら、出口へと向かう獠たち。

 

「ちぃっ!しつこいぜ全く!」

「ねえ」

「どうした?」

「あなたの銃、どう見ても普通のリボルバーなのにどうして奴らに効くの?」

「話すと長くなる。その話は鎮守府へ帰ってからだ」

 

先を急ぐ3人の前に、ようやく外の光が見えてきた。

 

「やっと出口だわ」

「油断するなよラリー。まだ敵はいるかもしれないんだからな」

「わかってるわゴードン」

 

一同はそのまま外へ出るが、獠がすぐに2人を静止する。

 

「待て。気配がする」

「ええ。うじゃうじゃいるわね」

 

ラリーが言うな否や、3人に向けて複数の投光器が当てられた。

月明かりに慣れていた獠たちは、あまりの眩しさに顔をしかめる。

 

「ムダナテイコウハヤメテブキヲステロ!ソウスレバイノチダケハタスケテヤル!」

 

出口を囲う大勢の深海棲艦。

はたから見ても多勢に無勢の状態であるが、獠は1人余裕の笑みを浮かべていた。

そして、前へゆっくりと歩みを進める。

 

「ちょ、ちょっと!?」

「大丈夫さ。こいつらに俺を撃てやしない」

 

あくまでゆっくりと時間をかけて近づく獠に、化け物どもは後退る事しかできなかった。

 

「トマレ!トマラナイトウツゾ!!」

「やれよ。楽しませてくれ」

 

獠の気迫に圧倒される深海棲艦。

彼らが目の前の男に向かって砲火を浴びせようと引金を引こうとした時、変化は起きた。

辺り一面に地響きのような音がこだまする。

 

「…なんの音?」

「ヘリのようだな」

「おいでなすったか」

 

暗闇の向こうから数機のリトルバードが飛び出してきた。

 

『お待たせなのね!どうやら間に合ったみたいなの!』

 

突然のヘリの襲来に驚く深海棲艦たち。

ヲ級などの空母が艦載機を出そうとするが、間に合わず林の中からの砲撃によって倒されていった。

 

「やっほー冴羽っち。無事に会えて何より」

「遅かったじゃないか北上」

「ごめんよー。ここまで来るのに手間取ったわ」

「まったく。冴羽さんはいつも無茶するんだから」

 

ムッとした様子の大井が愚痴をこぼす。

 

「まあまあ、それはお互い様って事で」

「援護するこっちの身にもなってください!間に合わなかったらどうするつもりだったんですか!」

 

大井からの鋭い指摘に思わずたじろぐ獠。

 

「大体!前に言いましたよね?北上さんを泣かせる真似はするなとあれほど…」

 

大の男が戦場のド真ん中で少女からお説教される光景は、あまりにシュールだった。

「す、すごい勢いね…」

「あはは。まーあの子はあんな感じだからねー。根は優しいんだけどね」

「ところで…あなた達が提督の言っていたアメリカからのお客様かしら?」

「うむ。アメリカ空軍中佐のゴードンだ。君達がマサトの言っていたカンムスか?」

「その通りよ。私は戦艦陸奥。それで、この子は…」

「あたしは雷巡の北上。あっちで冴羽っちに説教してるのが妹の大井。よろしくねー」

「私はラリー・ヴィンセント。シカゴでガンスミスをやっているわ」

 

お互いに握手を交わす。

その頃には、ヘリコプターは着陸して提督をはじめその他の艦娘達が降りてきていた。

 

「みんな、詳しい話は後だ。もうすぐこの島に深海棲艦達がわんさかと押し寄せてくるぞ」

「俺はホーネットを取りに行かないと。ラリーはどうする?」

「悪いけど1人で行って。私は戦闘機に乗るのはしばらくごめんだわ」

「こりゃ手厳しい…」

 

ゴードンは腰のホルスターからコルトM1911A1を抜くと、スライドを引いて弾を込めた。

 

「俺はひと足先にヨコタへ行く。無事だったらまた会おう」

「気をつけてなゴードン」

「ああ、大丈夫さマサト。ラリーをよろしくな」

 

腰を低くしたゴードンは、そのまま森の中へ消えていった。

 

「さて、俺らも船へ行くとするか」

「え?ヘリに乗るんじゃないの?」

 

ラリーが疑問を抱くのも当然だ。

海から行くよりも、空から行った方が手っ取り早い。

 

「ヘリは残念ながら艦娘たちで一杯なんだ」

「はい?」

「獠ちゃん空はあまり得意じゃないの。それに船なら時間をかけてもっこり出来るし…」

「えっ」

 

ここで獠はラリーの両手を取る。

 

「ちょ」

「さあラリーくん!今から船へ戻って、もっこり国際親善と行こうじゃないか!!」

「なっ」

「善は急げだ、行くぞラリー!!」

「い、いやああああああああ!!!!」

 

獠は目にも留まらぬ速さでラリーの手を引いて駆け出していった。

 

「…あとで香さんに言わないといけないわね」

「その心配はないぞ大井」

「?」

「船には頼れる秘書艦がいる」

 

 

「さあここだラリーくん!早く乗ってもっこりしようじゃないか」

「ま、待ってよミスター冴羽」

「怖がることはない。大丈夫、俺に身を任せてくれ」

「そ、それより後ろ…」

「へ?」

 

獠はゆっくりと後ろを向くと、そこには100tハンマーを振りかざした鈴谷が立っていた。

 

「うりゃあああああ!!!!!」

 

ハンマーに叩き潰される獠。それを目の前で見ていたラリーはへなへなと尻餅をつく。

 

「危ないところだったね。だいじょぶ?」

 

鈴谷から差し出された手を取り、彼女はゆっくりと立った。

 

「まあ…ね。あなたもカンムス?」

「うん。あたしは鈴谷!」

「助けてくれてありがとう。私はラリー」

「いいってことよ。それより急がないと奴らが来ちゃう」

「ミスター冴羽!早くしないと置いていくわよ!」

 

潰されっぱなしの獠を尻目に2人は船へ向かう。

それとほぼ同時に、甲高い音を立てながらホーネットが飛び立っていった。

 

彼女らも脱出をすべく走っていたが、物事はそう上手くは行かなかった。

静かに係留されていた船が、突如大爆発を起こした。

その後、立て続けに轟音が響く。

 

「なっ?!」

「どうやら遅かったみたいだね。…獠ちん」

「ああ。プランBだな」

「プランB?」

「今来た道を戻るぞ。鈴谷も北上たちと合流して、先にここから脱出してくれ」

「本当にいいの?」

「ああ。海坊主に連絡を頼む」

「わかった。じゃあ後でね」

「…死ぬなよ」

「なにそれ死亡フラグ?ガラにもないこと言うじゃん」

 

そう言いながら彼女は、どこからか取り出したボストンバッグを放り出す。

 

「一か八かの大博打なんだ。それくらい言いたくなるさ」

「とか言いながら自身大アリな目してるけどね。まあいいや、またあとでね」

 

そう言うと、鈴谷は別方向へ走り去っていった。

 

「さて。広いところはあるか?ラリー」

「着陸する時に見えたんだけど、反対側に灯台の跡地があるわ」

「よし。そこへ向かうとするか」

 

バッグを担いだ獠とラリーは、今来た道を戻っていく。

深海棲艦はすぐそこまで迫っていた。

 

 






いかがでしたか?
今回はセリフが多めになっております。
獠たちは広い場所で、いったいどんな脱出をするのでしょうか?
次回もお楽しみに!

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