不死身の俺は最後を見届けられたい。   作:曇らせ好きの一般男性

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移動手段は事前に用意

さて、そんなこんなで今、墓石の前で地図を広げて2人で覗き込んでいる状況。

「アトリは何処行きたいとかあるの?」

「特段何処行きたいってのは無いな、それこそ相棒が元いたようなスラム街でもいい。」

「それはやだ。」

だろうね。

実際好きで行くような場所じゃないし、昔は小汚かったから良かったものの今じゃ2人とも美少女。トラブルは絶対に起こるだろう。

「そういう相棒は行きたい場所とかあるか?」

「私も特段ないのだけど、そうね、余生を過ごす、というのならここじゃないかしら。」

そう言って地図のとある場所を指に置く。

「うげ、そこかぁ。」

「どうかしたの?」

「いや、昔論外級に強くて暑苦しい男に絡まれた記憶を思い出して。

まぁでも相手さんは絶対に覚えてないだろうし、いいよ、そこに行こう。」

昔、といっても、100年以上前だけど。

流石にあの熱血馬鹿は寿命で死んでるだろうし、側近のやつも……いやアイツはワンチャンどうにかして生きてそうだな。

「よし、決まったわね。じゃあ行こっか、グルニグへ。」

 

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小規模国家であるグルニグは、今居る墓場から2つほど国を挟んだ世界の端っこと呼ばれる場所にある。

世界の端っこ、というのは語弊があるが、この世界は綺麗に地球の半分を魔族に支配されており、人間や友好種族などが暮らしている面と、

サキュバスやオーク、ゴブリンや龍、俗に言う魔王などの魔族が支配している面の境界線などを世界の端っこ、などと呼ぶようになっている。

そんな世界の端っこに位置する国は世界で重要な役割を担っている。

それは境界線を超えて、こちら側の生活園を占領し領土を広めようとする魔族への防壁としての役割である。

例に漏れず、今から向かおうとしているグルニグもそうで。

今こうしている間も侵略をしようとしている魔族を相手に戦いに明け暮れているという。

正直、聞いてる限りは余生をゆっくり過ごす、という目的には合ってないように思われるが、実はそんなことは無く。

毎日魔族から取れる素材を使っての独特な料理や武具、建造物などで独自の発展をしており、血生臭いイメージとは逆に賑やかな観光地として有名だ。

そしてグルニグは聖地ともされており、大昔、グルニグがまだ魔族の領土だった頃、

当時、奪われる側だった人類が初めて、支配者だった邪龍を炎の英雄と最強の剣聖剣豪だった2人が尊い犠牲を払いながら討伐し、領土を取り返したと場所とされ。

以来、2人が討伐したとされている邪龍の亡骸は今でもグルニグの象徴として人類の勝利の象徴として、国の中央に鎮座している。

そういった背景もあり、世界の端っこにしてはかなりの移住民が多いとされている。

 

閑話休題

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

まぁその尊い犠牲は俺なんだけどな。

相棒と歩きでグルニグを目指している中、昔の思い出に耽る。

「どうかしたの?」

「いや、昔の事を思い出してさ。あれからどう変わったんだろうなって想像してた。」

ちょくちょく図書館に行っては各地域や国の情勢を把握する為に知識としては入れてはいたけど、実際に赴いてはないからどうなのかは分からない。

「ふーん、ねぇ昔いた時は何やってたの?」

「んー、特に何もしてこなかったな。ずっと魔術本を読み漁ってたぐらいかな。」

「アトリは昔も変わらず本ばっかりだね。」

「知識は幾ら蓄えても損は無いからな。」

「それもそうね。」

とはいえ、もう読んだ事も聞いた事もないような本はなかなか見つからないけどな。

「というより歩きでグルニグに向かうつもりか?」

「流石にそれは無いわ、アトリは昔グルニグに行ったことがあるのよね?それを利用して転移する予定よ。」

「あー、それなんだが、記憶が古すぎて今との齟齬が激しくて上手く出来ないと思う。」

「あら、そうなの。残念、じゃあ街で馬車を借りるしかないわね。」

「面目ない。」

流石に100年以上前となると、転移をする際に記憶を参照して目的地を設定するから何処に飛ぶか不明瞭で危険だ。

昔、故郷に帰ろうとして転移をしたら敵陣のど真ん中だった苦い思い出も相まって100年以上前の記憶参照の転移は控えるようにしてある。

「じゃあ転移してセレ街に行って馬車を借りて行きましょう。」

「了解。魔術式の組み立てはするから目的地をそっちで書いてくれ。」

「そうしてくれると助かるわ。」

相棒の返事を聞き、何も無い空間に指先を滑らせていく。

淡く光った指先で、宙に浮かぶ魔術式を描いていく。

(転移、対象:アトリ.ステラス・イリアス、目的地:。)

ここまで描いて相棒に魔術式を渡す。

相棒もゆっくりと指先で俺の書いた魔術式に文字を足していく。

(転移、対象:アトリ.ステラス・イリアス、目的地:セレ街。)

魔術式を描き終えると、相棒は俺の身体をびったりと抱き寄せ、描いた魔術式を握り潰す。

「転移。」

静かに、そう唱えた後、景色が変わる。

 




設定の補足説明、1話から登場している転移魔術は目的地を設定した人物の記憶を参照して座標を認識し、目的地として設定する魔術です。結構高度な事してます。
100年以上前の〜というのは、Googleマップでよくある、数年前の写真を使われていて、この建物もうないよねー。みたいなアレです。
魔術式を簡単に描いていますが、アトリが昔「いちいち地面に触媒やら魔術陣描くのだるくね?」と簡略化した手法なので本来はかなり大掛かりな物が必要です。

ここからは作者の話です。読まなくとも大丈夫なのでブラウザバックしても構いません。
友人に「意外にも好評で嬉しいけど、どうしてもマイナスな事を書いちゃう。」と相談したところ、
「プラスなこと書いたら読者としては気の持ちようがだいぶ違うぞ。」とのアドバイスを受けたので、今後は前向きなことを書こうと思います。
次話は出ます。何年後かに。

追試
No.va様、誤字脱字報告ありがとうございます。
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